先日の『健康カプセル!ゲンキの時間』では、アンガ―マネージメントについて特集していました。「怒り」は人間関係を悪化させるばかりか、心筋梗塞のリスクを格段に高めるとのこと。怒りをコントロールする「アンガーマネージメント」を学び、怒りと上手につきあっていく方法について伝えていました。
スポンサーリンク
怒りが与える影響
職場で仕事がうまくいかないと、
>怒りにまかせて昔のことことまで引っ張り出してきて怒る
>プライベートなことに関してまで怒る
こうなると人間関係を悪くしてしまいます。同時に体にもよくないようです。
怒りっぽい性格の人と、そうではないおだやかな人に分けて研究したところ、怒りっぽい性格のほうが心臓病になりやすいことがわかったそうです。この理由についてですが、自律神経が関わっています。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、怒ると交感神経が優位になります。交感神経が活発になると血圧を上げるよう指令を出すので、怒ってばかりいると血圧が上がり、血管もダメージを受けるというのです。
精神神経科の権威である古賀良彦杏林大学名誉教授は、血管がダメージを受けると
「血液が心臓や脳に十分に運ばれなくなる」
と警鐘を鳴らします。その結果として、怒りっぽいと
心筋梗塞が約5倍、
脳梗塞も約2倍、
多いのだそうです!
怒りが引き起こすほかの病気について、古賀名誉教授は、
「自律神経が体のあらゆる部分の働きのバランスをとってくれているが、怒るとそのバランスが崩れてしまう。そうすると頭痛やめまい、手足のしびれ、下痢や便秘、食欲不振の原因になる上、よく眠れなくなり寝不足にもなる。眠れないと昼間の生活もうまくいかなくなり、ストレスがたまるのでさらに交感神経が高まるという悪循環に入ってしまう」
と話します。
アメリカで怒りやすい人へ実験を行ったところ、ヤケドが圧倒的に治りにくくなることが証明されたことについても、古賀名誉教授は、
「やけどなどの傷が治るには、十分な血液が栄養素や酸素を傷口に運ばなければならない。交感神経が血管を収縮させると、栄養素や酸素が運ばれにくくなるので治りにくくなる」
と、怒ると血の巡りが悪くなる点が原因であると指摘します。
スポンサーリンク
怒るとどうなるか、実験
怒ると本当に交感神経が優位になるのか? 実験の参加者には怒りの実験とは知らせず、10円玉を立てるという作業をしてもらい、その作業中に邪魔をして、わざと怒らせます。
怒りと交感神経の関係は、「心拍変動モニター」を使ってをチェックすることができるそうです。これは心拍数から交感神経の働きを計測できる機械で、数値が上がるほど怒っていることがわかるしくみです。
10円玉が倒れたり、邪魔をされるとグラフが上昇しますが、怒りを表現することで少しほっとし、数値が下がるという現象が見られました。計測結果のグラフを見ると、激しく上下していることがわかります。
つまり、怒ると確かに交感神経が活発になっていることが実験からわかりました。
スポンサーリンク
怒りっぽい人は、どう気をつければいい?
怒りっぽい人の気をつけ方として、古賀名誉教授は、
「自分を変えていくことが必要。Anger management(怒りのやりくり)を上手にして、怒らないようにすることを自分で勉強していくことがとても大事だ。また怒り方にしても激高するのは良くなく、諭すようにちゃんと言う怒り方をすると、怒られたほうも怒った人を理解することができる。」
とします。また10円玉を並べる実験の際、怒りをリリースすると交感神経の数値が下がったように、怒ってはいけないのではなく、上手に吐き出すことが「マネジメント」につながるとのことです。
日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事は、企業や政府などでセミナーを積極的に行い、著書も多数あります。安藤氏は、
「怒りの感情はアレルギーに似ていて、ある出来事があったとき、それについて怒る人もいれば怒らない人もいる。」
と言います。
10円玉を並べる実験でも、参加者の中にはグラフが上下しない=イライラしていない人もいて、反応には個人差が大きかったようです。
怒りには個人差がある理由について安藤氏は、
「人が怒るのは、各人が信じている『コアビリーフ』が裏切られたときだ」
と解説します。コアビリーフとは、自分が「こうあるべき」と信じているもののことだそうです。
「こうあるべき」には境界線があり、次の3つに分けられるとのことです。
◯自分と同じ考えや行動
◯自分とは少し違うが許せるもの
◯許せないもの
そして、このコアビリーフは個人によって違うということが鍵で、「早めにやっておいて」と言われた場合、その「早め」を5分以内と受け止める人もいれば、今日中でいいと感じる人まで、感覚には大きな差があります。「少し違うが許せる」の幅が狭い人は怒りっぽくなりがちなので、意識してコアビリーフの幅を広げていくことが、怒りを減らすコツのようです。
日本アンガーマネジメント協会のウェブサイトはこちらです。https://www.angermanagement.co.jp/
怒りの対処術を学ぶためのコラムや出版物の紹介、協会が行うアンガーマネジメントの講座情報や企業でのアンガーマネジメント研修についてなど、内容も豊富です。
次のページでは無料のアンガーマネジメント診断もできるので、興味のある方は試してみられてはどうでしょうか。
https://www.angermanagement.co.jp/angrybirds
スポンサーリンク
怒ってしまいそうな時の対処法
10円玉を立てる実験で、参加者が10円を立てるのを失敗したときに、「6秒数えて下さい」と書いた紙を見せると、数値が急激に下がり、そのあともイライラすることがなくなりました!
「6秒数えること」が怒りを鎮めるキーワードだというのです。このことについて古賀名誉教授は、
「いきなり自分の感情を爆発させずにうまくブレーキをかけることが大事。まずブレーキを少し踏んでから、その後自分の気持ちをゆっくり出していくことが、6秒の中に凝縮されている」
との見解です。
アンガーマネジメントの実践例
クリニック「イーク丸の内」でもアンガーマネジメントを取り入れています。50人以上のスタッフをまとめる野口由紀子院長は、
「医療現場は怒りが渦巻く場所。怒りの性質は伝染するので、一人でも機嫌悪く働いていると周りにも伝わり、連絡漏れやミス、最悪の場合は患者の命にも関わりかねない。感情のコントロールは医療安全的にも大事だ」
と言います。
山口県防府市の介護施設「はぴね防府」では、アンガーマネジメントの一方法である「アンガーログ」を取り入れているそうです。これはイラッとしたことをその場で書きとめる怒りの日記で、河内れい子施設長が職員と試したところ、毎年10人いた離職者が昨年は出ませんでした。加えて怒りで仕事が進まないということがなくなり、残業時間も半分に減ったり、施設利用者への対応もよくなることで夜間コールも減るなど、大きな成果が出ています。
怒りを記録することの効果について、安藤氏は、
「記録しておくと、自分の怒りのパターンや傾向が見えてくるので、予防ができる。例えば朝の電車で必ずイライラすることがわかれば、その電車に乗らないなど、自分が怒りを感じる状況を作り出さないように対策をすることができる」
と解説します。
簡単な自己催眠もアンガーマネジメントに効果があるそうです。
<自己催眠の方法>
①いすに座って目を閉じ、手を横に下げ、「両手が重くなってきた」と暗示をかける
②「額が涼しくなってきた」と想像する
③「おなかが温かくなってきた」と想像する
これは、最も副交感神経が優位なときの状態だそうで、怒りっぽい人はこれを1日数回行うとよいとのことです。
「笑うことも大事で、笑うから楽しいということもある」と語る古賀名誉教授が提案するのは、口角を上げて笑顔を作りながら話すことだそうです。
スポンサーリンク
まとめ
怒りは人間関係を悪くするだけでなく、病気を引き起こすなど健康にもよくないものです。ただ、アンガーマネジメントで怒りを上手にコントロールできることもわかりました。6秒数えることはすぐにでも取り入れられますし、怒りを記録したり、自己催眠も有効です。「自分とは違うけど許せる」という心の広さを持つことも大事でした。自分にあったアンガーマネジメントの方法を取り入れて、ハッピーで健康に過ごしたいものです。