結腸がん・乳がん・子宮がん~予防のための運動~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』では、運動で予防できるがんをテーマにしていました。国立がん研究センター・社会と健康研究センター長の津金昌一郎先生が、運動をするとがんのリスクが下がる理由やがん予防につながる運動量などについて解説していました。国立がん研究センター・社会と健康研究センターとは、主にがんの予防と対策についてどう付き合っていくべきか研究している機関です。
国立がん研究センター・社会と健康研究センター

 

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運動でがん発症のリスクが下がる

世界がん研究基金が発表している国際的なデータによると、運動をすることによって結腸がんは確実に予防でき、乳がん(閉経後)と子宮体がんは予防できる可能性が大きく、肺がん、肝臓がん、乳がん(閉経前)は予防の可能性があるとのことです。

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きょうの健康より

世界がん研究基金とは?
世界がん研究基金(en:World Cancer Research Fund)は、ベルギーの勅令により設立された非営利団体で、本部はイギリスロンドンに所在する。Marilyn Gentryが世界がん研究基金の理事長である。

~中略~

世界がん研究基金は、がんがおおむね予防することができることを啓発し、がんと食事、運動、肥満との関係を科学的に研究する資金を提供することを目的として、世界がん研究基金グローバルネットワークの研究活動を指揮、支援している。

ウィキペディアより

また、日本人約10万人を追跡した研究でも、運動をすることによって男性は結腸がん、肝臓がん、すい臓がん、女性は胃がんのリスクが下がるという結果が出ていると津金先生は説明をしていました。

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きょうの健康より

 

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運動で結腸がんのリスクが下がる理由

結腸がんは日本人のがん第3位だそうです。日本人男性の場合、運動量が一番少ない人の結腸がんになるリスクを1とすると、運動量が増えるにしたがってリスクが下がり、一番運動量の多い人のリスクは0.58になります。半分近いですね。

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きょうの健康より

運動によって結腸がんのリスクが大幅に下がる理由は、腸を便が通過する時間が短縮されるからとインスリン抵抗性が低下するからだそうです。

便の通過時間の短縮

便の中には食べ物などに含まれている発がん物質が混ざっているそうです。運動をすると腸管がよく働き、便が腸の中を通る時間が短くなります。すると、発がん物質が結腸にとどまる時間も短くなり、結腸がんのリスクが低下すると考えられているわけです。

インスリン抵抗性を下げる

イスリンには、筋肉などの細胞の入り口を開ける働きがあります。細胞の入り口が開くと血液中のブドウ糖が細胞の中に入って血糖値が下がるそうです。けれども、食べ過ぎや運動不足だと血糖値が上がり、内臓脂肪が増えます。内臓脂肪から出される物質には、インスリン抵抗性(インスリンが細胞の入り口を開けるのを防ぐ作用)があり、さらに血糖値を上げてしまうとのことです。

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きょうの健康より

内臓脂肪が増えると、血糖値を下げるためにインスリンが多く分泌されます。インスリンには細胞を増殖させたり、ガンの自滅を抑制したりする働きがあります。インスリンが体内に多くなると、インスリンの働きを強めるインスリン様増殖因子(IGF)も増加します。このような状態で結腸にがん細胞がある場合は、インスリンとIGFががん細胞を増殖させてしまうとのことです。けれども、運動で内臓脂肪の増加を防げば、インスリンもがん細胞も増えないと津金先生は説明をしていました。
ちなみに、糖尿病患者ががんになるリスクが高いのもインスリンの働きによるものだそうです。

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きょうの健康より

 

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運動で乳がんと子宮体がんのリスクが下がる理由

女性ホルモンのエストロゲンには、がん細胞を増やす働きがあります。運動はエストロゲンの働きを弱めるので、乳がんや子宮体がんの予防に効果があると考えられているそうです。

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きょうの健康より

津金先生によると、乳がんの治療を終えた後に、運動をすると死亡のリスクが低下するという研究の結果もあるとのことです。

 

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がん予防のためにするべき運動

がんの予防のためだけではなく、健康づくりのためには適度な身体活動が必要です。ジョギングや水泳などの運動と、家事や庭仕事などの生活活動を合わせて身体活動というそうです。身体活動は、強度によって分けられています。低強度は、ストレッチングや洗濯、炊事などです。中強度以上には、早歩、ジョギング、床掃除、介護などが含まれます。

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きょうの健康より

厚生労働省が作成した「日本人の健康づくりのための運動指針」によると18歳から64歳までは、中強度以上の身体活動を1日合計1時間、そのうち週に1時間は息が弾み汗をかくような運動をすることが健康のためには良いとのことです。また、65歳以上は、強度に関係なく1日40分程度の身体活動が健康に良いそうです。

mametisiki

津金先生はがんの予防法の開発の専門家として、生活習慣の改善などがんの予防法を化学的根拠に基づいてまとめた本を複数執筆しています。
NHKきょうの健康 「がん」にならないための5つの習慣 (生活実用シリーズ)
津金昌一郎

なぜ、「がん」になるのか?その予防学教えます。
津金 昌一郎

まとめ

運動は健康維持には欠かせませんが、がんの予防にもなるのですね。1日1時間続けて運動をするのは難しいですが、合計で1時間で良ければ隙間時間を利用してできそうです。運動不足を感じている人は、この機会に1日1時間の中強度以上の身体活動を目指してみましょう。


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