統合失調症の治療と再発予防法~きょうの健康より

精神疾患の1つで、幻覚や妄想などの症状がある「統合失調症」。きちんと治療を継続することが、患者が安定した生活を送るためには重要だそうです。
先日の『きょうの健康』は、統合失調症の治療がテーマでした。予防精神医学が専門の水野雅文先生(東邦大学教授)が、薬物治療やリハビリテーション(心理社会的治療)について詳しく解説していました。

 

スポンサーリンク

 

統合失調症の治療方法

統合失調症の治療法には、薬物療法とリハビリテーション(心理社会的治療)があります。治療には統合失調症の再発を防ぐという大きな役割があります。
番組によると、治療を中断すると70%、薬のみの治療では30%が再発。けれども、薬物療法とリハビリテーションを組み合わせた治療を続けると、再発率は8%まで減少するとのことです。

20170209114945

きょうの健康『知っていますか統合失調症』より

発病から2、3~5年以内が、脳機能の障害や神経機能のダメージを回復させやすい期間だそうです。ですから、その期間に治療を開始するのが大切だと水野先生は説明していました。
統合失調症の治療の目的は、症状を落ち着かせて安定した状態を保つこと、QOL(生活の質)の改善、就労・就学などその人らしい生活を送れるようにすることだそうです。

20170209115038

きょうの健康『知っていますか統合失調症』より

 

スポンサーリンク

 

統合失調症の薬物治療

統合失調症の薬物療法の第一選択薬は、抗精神病薬の非定型抗精神病薬だそうです。この薬は、ドパミンなど神経伝達物質の働きを抑えることで、幻覚や妄想などの症状を改善することができます。

薬の服用期間には個人差があります。発病から1~2年間は、この薬が症状の再発を予防する効果があると多くの研究で証明されているとのことです。
副作用には、食欲が増すことからの体重増加、血糖増加、脂質異常などがあります。ですから、運動をしたり、規則正しい生活を送ったりすることが大切だと水野先生は話していました。
なお、非定型抗精神病薬は、糖尿病患者には使えません。糖尿病がある人は、そのことを医師にしっかりと伝えておくことが重要です。

20170209115131

きょうの健康『知っていますか統合失調症』より

 

スポンサーリンク

 

統合失調症のリハビリテーション(心理社会的治療)

統合失調症の人たちは、社会生活のさまざまなことを苦手に感じたり、自分の感情を表現したりすることが難しくなってしまいます。このような状況を改善するのに用いられるのが、ゲームやロールプレイなどのリハビリテーションなのだそうです。

神経認知機能のリハビリテーション

認知症に比べれば軽いものの、統合失調症の症状の1つに、軽度の認知機能障害があります。程度が軽くても、集中力が落ちる、物忘れをするなど、日常生活に支障をきたすこともあるのです。そこで、神経認知機能のリハビリテーションでは、楽しみながら、たくさんのアイデアが浮かぶ思考力(思考の流ちょう性)や、やる気を高める力(内発的動機付け)を改善させるそうです。
番組では、神経認知機能のリハビリテーションの例として、グーチョキパー・チャレランを紹介していました。

20170209115253

きょうの健康『知っていますか統合失調症』より

チャレランとはチャレンジランキングの略です。スタートはグーからです。どのグーを選んでもいいのです。そして、グー、チョキ、パーの順番に進んでいきます。進めなくなったところで終わりです。なるべく多くのマスを進めるように考えるのがゲームの目的です。交差はできますが、同じ場所は2度通れません。
このゲームは、間違えてもやり直せるので、頭の柔軟性を改善することができるそうです。

社会認知機能のリハビリテーション

社会認知機能のリハビリテーションは、あいさつ、買い物、薬やお金の管理など、統合失調症の患者が自立した日常生活を送れるようにするのを助ける目的で行われるとのことです。
ロールプレイでは、患者の不安に寄り添いながら、日常生活で起こるシチュエーションの模擬練習をします。ロールプレイに参加するのは、作業療法士や臨床心理士、そして、複数名の患者です。ロールプレイの手順をまとめておきます。

1. 事実を確認:例えば、昼休みに何を話していいかわからない患者に対して、どのような状況なのか確認する。
2. 気持ちを確認:患者がその状況をどのように思っているかを確認する。
3. 解決案を出し合う。
4. その状況を設定して、模擬練習を行う。

デイケア

デイケアは統合失調症のリハビリテーションの1つで、患者同士で料理やチームスポーツなどの共同作業を行うことだそうです。
料理の場合は、患者たちが予算、メニュー、買い物、調理を共同で行います。
共同作業には、役割を得て自信がつく、規則的な生活リズムが身につく、人付き合いがスムーズになるなどの効果があるとのことです。

 

スポンサーリンク

 

統合失調症の治療を継続するために

水野先生によると、統合失調症の治療は「焦らない」ことが重要だそうです。また、周囲が病気について理解することで、患者本人は安心感が得られ、それが、自信になり、症状の回復にもつながるとのことです。

mametisiki

水野先生は、統合失調症の症状、治療法を詳しく解説した本を執筆しています。

ササッとわかる「統合失調症」 (図解 大安心シリーズ)
水野 雅文

まとめ

統合失調症の改善や再発防止には、2つの治療法を継続することが重要なのですね。また、周囲の理解が患者の回復につながるということなので、もしものときのために、統合失調症について、しっかり理解しておきましょう。


スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。