脳梗塞の症状と前兆~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』では、「脳梗塞 完全理解」と題した特集の一環として、脳梗塞の症状と前兆について伝えていました。脳梗塞が起こるメカニズムや脳梗塞の特徴についてもわかりやすく解説され、ためになる内容でした。
解説をするのは、神経内科医で特に脳卒中の診断、発症直後の治療が専門の、日本医科大学大学院の木村和美教授です。

 

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脳梗塞と脳卒中の違いとは?

日本人の5人に1人がなるという脳卒中。患者は300万人にものぼり、寝たきりの原因の1位だといいます。その脳卒中には3つのタイプがあり、その中のひとつが脳梗塞で、脳卒中の7割を占めます。他には脳出血やくも膜下出血が脳卒中に含まれます。
脳梗塞は、脳の血管がつまるために起きます。
脳出血は、脳の血管がやぶれて、
くも膜下出血は、脳の太い血管の分かれ目にできたこぶが破裂して出血します。

脳梗塞は進行が大変速い!

脳梗塞の治療は進んでいるものの、木村教授は
「重い後遺症を残さないためには、発症時にいち早く気づくことが何より大事。そのため脳梗塞の治療は時間との戦いと言える」
と指摘します。
脳梗塞の進行は大変速く、脳のMRI画像で白いところが脳細胞が障害を受けている部分ですが、発症から2時間後と4時間後を比較すると、その2時間で部位が約5倍になっており、24時間後には9倍にまで広がっていることがわかります。

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きょうの健康「脳梗塞症状と前兆を知る」より

一度脳梗塞になった部分は、神経細胞が壊死しているため、原則もう元には戻らないとのこと。なので、早期発見により広がらないようにすることが大事だというのです。

 

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脳梗塞の症状と見分け方は?

脳梗塞の症状は突然起こり、次の3つの症状のうちひとつでもあらわれると危険だといいます。

1) 体の片側がうまく動かない=顔、腕、脚の片側に麻痺が起こる
2) 思うように話せない=ろれつが回らない、話がかみ合わない(失語症)
3) 見え方がおかしい=視野が半分欠ける

このいずれかに「めまい・ふらつき」が加わることもあるので、めまいが起きやすい人は上の3つの症状が起こっていないか注意を払う必要があるとのことです。

『1) 体の片側がうまく動かない』について、自分に起こっているかの確かめ方として、手のひらを上に向けて両手を伸ばすという方法があります。麻痺が起こっていれば、麻痺のあるほうの手のひらが内側に向き、腕が下がってきます。この方法で、軽い麻痺でも見つけることができるそうです。
脚の麻痺は、麻痺している側に力が入らず、傾くためまっすぐ歩けないので、わかるとのこと。顔は、本人では気づけないことが多いので、家族など周囲の人からいつもと顔が違うことを指摘してもらうことになるそうです。
『2) 思うように話せない』については、短い文章を繰り返して言ってもらうと、言いづらさや言葉のもつれがあるのでわかるようです。
失語症の見分け方は、物(めがねなど)を見せて「これは何ですか?」とたずねて物の名前が出てこないことで確かめられます。
『3) 見え方がおかしい=視野が半分欠ける』場合は、右目で見ても左目で見ても、同じ側の視野が欠けて見えます。目の病気と勘違いして眼科に行くケースが多いそうです。

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きょうの健康「脳梗塞症状と前兆を知る」より

 

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脳梗塞の原因

脳の血管を詰まらせる2大原因は
動脈硬化 と
心房細動 だそうです。

50歳以上で多くなる動脈硬化は、進行すると脳の血管にプラークと血栓ができて血管がつまります。

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きょうの健康「脳梗塞症状と前兆を知る」より

また、別の部位から流れてきた血栓が脳でつまることもあるそうです。
60歳以上で注意が必要となってくる心房細動は、心臓にある心房が細かく震える状態で、血液がよどんで固まりやすくなり、血栓が作られます。その血栓がはがれて脳まで運ばれて詰まり、脳梗塞になるといいます。

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きょうの健康「脳梗塞症状と前兆を知る」より

動脈硬化や心房細動に注意が必要なのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病を持っている人だそうです。

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脳梗塞の大きな原因となる動脈硬化と心房細動ですが、詳しくは過去の「きょうの健康」で取り上げられています。動脈硬化と心房細動を防ぐための参考にされてはいかがでしょうか?
動脈硬化関係: 血管老化の正体
心房細動関係: 脈が速い頻脈・動悸・めまいは心房細動・不整脈

脳梗塞の前兆~一過性脳虚血発作(TIA)

脳梗塞の前兆は次のようなものです。

1) 体の片側がうまく動かない
2) 思うように話せない
3) 見え方がおかしい

この3つは脳梗塞の「症状」と同じですが、木村教授は

「前兆には『数分から数十分で消える、自然に治ってしまう』という大きな特徴がある」

と解説します。長くとも24時間以内に症状がなくなってしまうというのです。この前兆を「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ぶそうです。
症状がすぐ消えてしまうのは、一度つまった血栓が運よく溶けて流れてしまうからなんだそうです。だからといって安心できるわけではなく、根本的な脳梗塞の原因が解消されていないので、TIAを起こしたあとに脳梗塞を発症するリスクは残っています。TIAを治療せずに放置すると、3ヶ月以内に15~20%が脳梗塞を起こしてしまうのだそうです! しかもその半数が48時間以内に集中しているといいます。
木村教授は
「脳梗塞はもちろんTIAの症状が出たら救急車を呼び、神経内科や脳神経外科など脳卒中の専門医がいる医療機関に搬送してもらい、適切な診断と治療を受けることが必要だ。救急車を呼ぶことを遠慮してはいけない」
と強調します。

 

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まとめ

脳梗塞は、早期発見が非常に重要だということがわかりました。早期発見できるようにするためには、何より症状や前兆を知っておくことが大切ですね。自分や家族の身にふりかかる可能性も高い病気ですので、とっさに対応できるよう日ごろから知識を身につけておきたいものです。


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