突然ですが、「ホルモン」とは何かを説明することができますか?
「男性ホルモン」や「女性ホルモン」などの形でその名前を聞くことがあるとは思いますが、どういうものかまではよく知られていないかもしれません。
『健康カプセルゲンキの時間』に登場した千葉西総合病院の久末伸一氏によると、
「体内で分泌されるホルモンは、体の働きを調節する大切な情報伝達物質、いわばメッセンジャー」
と説明していました。ホルモンは100種類以上も存在するそうですがその量はとても少なく、たとえば女性の体内で一生のうちに分泌される女性ホルモンの量は、スプーン1杯ほどなんだそうです。これだけの量で、とても重要な役割を果たしているのです。
しかし、ちょっとしたことでそのバランスが崩れると、うつ症状や不眠、疲れやすさなどを感じるようになってしまいます。
「更年期障害」も、このホルモンバランスの変化で発生するものです。
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更年期障害
番組では、街ゆく人に「更年期障害」について尋ねていました。
50代後半の女性は
「なんとなく鬱になった。優先順位が決められなくなり、生きていくのが辛くなる」
と話していました。53歳の女性は
「体力が落ちてきた。眠くなったり疲れやすくなったりしたし、肩コリやめまいも感じた」
と、身体的な変化を話していました。
他にも、更年期障害の症状として、のぼせや火照りなどの「ホットフラッシュ」が出たという人も多数いましたが、その一方で「ほとんど症状が出ていない」という人もたくさんいました。
女性医療クリニックの関口由紀氏によると、この差は「性格と環境」によるといいます。
性格的にはネガティブ思考の人の方が発症しやすく、環境的には家族の介護をしていたり子どもが受験中だったりなど、ストレスが多い人ほど発症しやすいそうです。
また、「月経前症候群(生理前のイライラ・頭痛、眠気など)」が重い人は更年期障害も強いという傾向もあるそうです。
更年期障害の発症には女性ホルモンが関わっています。
女性ホルモンの主要成分であるエストロゲンは、50歳プラスマイナス5歳の間に体内からほとんどなくなってしまうそうです。
健康カプセルゲンキの時間より
エストロゲンは女性ホルモンの代表格で卵巣から分泌される物質です。血流にのって体内をめぐり、女性らしい体を作ったり美肌を維持したりする働きがあるため、美肌ホルモンと呼ばれることもある女性ホルモンです。
これが減ってしまう時期が更年期なのです。
脳の司令塔である視床下部からエストロゲンを増やすよう卵巣に司令を出していますが、卵巣の機能が低下しているとエストロゲンを作れなくなります。司令を無視されて混乱した視床下部は暴走し、自律神経に影響を与えて乱れさせてしまいます。
その結果、心と体に不調をもたらす更年期障害があらわれるのです。
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エストロゲンを増やす“ホル活”
エストロゲンを増やす効果として近年注目されているのがヨガです。
ヨガは乱れた自律神経を整えてくれるので、寝る前に10分間ヨガストレッチをするだけで更年期障害の症状が改善されるといいます。
ポイントは、ポーズの組み合わせです。
健康カプセルゲンキの時間より
前半は運動強度が高い立ちポーズなどを行い、後半は寝転がって行うようなリラックスできるポーズを行うようにします。
この組み合わせでよく眠れるようになり、自律神経の乱れを改善することができます。
女性ホルモンの減少の対策に効果的な食品
ビールと枝豆
ビールの原料であるホップには「フィストロゲン」という「女性ホルモン様成分」が含まれています。
女性ホルモン様成分というのはその名の通り女性ホルモンのような成分のことで、その構造と働きが女性ホルモンととてもよく似ているので、エストロゲンが減ってしまっている人にはとても有効です。
そして枝豆には「大豆イソフラボン」が含まれています。大豆イソフラボンも女性ホルモンと似た働きをするので、女性ホルモンの減少対策という観点ではビールとの組み合わせは最適です。
大豆(納豆、豆腐、豆乳など)
大豆を摂ると、エクオール産生菌という腸内細菌が、大豆を餌にして「エクオール」というエストロゲンに似た働きをする成分を作り出してくれるので、女性ホルモンの減少に有効です。
ゴマ
ゴマに含まれる「セサミン」も、女性ホルモンと似た働きをします。
他にも白髪の予防効果がある「アントシアニン」など、女性にとって嬉しい物質も含まれているので摂取を心がけましょう。
参考:
楽天WOMAN
JCASTヘルスケア
楽天WOMAN
男性更年期障害
男性にも更年期障害があります。
「もともと健康には自信があった」というIさん(46歳)は、6年前に体に異変が起きました。本人によると
「インフルエンザの症状の熱がないような症状。頭が痛くてだるい。パワー切れという感じ」
だったそうで、特に朝はつらく、起き上がることもできなかったそうです。
さらに、1年半で体重が20キロ増加するという変化や、重いものを持ち上げた時に腰椎を圧迫骨折するという異常も生じたそうです。
結果、会社を休職せざるを得なくなってしまいました。
Iさんを診断した久末氏によると、Iさんの男性ホルモン値は5.2pg/mlだったそうです。この数値は8.5を切ると黄色信号とされており、Iさんの値は40歳代男性の3分の1程度でした。
男性ホルモンであるテストステロンは精巣から放出されるもので、二十歳をピークに年齢とともにゆっくり下がっていきます。減少の仕方は女性と違って緩やかであるという特徴がありますが、ストレス等が原因で激減することもあります。
Iさんは眠りが浅く、夜中に何度も起きたりしていたそうで、その睡眠不足も影響してテストステロンが激減したと考えられます。テストステロンは寝ている間に作られて、朝起きた時に一番高い値になるので、睡眠時間が短いほど値は下がります。
健康カプセルゲンキの時間より
テストステロンは男性らしい体を作る役割があり、意欲や気力、冒険心など心との関わりもあります。内臓脂肪をつきにくくするという働きもあるので、Iさんの体重が20キロ急増したのもテストステロンの減少が原因と考えられます。テストステロンの減少はメタボを誘発するので、心筋梗塞などのリスクが4倍になるという報告もあるそうです。
テストステロンは女性にとっても重要なホルモンです。
女性は男性の10分の1程度のテストステロンをもっていて、エストロゲンの原料になっているのです。また、男性と同じようにテストステロンが多い方が元気で、意欲的になるそうです。
テストステロンを増やす“ホル活”
テストステロンを増やすには、睡眠と亜鉛、筋肉の3つがカギになります。
質の良い「睡眠」をしっかりととることが重要なので、夜中に何度もトイレに行く人は要注意です。
「亜鉛」はテストステロンの生成に関わっている物質で、牡蠣や牛肉に多く含まれています。
「筋肉」が増えるとテストステロンの生成量が増えます。
トレーニングをする部位としておすすめの部位は、体の中でもっとも大きい筋肉である太ももです。
片足を前に出して行うスクワットを1日10回3セット(片足ずつ)、無理はしないようにしながら行いましょう。
健康カプセルゲンキの時間より
きつい場合は、イスなどで体を支えながら行ってください。
更年期障害の対処法
女性医療クリニック・LUNAグループの門間美佳氏は
「性格は変えられないが、趣味など熱中できることがあると良い。宝塚の追っかけをしているうちに更年期が過ぎた、という患者さんもいた」
と話していました。
女性にとってもテストステロンは重要であることを指摘し、
「エストロゲンが激減しても(テストステロンが増えればエストロゲンが)少量作られることがある」
と、その効果を説明していました。
エストロゲンがわずかでもあれば肌ツヤがよくなるなどの効果もあるので、意識してみると良いでしょう。
更年期障害ではなく、「橋本病」かも?
更年期障害と思いきや、違う病気であるということもあるそうです。
Sさん(55歳女性)は10年ほど前から不調があらわれ始めました。子どもの進学で引っ越しをし、仕事探しをはじめるなど、慣れないことだらけで緊張が続いていた頃でした。
倦怠感や気力がわかないといった症状があらわれだし、階段をあがることも億劫になってしまいました。肌も乾燥しはじめたため「更年期なのかな」と考えていたそうです。
次第に、食べなくても体重が増えるようになり、45歳の頃にはのどにひっかかるような違和感を覚えるようになりました。
病院へ行くと甲状腺の腫れを指摘され、「橋本病」であることがわかりました。
橋本病(甲状腺機能低下症)は、伊藤病院副院長の杉野公則氏によると、
「別名慢性甲状腺炎。慢性の炎症が起きて甲状腺ホルモンの分泌が悪くなることで起きる」
といいます。
甲状腺は喉仏の下、気管の前にあります。
健康カプセルゲンキの時間より
ここから出るホルモンは代謝を活発にする元気の源になっています。
橋本病は甲状腺の機能が落ちてこのホルモンが減少することであらわれる病気です。だるさや集中力の低下、肌荒れ、むくみ、冷え、体重の増加などの症状が出ます。患者は女性が多く、4〜50代に多いため更年期障害と勘違いし、放置してしまう人が多いそうです。
甲状腺機能の低下が進むと、心不全や意識障害が起こることもあり、最悪の場合は死に至ることもあります。
埼玉医科大学総合医療センターの松田昌史氏によると要因は遺伝が大きいといいますから、家系を知ることが重要になります。健康診断でコレステロール値が異常値まで上がった場合には橋本病も疑うべきだそうです。
この病気は血液検査でわかるので、医療機関で診てもらうようにしましょう(一般内科で検査してもらえるそうです)。
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まとめ
今回はホルモンに関わる病気についてまとめてまいりました。
更年期障害と橋本病が同時期に起こりやすいというのは厄介なことです。
あきらかに不調が続くようなら放置せずに、病院へ行くようにしましょう。