女性の尿漏れの原因と対策~きょうの健康より

40代以上の女性の3人に1人が「尿漏れ」を経験しているそうです。多くの人が経験する尿漏れですが、人にはなかなか相談できませんよね?
先日の『きょうの健康』では、女性の尿漏れの原因や治療法について、尿失禁の治療が専門の井川靖彦先生(東京大学大学院特任教授、泌尿器科)が解説していました。尿漏れに悩む女性にとって、とても参考になる内容でしたのでまとめておきます。

 

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女性の尿漏れは2つのタイプに分けられる

女性の尿漏れには、「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」があります。女性の尿漏れの約8割が骨盤底筋のゆるみが原因の腹圧性尿失禁で、約5割が脳と膀胱の連携がうまくいかないことが原因の切迫性尿失禁だそうです。約3割の人たちが、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁を併発しているとのことです。

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きょうの健康より

腹圧性尿失禁の仕組みと治療法

腹圧性尿失禁の場合、せきやくしゃみをしたとき、重いものを持ったときなど、急におなかに力が入ったときに尿が漏れます。腹圧性尿失禁は、膀胱や子宮を下から支えている骨盤底筋という筋肉が緩むことで起こるそうです。骨盤底筋が緩むのは、妊娠・出産で筋肉がダメージを受けたことが主な原因です。骨盤底筋が緩むと、膀胱が定位置から動いてしまい、尿道が開きやすくなると井川先生は説明していました。

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きょうの健康より

腹圧性尿失禁の治療には、緩んでしまった骨盤底筋を鍛える「骨盤底筋訓練」があります。番組では椅子に座って行う筋トレを紹介していました。

骨盤底筋訓練のやり方

1.椅子に足を肩幅に開いて座ります。
2.おしりやおなかの力を抜いてリラックスをします。
3.おなかやおしりの力は抜いたまま、膣や肛門に力を入れます(排尿の途中で尿を止めるような感じです)。
4.3の状態を5秒間キープします。
5.さらに強く「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ」と短く3回力を入れます(急な尿漏れを防ぐ訓練です)。
6.力を抜きます。

4から6を10回1セットとして、1日3セットから5セットの訓練を3か月続けると、3割ぐらいの腹圧性尿失禁が改善するとのことです。

骨盤底筋訓練を正しい方法で3か月続けても尿漏れが改善しない場合は、適切な医療機関を受診することを井川先生は勧めていました。腹圧性尿失禁は、骨盤底筋を支えるためのテープを骨盤の中に入れる手術で治すこともできるそうです。

 

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切迫性尿失禁の仕組みと治療法

切迫性尿失禁の主な原因は、加齢による過活動膀胱だそうです。
通常、膀胱に尿が溜まると脳に尿意が伝えられます。そして、脳から「排尿してください」という指令を膀胱が受けてから排尿します。けれども、過活動膀胱の場合、この脳と膀胱の伝達がうまくできずに、膀胱が勝手に収縮してしまうために尿漏れが起こるというわけです。

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きょうの健康より

過活動膀胱の治療には「行動療法」と「薬物療法」があります。

過活動膀胱の治療~行動療法

「生活上の注意」
過活動膀胱を改善するには、利尿作用のあるカフェインやアルコールの摂取を控えることが大切です。また、水分の取りすぎも症状を悪化させてしまうとのことです。そして、便秘になると膀胱が刺激を受けて症状が悪化してしまうので、便通にも気をつけなくてはいけないそうです。

「膀胱訓練」
膀胱訓練とは、尿意があっても、ある程度尿が溜まるまで排尿を我慢することです。膀胱訓練で、膀胱の収縮を抑えるコツを掴むというわけです。日本人女性の膀胱の容量は約400mlなので、1回の尿量が150ml以下の場合は、もっと溜めてから排尿することができると井川先生が説明していました。

過活動膀胱の治療~薬物療法

過活動膀胱の治療には、膀胱の収縮を抑える「抗コリン薬」や膀胱の筋肉を緩める「β3作動薬」が使われます。抗コリン薬には、便秘や口が乾くといった副作用があるそうです。それで、副作用のないβ3作動薬が、第一選択薬として使われることが多いとのことです。けれども、β3作動薬は動物実験で子宮や卵巣に影響があることがわかっているので、閉経前は使用しないと井川先生は説明していました。

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尿失禁に加えて、頻尿や排尿痛についても詳しく知りたい方には「女性の尿トラブル―気になる症状を改善する」がお勧めです。
女性の尿トラブル―気になる症状を改善する (別冊NHKきょうの健康)
加藤久美子

まとめ

女性の尿漏れの症状は、ゆっくりと進行するので重症化するまで対策をしない人も多いそうです。ですから、少し尿漏れが気になるなと思ったら、症状によって腹圧性尿失禁なのか切迫性尿失禁なのかを判断して、早めに対策をするようにしましょう。


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