血糖値のコントロール術~糖尿病対策とすい臓再生医療~健康カプセル!ゲンキの時間より

11月14日は「世界糖尿病デー」なんだそうです。
いまや世界の糖尿病人口は4.2億人以上と言われており、日本でも5人に1人が糖尿病もしくは糖尿病予備群になっているそうです。
血糖値が高い状態が続くと全身の血管がボロボロになり、様々な合併症を引き起こすことがあるのですが、血糖値がわずかに高いくらいでは放置してしまう人が多いのが現実です。
そんな中で、「食べて血糖値をコントロールする」という方法が注目されているそうです。
今回は、食べながら血糖値をコントロールする際のポイントや、糖尿病と深い関わりのある臓器のがんなどについて解説していた『健康カプセル!ゲンキの時間』をまとめておきたいと思います。

 

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日本人の食事の変化

日本人の食事は、長い歴史の中でこれまでに2度、大きな転機があったそうです。
下の画像は、縄文時代の食事を再現したものです。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

画像は鶏肉、にんにく、クリなどの木の実、塩ゆでした里芋で、タンパク質が主食でした。
この時期は食生活が不安定だったため、体内では飢餓に備えるホルモンがたくさん生み出されました。これのおかげで少ない食料から多くのエネルギーや糖を体内に溜め込むことができるようになりました。

そして、「農耕のはじまり」という1度目の転機が訪れます。
こちらは弥生時代の食事です。

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玄米ご飯にイワシ、ゴボウの煮物などが並んでいます。
コメを作るようになり、比較的安定した食生活が送れるようになったので、穀物の摂取量が増えました。これによって糖質の摂取が増え、飢餓に備えるホルモンは必要性が低下しました。
そこで、逆に採りすぎたものを無効化する効果のある「インスリン」が活躍することになりました。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンです。血液中の糖を細胞や筋肉に運び、血糖値の上昇を防ぎます。

そして、第二の転機は明治時代に訪れた「食の欧米化」です。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

東京医科大学の小田原雅人氏によると「肉に含まれる動物性脂肪はインスリンの効きを悪くする性質がある」そうです。大量の糖や脂を摂るとインスリンの効きが邪魔されたり遅くなったりして血糖値が下げられなくなるので、2型糖尿病になるリスクが高まります。

しかし、人間の身体のシステムは縄文時代から変化していません。
狩猟生活で不安定だった縄文時代は1万年以上続いていましたが、弥生時代から現在まではまだ2300年程度なので、そう簡単に変わることはできないのです。

 

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食べて血糖値をコントロールする

ではどうすればいいのかというと、「インスリンを出す量とタイミングを的確にする」ことを目指せばいいのです。インスリンをタイムリーに出し、少量でも効くようにすることが大事です。

小田原氏によると、小腸や大腸の下の部分に“スイッチ”があるそうです。この“スイッチ”が押されると、すい臓にインスリン分泌するように働きかけるホルモンが分泌されます。すると、血糖値が上がりきる前のちょうど良いタイミングでインスリンが出るため、すい臓をいたわることができ、糖尿病の予防改善にも役立つのです。

このスイッチを押すには「腸内環境を整えることが重要になる」と小田原氏は話していました。善玉菌・悪玉菌・中立菌の三種類がある腸内細菌ですが、現代の生活では悪玉菌が増えがちです。このバランスを整えると、スイッチが押されやすくなるというのです。

そのためには「食物繊維を多く摂ること」が重要だそうです。今回の特集のメインテーマである「食べて血糖値をコントロールする」には、食物繊維の摂取がカギになります。食物繊維を食事の一口目に食べると血糖値の上昇が緩やかになったり、よく噛むことで生まれる満腹感を得られて食べ過ぎを予防できたりすることはよく知られていましたが、「腸内環境を整えてインスリンを分泌させる“スイッチ”を押す」という効果もあったのです。
食物繊維を1日に26グラム以上摂取している人たちと19グラム未満の人たちを比較すると、26グラム食べている人たちの方が2型糖尿病の発症が18%も低いことがわかっています。

肝心なのは食べる量です。
厚労省が推奨する1日の野菜摂取量は350グラムです。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

しかしこれでは食物繊維が足りないので、キノコや海藻類で補って食物繊維20グラムを1日の目安にしましょう。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

多いと感じる方は加熱してかさを減らしたり酢の物にしたりするとよいでしょう。

 

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すい臓がんを発見しやすくする検査方法

下図は、がん診断時の進行度のデータです。

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胃がんは比較的軽いⅠ期に発見されることが多いのですが、すい臓がんはとても少ないことがわかります。一方で最も重いⅣ期でみつかるのが43.4%となっており、「最も早期発見が難しいがん」と言われているそうです。
しかもすい臓がんは「なった人の数=死亡者数」と言われるほどで、医療の進んだ現代でも手遅れになりやすいがんとして知られています。

発見しづらいのは、自覚症状が極めて少ないことと、すい臓の場所が検査でも見えにくい場所にあることが関係しています。
すい臓は胃の裏側に張り付くように存在しています。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

超音波は空気を伝わりにくいので、空気を含む胃の裏にあるすい臓を診るのは難しいのです。

しかし、大阪府立成人病センターの片山和宏氏によると「患者にミルクティーを飲んでもらうと見えやすくなる」といいます。
下図はミルクティー300mlを飲む前後を比べたものです。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

胃をミルクティーで満たすことで胃の空気がなくなり、すい臓まで超音波が届くようになるため、このようになるのです。
すい臓がんの早期(0期とⅠ期)発見率は日本全体では2%であるのに対して、大阪府立成人病センターの臨床研究では50〜60%の人から早期のがんを発見することができたそうです。
ただ、通常の健康診断では絶食絶飲で検査を受ける必要があるため、ミルクティーを用いての検査は難しいというのが実情であるようです。

すい臓を再生させる

東京大学分子細胞生物学研究所の宮島篤氏はすい臓の再生を研究しています。
同じ内臓でも肝臓は再生能力が高いので移植すれば元通りになりますが、すい臓は再生しないので、現状では移植を待つしかありません。
しかし、宮島氏はiPS細胞を培養してインスリンを生み出す細胞の塊をつくることに成功したそうです。そして、この細胞を1ヶ月かけて大量に培養し、すい臓の機能を落としたサルの体内に移植したところ、血糖値が正常値に戻ったそうです。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

現在は1型糖尿病患者への移植を目標にしているそうですが、まだまだ課題は多いそうです。

すい臓がんのサイン

生活習慣は変化していないのに急に血糖値のコントロールが悪化したり、心あたりがないのに急に糖尿病になったりした場合は、すい臓がんになっている可能性があります。

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血糖値は家で測定することも可能です。

また、お酒が弱いのに毎日飲酒し、喫煙する人は、すい臓がんのリスクが10倍になるとも言われているそうです。
該当する方は、1年に1回は検査を受けるようにしましょう。

まとめ

糖尿病と腸内環境に関連があることはあまり知られていないことだと思います。
食物繊維を摂取することには他にも様々なメリットがありますから、積極的に食事に取り入れていくようにしましょう。


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