血栓予防で脳梗塞予防~ガッテン!より

「脳梗塞」は、動脈硬化などが原因でできた血の塊(=血栓)が脳の血管に詰まって、脳細胞にダメージを与えることで起こる現象です。

死のリスクもある脳梗塞は年間約16万人が発症していますが、近年新たな治療法が誕生し、緊急搬送されてから1時間後には手が動かせるようになり、1週間後には1人で歩けるようになるまで回復させることが可能になってきています。

しかし、脳梗塞の中には、この特効薬も効かない重症化しやすいタイプも存在します。このタイプの脳梗塞になるとおよそ半数の人が寝たきりになり、死亡する場合も少なくないといい、しかも、脳梗塞の中でもこのタイプの割合が増加傾向にあるといいます。
そこで今回は、重症化するタイプの脳梗塞に関する情報を特集していた『ガッテン!』を中心に、情報をまとめてまいりたいと思います。

 

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脳梗塞について

下の図は、軽度〜中程度の脳梗塞を発症した脳を写した画像です。

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白くなっているところは、血管が塞がれて血液が行き届かなくなり、ダメージを受けている部分です。
そして、下図が重度の脳梗塞の画像です。

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脳が広範囲にわたってダメージを受けていることがわかります。

これだけの違いがありますから、軽度〜中程度と重度とでは1年後の生存率に大きな差が出ます。

ガッテン!より

脳梗塞の重症度は、軽度から重度に移行していくのではなく、そもそもの発症の仕方が異なります。
軽度〜中程度の場合に脳の血管に詰まった血栓は…

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この程度ですが、重度の場合は…

ガッテン!より

およそ3センチもの血栓が脳の血管に詰まっているのです。
驚くべきことに、この大きな血栓はその場で固まってできるものではなく、心臓でできたもので、それが血管を流れ、脳まで到達するのです。
心臓で血栓ができるのは、心房という部位が細かく震える「心房細動」という異変がきっかけになります。

 

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心房細動で血栓が大きくなる理由

なぜ、心房が細く震えると血栓ができやすくなるのでしょうか。
番組では、東京医科歯科大学名誉教授の高谷雪雄氏の監修のもと、人工心臓で心臓の動きを再現し、心房細動が生じた際の心臓の様子を観察する実験を行っていました。
心房部分に振動が加えられると、血液のスムーズな流れがなくなり、血が滞るようになりました。
その結果…

ガッテン!より

こんなに大きな血栓ができてしまいました。

左心房ででき、放出された血栓は左心室を通って大動脈に入り、そこから脳へと向かう血管に入ります。血栓は柔らかいため、血管の形に変形して侵入して行くそうです。
脳に行き着くと、脳の上流部分につまって脳の広範囲にダメージを与えてしまいます。

近年、心房細動と認知症の関係についても報告されています。
下図は心房細動のある認知症患者の脳のMRI画像です。

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異なる場所で小さな脳梗塞がいくつも起こっています。
心臓でできた血栓が大きくなる前に次々に飛び出していき、こうして脳にダメージを与えて、認知症を引き起こしたと考えられています。
一つ一つでは無症状ですが、これが積み重なると認知症の引き金を引く可能性があるといいます。

血栓ができるその他の要因

血栓の原因になるのは心房細動だけではありません。
たとえば以下のようなものも要因になります。

1,動脈硬化などによる血管内皮の損傷
2,長期臥床などによる血流,血圧の低下
3、血液性状の変化

1にある血管内皮は、喫煙や高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病などでも損傷する可能性があります。
2に関しては、他にも動脈瘤や静脈瘤など血流が渦巻く場所にも血栓が生じやすくなります。「血液の滞留」が原因になるということなので、ギブス固定なども原因になりえます。
3に関しては、高脂血症や脱水症状時、妊娠・出産時、老齢などでは血液成分が変化しているため血栓が生じやすくなるそうです。がんなどによる血液凝固性の亢進も要因になります。

血栓の原因となる動脈硬化は、実際には20〜30代の頃に発症し始めています。長い時間をかけてじわじわと、命を脅かすリスクを上げていくのです。

参考:
「血管のアンチエイジング」に努めることの重要性
血栓

 

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心房細動に気づくには

自分で心房細動に気づくことはできるのでしょうか?

日本人で心房細動が起きている人は170万人くらいいると考えられています。
検査で心房細動があると発覚した人の中で、心房細動の自覚症状がなかった人は38%で、動悸や息切れなどを感じていた人が62%だったといいます。

しかし、動悸や息切れなどの症状が出ても「心房細動かも」とは、普通は思いません。
循環器の専門医によると、「初期の心房細動は頻繁に発作が起きるわけではなく、たまにしか起きない場合がほとんど。医療機関を受診して心電図をとっても、発作を起こしていないと正常と判断されてしまう。それで見逃される可能性が十分にある」といいます。
健康診断などの1日の検査でも、わからないことが多いのです。

しかし、家で異常の有無を調べる方法はあります。
番組に登場したTさん(60代男性)は、剣道8段の腕前の持ち主で体力に自身がありました。しかし2年前の春、剣道の練習から帰ってきたときにいつもよりも疲れを感じたそうです。好きなお酒も飲む気がしないほどでしたが、ちょうどその時は暑くなる時期だったので「季節の変わり目だからかな」と考えて特に気にしなかったと話していました。
しかし3日後、「まだ疲れが取れない」と話すTさんの様子を見た奥さんが、Tさんのお母さんが心房細動だったことを思い出し、Tさんの脈をとりました。
すると、脈が不規則であることが確認できたといいます

正常な脈のリズムは下図のようになります。

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異常になるととても速くなります。
下のように不規則になる場合もあります。

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正しい脈のとりかた

大分大学医学部附属病院循環器内科の高橋直彦氏が脈の正しいとり方を解説していました。
左手の親指の付け根のところ(手首を曲げるとシワが寄るあたり)に動脈が走っているので、ここに右手の人差し指・中指・薬指を少し立てながら当てます。

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少し強めに押さえると見つけやすいそうです。

不規則である場合や15秒間に25回以上も脈を打つ場合、あるいは逆に15秒間に10回以下しか脈が無い場合、それから脈が弱くて計測できない場合も注意が必要だそうです。

血圧計でも異常の有無を知ることができます。
普段なら脈拍70くらいある人が、ある時測ったら120〜130出た場合は、心房細動が起きている可能性があります。エラーや測定不能になる場合も心房細動が疑われます。

24時間装着して1日の心臓の動きにどんな変化があるかを調べることができる機械もあります。
心房細動のある男性に実際に装着してもらい、翌日に医師が見ると、24時間で3回異常出ていました。
異常が出た時間帯は、夕方5時ごろに散歩をしていた時と、夜8時ごろにテレビを見ていた時、そして就寝中の朝方6時ごろでした。
これらの時間帯に共通するのは、副交感神経が優位な時であるということです。

心房細動患者150人のデータがあります。

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リラックスしている夜間に起きやすいことがわかります。60歳未満の若いほど、夜中に起きやすいそうです。
この特徴から、寝る前や朝起きてすぐに脈をとると異常の有無を確認できる確率が高まります。

まずは1週間測ってみて、異常な脈を複数回確認したら循環器内科へ行きましょう。

心房細動を起こしやすい人

高齢者ほど心房細動を起こしやすくなりますが、近年は50代〜60代位の比較的若い世代にも心房細動が多くなっているのではないかといわれているそうです。
これは生活習慣病と密接に関わっていると考えられます。
下の画像は心房細動が起きている50代男性の心臓の図です。

ガッテン!より

黄色い部分は脂肪です。
脂肪の量が多い人ほど心房細動が起きやすいことがわかっているそうです。

心房細動を起こしやすい人は…
・ 高血圧
・ お酒をよく飲む
・ 肥満(男性ならウェストが85センチ以上、女性なら90センチ以上)

加齢はどうしようもないため、上記のような要因を取り除くように生活習慣をつければ良いと言うことです。

心房細動が見つかったら

番組に登場した男性は、18年前に心房細動が見つかりましたが今でも元気に生活されています。
それは「抗凝固薬」という処方薬を朝晩飲み続けているためで、この薬の効果で血栓さえできなければ、心房細動とうまく付き合ながら日常生活を送ることができるのです。
ウォーキングを中心とした運動も続けているといいます。1日30分ほどの適度な運動で症状の軽減が期待できるそうです。

また、心臓の震え自体を止める方法もあります。
3年前に心房細動と診断されたKさん(女性)はカテーテルアブレーションという手術を受けました。
足の付け根の静脈からカテーテルを通し、震えの原因となっている部分の内側を焼いて、震えの発生を防ぐ手術です。

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治療の成功率も器具の発達とともに上がっているそうです。
医師は「初期の辛抱細動であれば多くの患者さんが治る。90%以上が再発しない」と話していました。しかも、手術翌日には自分で立って歩くことができ、早ければ2日後には退院できるそうです。
この手術は年間約5万人が受けていますが、手術にはリスクが伴うので、主治医とよく相談して決めるようにしましょう。

 

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まとめ

今回は危険な重度の脳梗塞について、その原因となる心房細動を中心にまとめてまいりました。
動悸や息切れを感じる方はまずは脈をとってみるということと、加齢や遺伝という原因を除けば生活習慣によって引き起こされるのが心房細動なので、不適切な週間はなるべく排除するよう心がけるようにしましょう。


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