先日の『きょうの健康』のテーマは、「運動の心臓や血管への健康効果」でした。予防医学や公衆衛生学が専門の内藤義彦先生(武庫川女子大学教授、内科医)が、運動で心臓や血管が健康になる仕組みや、心臓や血管の健康を維持するための運動量などについて解説をしていました。
スポンサーリンク
1日1時間以上歩くと脳梗塞や心筋梗塞のリスクが下がる
番組では、日本人約7万人を追跡調査した、「歩行時間と脳梗塞や心筋梗塞の死亡リスク」についての研究結果を紹介していました。その研究では、毎日30分歩く人と1時間以上歩く人では、1時間以上歩く人のほうが脳梗塞の死亡リスクは30%近く、心筋梗塞などの心疾患の死亡リスクは20%近く下がることが分かったそうです。
きょうの健康より
スポンサーリンク
なぜ運動が心臓や血管を健康に保つのか?
なぜ、運動が心臓や血管に良い影響を与えるのでしょうか?その3つの理由を紹介していました。
運動で血管が広がり、血圧が下がる
内藤先生によると、運動をすると心拍数が増加して血流が増えるそうです。血流が増えると、血管の内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌されます。
きょうの健康より
脳には、血管の平滑筋を緩ませる働きがあります。平滑筋が緩むと血管が広がるので、血圧が下がります。すると、心臓の負担が減るので、心疾患のリスクが低下するわけです。
きょうの健康より
運動で血液が固まるのを防ぎ「血栓」を予防する
運動をした後に気持ちがリラックスするのは、副交感神経の働きが高まるからとのことです。そして、リラックスをすると血小板の働きが抑えられます。このことによって、血液凝固性(血液が固まること)が低くなり、心筋梗塞などの原因となる血栓が作られにくくなると内藤先生は説明していました。要は、リラックスすると血液もサラサラになり詰まりにくくなるということです。
きょうの健康より
運動が善玉コレステロールを増やし動脈硬化を予防
動脈硬化は、LDL(悪玉)コレステロールが、血管の壁にこぶを作って血管が狭くなった状態です。
きょうの健康より
HDL(善玉)悪玉コレステロールには、血管の中の悪玉を回収して動脈硬化を防ぐ働きがあります。運動をすると善玉コレステロールが増えるので、悪玉コレステロールが減り動脈硬化を予防できると内藤先生は説明していました。
スポンサーリンク
虚血性心疾患のリスクを下げる運動と運動量
番組では、厚生労働省が作成している「健康づくりのための身体活動基準 2013」をもとに、心臓や血管を健康にして、虚血性心疾患の発症リスクを下げる運動の種類や量を説明していました。
「身体活動」というのはスポーツなどの「運動」と家事や仕事などの「生活活動」を合わせたものです。身体活動は強度によって分けられています。低強度には、ストレッチング、立位、炊事などがあります。また、水泳、ジョギング、歩行(だらだら歩くのは低強度)、子供と遊ぶ、床掃除、庭仕事は中強度以上に含まれます。
きょうの健康より
心疾患を予防する運動量(18歳から64歳まで)
心臓や血管の健康を維持するために、18歳から64歳までは中強度以上の身体活動を1日1時間(そのうち週に1時間は汗をかくような運動)すると良いそうです。運動は、こまめに行って合計1時間でも、健康効果があるとのことです。運動時間を分ける場合は、1回につき最低10分間は続ける必要があると内藤先生は説明していました。
心疾患を予防する運動量(65歳以上)
65歳以上は、強度を問わず1日40分間ほどの運動をすれば、心臓や血管の健康維持に効果があるそうです。強度を限定しないのは、高齢者の場合、中強度以上の運動をするとけがをして健康を損なう可能性がある人もいるからだとのことです。
番組では、まとまった時間運動をする時間のない人は、家事や体操などでこまめに体を動かすことを推奨していました。血管を強くして心疾患を予防する方法をさらに詳しく知りたい人には、テレビ番組に出演することも多い池谷敏郎先生の「血管を鍛える」と超健康になる!がお勧めです。
「血管を鍛える」と超健康になる!: 血液の流れがよくなり細胞まで元気 (知的生きかた文庫)
池谷 敏郎
スポンサーリンク
まとめ
番組では、運動の心臓や血管を若く保つ効果とは反対に、座っている時間(不活動時間)が長いと、虚血性心疾患のリスクが高くなるという説明をしていました。スマホやパソコンに集中していると、ついつい動かない時間が長くなってしまいますよね。そのようなときは、タイマーなどで時間を区切り、意識的に身体活動の時間を作って心臓や血管を健康に保ちましょう。