女性に多い隠れメタボの解消法~あさイチ!より

痩せているのに“太っている”状態を指す「隠れメタボ」は、いまや知らぬ人はいないほどメジャーな言葉になっています。

厳密に言うと、痩せ型〜標準体型なのに「高血圧」「高血糖」「脂質異常」のうち2つ以上の疾患がある状態のことを指す言葉で、その該当者数は厚労省の調査によると約900万人にものぼり、年々増加しているといいます。
「隠れメタボ」という言葉の響きが軽いので、「太ってないし、まぁいいや…」という感覚で放置してしまう人も多いようですが、最悪の場合若くして脳梗塞を引き起こすこともありますし、そこまで行かなくても人生が変わってしまうような大病につながっている状態ですから油断はできません。
そこで今回は、隠れメタボの特徴や対策について解説していたNHK『あさイチ!』をまとめておきたいと思います。

 

スポンサーリンク

 

メタボと隠れメタボ

ふつうの「メタボ」は正式には「内臓脂肪症候群」といい、腹囲が男性なら85センチ、女性なら90センチ以上あって、「高血圧」「高血糖」「脂質異常」の3つのうち2つ以上当てはまる状態のことを指します。

20161107162412

一方「隠れメタボ」は、BMI25未満で見た目はスリムなのに「高血圧」「高血糖」「脂質異常」のうち2つ以上当てはまる状態のことをいいます。

20161107162854

現在、日本ではメタボの人が960万人、隠れメタボの人が914万人いると推計されているそうです。両者を合わせると2000万人に届こうかという勢いですね。単純計算でも5人~6人に1人の割合ですが、大人に絞ればもっと割合は高くなるはずです。私達の周りにも思いつく人は何人もいる、という計算になりますね。

隠れメタボが女性に多いのは、男性よりも筋肉量が少なく代謝が低いためです。
特に閉経後の女性に多くなるのは、これまでたくさん分泌されていた「女性ホルモン」による動脈硬化から身体を守る働きが失われてしまうためだそうです。
隠れメタボを放置しておくと、糖尿病や心疾患、脳梗塞、血管性の認知症などの大病のリスクが高まってしまいますから、すぐに対策を取らなければなりません。

しかし、「だったらもっと痩せればいい」かといえば、そうではありません。
ダイエットをしたからこそ隠れメタボになってしまった人もいるのです。

 

スポンサーリンク

 

食べない時間を作るダイエットが原因で隠れメタボに

美容師のKさん(28歳女性)は、去年の健診で隠れメタボであることが発覚しました。
Kさんは現在、身長163センチ、体重51キロ、BMI19.2という標準的な体型です。
この体型になる前も、身長163センチ、体重59キロ、BMI22.2と、ごくごく標準的だったのですが、ヘアショーのステージに立ってカットの実演をすることになったため、よりスタイルを良くするために過激なダイエットに挑戦したそうです。
Kさんが採用したのは「1日1食ダイエット」でした。朝は白湯を飲むだけで、仕事中の食事は日によっておぼろ豆腐1丁や鳥のささ身、焼鮭などを摂るだけ、という生活を送ったそうです。
結果、2ヶ月半で7キロも痩せたそうですが、健康診断を受けると血圧は基準値を超え、中性脂肪は前年の倍に増えてしまっていました。

東京大学の古井祐司氏によると、「ご飯を食べないのがいちばんよくない」といいます。「食べない時間が長いと“危険だ”と身体が感じて、通常は食べたものをエネルギーに変えるところを身体の中に蓄えるようになり、そのまま内臓に溜まってしまう」というのです。
驚くべきことに、Kさんの同僚の美容師全員の血糖値を調べたところ、20代の従業員の大半が同世代の平均値を超えていたそうです。しかも、20代前半なのに糖尿病の「要注意」判定を超えている人が7人もいたそうです。
これは、美容師の食事時間が不規則になりがちであることが影響しています。
1日に食事から得るカロリーの総量は同じでも、食事の回数によって血糖値の上がり方は変わります。
実は、食事の回数が少ないほうが血糖値は上がりやすくなるのです。

20161107155852

あさイチ!より

そして、血糖値の急上昇を繰り返していると、血糖を下げるインスリンが働きにくくなって膵臓の機能が低下し、結果として糖尿病や動脈硬化のリスクが上がってしまいます。
名古屋学芸大学の下方浩史氏によれば「絶食時間の長さと栄養素不足は危険」だそうです。飢餓状態になると栄養を体内に溜め込もうとします。特にタンパク質が不足すると筋肉を分解し始めてしまい、筋肉量が低下すると代謝が落ちるので、ダイエット前よりも太りやすい体になってしまうのです。
下方氏によれば「食事と食事の間は(寝ている時間は除いて)8時間以上空けないようにして、3食食べるべき」だそうです。

Kさんに本来必要な1日あたりの栄養素を示した枠の中に、ささみ3本の栄養素を表示してみると…

20161107160043

あさイチ!より

赤い円が必要な栄養量で、円内の黄色い部分がささみ3本で摂れる栄養なので、極端に栄養不足に陥っていたことがわかります。

このような身体の仕組みを知れば、無理なダイエットで隠れメタボになってしまうことが理解できると思います。
しかし、普通の生活を送っているからといって安心はできません。過激なダイエットをしていなくても隠れメタボになることはあります。

 

スポンサーリンク

 

普通の生活にひそむ隠れメタボの危険性

・ケーキが食べたくて食事をセーブ
Yさん(56歳女性)は162センチ、53キロ、BMI20.2という体型ですが、血圧も血糖値も基準値をオーバーしている隠れメタボでした。
Yさんによると甘いモノをついつい食べてしまうそうで、食事を抜いてでもケーキを食べる、ということもあったそうです。
下方氏は、Yさんがカロリーにだけ注目して、ケーキを食べる代わりに食事を抜くことを問題視していました。
「吸収されやすい糖を摂るとぐっと血糖値が上がる。炭水化物は米やパンから摂るべきで、砂糖で大量に摂ってしまうと血糖がどうしても高くなる」といいます。

・運動不足が原因で…
ピアノ講師のHさん(59歳女性)は162センチ、59キロ、BMI22.5という体型ですが、血圧と中性脂肪が基準値を超えていたそうです。
Hさんの生活を見てみると、ピアノ講師という仕事柄、動くのは夕方の買い物のみで、食事も1日2食だったそうです。
これを見た下方氏は「運動不足で筋肉が衰えると、代謝がわるくなる。さらに、動かないことによって血液の流れがわるくなるため、血圧も下がらないだろう」と指摘していました。
人にもよるそうですが、1日最低6000歩、できれば1万歩の運動が必要だそうです。ただし、別の局の別番組では1万歩はあるきすぎで健康にはよくないという指摘もありますので、専門家の間でも見解が分かれるところのようです。

ウォーキングの最適歩数!一日一万歩は健康に悪い~羽鳥慎一モーニングショーより

ちなみに、番組が隠れメタボについて調べるなかで、20〜40代の女性に隠れメタボではないがやせ過ぎている「低体重」の人が多いことがわかり、下方氏はその危険性も指摘していました。
特に40代を過ぎてからのやせ過ぎは骨粗しょう症などにつながる危険性もあるため、無理に痩せるのは良くないそうです。

 

スポンサーリンク

 

隠れメタボで脳梗塞に

システムエンジニアのIさん(40代女性)は、2年前に脳梗塞になり、右半身に後遺症が残ってしまいました。
Iさんは164センチ、63キロ、BMI23.4という体型で血圧と中性脂肪の値がオーバーしている隠れメタボでした。
仕事柄残業も多く、不規則な生活を送っていたので、運動不足解消のためにテニス教室に通い始めましたが、練習後に突き刺すような頭痛を感じたそうです。次第に右手に力が入らなくなり、倒れてしまったIさんは病院に運ばれると、脳梗塞であると告げられたそうです。
隠れメタボは動脈硬化を起こしやすいので、甘く見て放置していると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしかねないのです。

ここまで出てきた例でおわかりの通り、隠れメタボの人がさらに痩せようとするアプローチはよくありませんから、大事なのは運動をすることになります。
次は、誰でも簡単にできる隠れメタボ対策の運動をご紹介いたします。

 

スポンサーリンク

 

運動で隠れメタボを解消する

福岡大学の田中宏暁氏は「スローステップ運動」を提唱しています。

20161107160324

あさイチ!より

階段の上り下りのように足腰の筋肉を使う運動は、その場にいながらできるので運動不足解消にとてもいいそうです。

「スロージョギング」という方法もあります。
一般の人が歩くのと同じくらいかそれよりもゆっくりと走る運動です。
肘は90度に曲げて、腕は振りません。

背筋を伸ばして口を開け、ニコニコした状態で、おしゃべりできるくらいの速度で行うのがポイントです。
画像のように屋内の狭い場所でも、ターンをして繰り返せばOKです。むしろ、ターンをした方が、運動効果が2.5倍も高くなるそうです。
1分間を1セットとして、30秒休んでまた1セット、というように何度か繰り返し、1日40セットを目指しましょう。

「これだけで大丈夫?」と思われるかもしれませんが、これを1ヶ月実践した結果、先ほど登場したYさんは血圧・血糖値ともに改善され、隠れメタボではなくなりました。
Hさんも血圧・中性脂肪ともに改善され、隠れメタボを克服していました。

視聴者からの質問

最後に、視聴者から下方氏への質問と回答が紹介されていました。

・「糖質制限」について
最近話題の「糖質制限」については、専門家の間でも意見が分かれているそうです。
下方氏によると、「そんなに太っていない人がやると体重が落ちすぎて、健康を害する危険がある」と注意を促していました。

・食事と食事の間が8時間以上開く場合はどうしたらいい?
間食をとるなどなにか少しだけでも摂るようにして、1回の食事で血糖値が急上昇しないようにする工夫をするといいそうです。

まとめ

以上、隠れメタボについてまとめてまいりました。
ポイントをまとめると、「1日3食に分けて食事をとり」、「カロリーの合計にだけ注目せず栄養を偏りなく摂ることを意識」して「運動をする」と、隠れメタボのリスクは下げられるようです。
日々の蓄積が大切ですから、隠れメタボにつながる習慣をお持ちの方はすぐに改善するようにしましょう。


スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。