メガネの選び方~頭痛・肩こり・疲れ目改善~ガッテン!より

現在、日本では7500万人以上がメガネをかけて生活しています。
近視や遠視、老眼など、眼鏡が必要になる理由は様々ですが、眼鏡をかけている人の8割〜9割は自分に合わない眼鏡を使用している可能性があるといいます。合わないメガネを使っていると、疲れ目や頭痛、肩こりなどの症状が出ることもあります。
今回は、生活の質と密接な関係のあるメガネについて特集していた『ガッテン!』を中心に、正しい眼鏡の選び方などについて情報をまとめていきたいと思います。

 

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自分に合ったメガネ=楽なメガネ

近年、眼科などに導入されはじめた「調節機能解析装置」では、今まで測ることができなかったことを測ることができるようになり、ひとりひとりで違う“目の個性”がわかるようになりました。
この装置を使って検査を受けると「メガネの処方箋」が出され、それを眼鏡屋さんに見せれば、本当の意味で“自分に合ったメガネ”を作ることができるそうです。
番組で取材した際に、はじめて自分に合ったメガネをかけた男性は「すごく楽。かけた瞬間にわかる。顔にぎゅっと力を入れていたものがふっとなくなるので凄く楽。」と話していました。他にも数名の方がインタビューに答えていましたが、共通しているのは「よく見えるようになる」と言うよりも「楽に見えるようになる」ということでした。

自分の目の何がわかると、楽に見られるメガネを作ることができるのでしょうか?

 

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メガネで楽に見ることができるようになる理由

番組では“目の個性”を知るための実験が行われました。
視力が1.0である老若男女15人に、「ランドルト環」(視力検査の際に見る「c」のような形をした輪)を5メートルの距離から少しずつ近づけていって、何メートルの距離でランドルト環の向きがわかったかを手元の矢印で答えてもらう実験です。皆さんほぼ同じ視力なので、当然、ほぼ同じ距離で正解がわかりました。
次に、日本眼光学学会理事の梶田雅義氏の合図で部屋の明かりを消します。暗闇で一瞬だけランドルト環に光を当てながら被験者に近づけていくと、今度は何メートルの距離で正解できるかを測定します。
1人の被験者は3.5メートルで正解しましたが、他の人はまだ正解が見えていませんでした。

ガッテン!より

写真のように、最初の実験と違って正解できる距離にばらつきが出ます。3回の実験の結果、同じ視力であるにも関わらず見える距離はバラバラであることがわかりました。
この実験は、梶田氏いわく「どこを見るともなく、ぼーっと見ている時にどこにピントが合っているのかを探す実験」だそうです。

遠くにあるランドルト環に最初から焦点が合っている人は、ほぼいません。
目の中には水晶体を調節する「毛様体筋(もうようたいきん)」という小さな筋肉があります。毛様体筋が水晶体を引っ張って薄くすることで遠距離にピントが合い、水晶体を挟むようにして水晶体を膨らませると近距離にピントが合うようになります。このように、毛様体筋は、見たものの像が目の奥にある網膜という場所でしっかりと焦点が結ぶように、水晶体を調節しています。
一般的な視力検査では、毛様体筋が限界まで力を振り絞って水晶体を引っ張ったときにどこまで見えるかを検査します。いわば“無理した視力”の限界値を知る検査です。しかし、暗闇では毛様体筋はリラックスした状態になるため、電気がついた瞬間(=毛様体筋が活動する直前)に測定すると、目が一番楽な状態で見られる視力を知ることができるのです。

メガネをかけて疲れる理由

毛様体筋の力を借りずに、レンズで遠くを見るようにするのがメガネです。遠くを見るときは目の助けになるのですが、本やスマートフォンなど近くにあるものを見るときには水晶体を分厚くさせる必要があり、毛様体筋は疲労します。そして、疲労が溜まっていくと疲れ目や肩こり、頭痛等につながることがあります。

先程の実験結果からもわかるように、楽に見える距離は人それぞれなのですが、メガネによって特に問題が起きやすいのは「楽に見える距離が遠い人」です。楽に見える距離が遠いほど、近くを見るときに毛様体筋がより頑張らないとピントを合わせることができないため、疲労が大きくなるのです。

楽に見える距離が遠いタイプであるTさん(40代男性)は視力が0.1以下で、メガネが欠かせません。
Tさんの悩みは「一昨年、去年と立て続けにメガネを作ったが、なかなか目に合ってくれなかったこと」ということで、番組では、メガネをかけたTさんが近くを見るときに毛様体筋にどれだけ負担がかかっているかを調べていました。
「様々のデータが記された辞典をノートにひたすら書き写す」という単純作業をTさんに10分間続けてもらったところ、ノートの字に明らかな変化が現れました。

ガッテン!より

近距離にある細かい字を見ることに目が疲れたため、少しでも目を楽にしようとして書く字が自然と大きくなっていたのです。

これまでは遠くを見ることができる目が優れた目であるとされてきました。しかし、現代ではテレビやパソコン、スマートフォンなど近い距離を見るものが生活の大半を占めるようになりました。にも関わらず、遠くをよく見るのに適したメガネを使用している人が多く、梶田氏によるとこれが眼精疲労の原因になっているというのです。

そこで登場したのが、冒頭でご紹介した装置です。
この装置で検査すると…

ガッテン!より

左端は遠くを見たとき、右端は近くを見たときの毛様体筋の負担を8段階にわけて表示してくれます。緑のところは楽にピント調節ができていて、色が赤に近づくと負担が大きくなっていることを意味しています。

人によって検査結果は大きく異なります。
ある人は…

ガッテン!より

5メートル以上の距離を見るときに目に大きな負担がかかっていますが、1メートルあたりだと比較的楽に見え、40センチくらいまで近づくと再び目に負担がかかるという特徴があります。この特徴ですと車の運転には負担がかかりますし、パソコンなど近距離を見るのも疲れるということになります。
この人の特徴からもわかるように、メガネの度数を下げれば必ずしも楽になるというわけではなく、楽になるところで見られるようなメガネにすると楽に見ることができるのです。

別の人の検査結果は…

ガッテン!より

これは老眼であることを示しています。水晶体は年齢とともに硬くなるため毛様体筋が働いても動かなくなります。そうなるとピント合わせがほとんどできなくなりますが、毛様体筋はピントを合わせようとして一生懸命頑張り続けるため、疲労が蓄積していきます。

若い人でも目が悪い人だと、以下のような検査結果になります。

ガッテン!より

医師は「おそらくメガネの度がかなり強いのでは」と指摘していました。このような検査結果が出る人で頭痛や肩こりがない人はほとんどいないそうです。

メガネを新しく作るときに

メガネを作る際のポイントとして、梶田氏は「視力値だけにこだわらないことが大事」と指摘していました。「眼鏡をかけて何に使いたいかを考えることが大事。自分がしたい作業をするのにどのくらいの距離を見る必要があるのかを考えて、その距離が1番楽に見えるメガネを作るようにするとよい」とアドバイスしていました。

眼科医に見てもらう際には、日ごろ気になる点や症状などを、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。

「長時間運転していると目が疲れる」
「デスクワークをしていると肩こりや頭痛がする」

というような感じで具体的に伝え、「楽に見えるメガネにしたい」という一言を伝えるようにしましょう。これは、近視でも遠視でも、老眼でも同じです。

メガネに関する最新情報

「遠近両用レンズ」が一般的になってきました。遠近両用メガネのレンズは下図のように場所によって焦点の合う距離が変わります。

ガッテン!より

遠くを見るときはレンズの上側を、近くを見るときは下側を通して見ることでピントが合うようになっています。
遠近両用は老眼の人向けというわけではなく、最近では、室内での作業に便利な中距離用や、デスクワークなどの目の疲れを軽減させる近距離用のものなども登場しており、幅広い世代で使われるようになりつつあります。コンタクトレンズにも遠近両用があるので、ご自身の用途に応じた製品を探してみてはいかがでしょうか。

現代社会と目

現代の生活では近い場所を凝視するような機会が多いため、それによる視力低下や目の疲れに起因する症状が発生しやすくなっています。
現代ならではという目のトラブルについて、以下に簡単にまとめてみました。

目が酸素不足になる

目の酷使や運動不足などによって、目のまわりの筋肉がこり固まって血流が滞ると、目が酸素不足に陥ります。
目の周りを温めて血流を良くしたり、近距離と遠距離を交互に見て毛様体筋をストレッチしたりなどの工夫をするようにしましょう。

「両眼視」ができなくなる

小さな画面で文字や映像を見たり、ゲームをしたりしている人は、無意識のうちに「利き目」で見ており、顔や体が自然と斜めに傾いていることもあるそうです。これを続けていると左右の目の視力差が広がるため、目の疲労感や頭痛、肩こりなどの不調につながりやすくなってしまいます。
自身で改善するのは難しいため、気になる方は眼科医に相談しましょう。

参考:
目を酷使する人に効く「10秒エクササイズ」

 

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まとめ

今回はメガネに関する常識を覆すような内容でしたが、いかがでしたでしょうか?
その人の目の特徴と普段の生活スタイルによって、“良いメガネ”というのは変わることがおわかりいただけたと思います。
「調節機能解析装置」で検索をすれば、装置が設置されている眼科やメガネ店を近所で見つけることができるかもしれません。今回の特集をお読みになって、「自分もメガネのせいで症状が出ているのでは?」と感じた方は、装置での検査を検討してみて下さい。


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