頻尿・尿漏れ・残尿感の原因と対策~健康カプセルゲンキの時間より

おしっこに関するこんなお悩み、ありませんか?

「トイレに行きたい、と思ったらすぐに行かないと間に合わない…」
「トイレに行ってもちょっとしか出ないから、どうしてもトイレが近くなる…」

なかなか人には言えない悩みですが、中高年のおよそ7割が同じような悩みを抱えているといいます。最近ではCMも増えてきました。

今回は、尿に関するトラブルについて特集していた『健康カプセルゲンキの時間』を中心に、頻尿や尿もれにかんする情報をまとめていきたいと思います。

 

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1回のおしっこの時間は?

健康な人の場合、体内では1日に約1.5リットル(体重× 25ミリリットル)の尿が作れられており、これを日中6回前後に分けて排尿しています。日本大学医学部附属板橋病院の高橋悟氏によると、3キロ以上の哺乳類の動物の排尿時間は平均21秒と言われているそうです。

これはジョージア工科大学のデビット・フー准教授の研究(40種類以上の哺乳類の膀胱と尿道の関係を調査)により明らかになった事実だそうですが、人間の場合、年齢を重ねると排尿時間の長さに変化が生じる傾向があります。

番組では、居酒屋でトイレに入るお客さんの排尿時間を測定していました。
一人目の32歳男性は34秒と長めでしたが、二人目の32歳の男性は21秒でした。同じ年齢でも違いが出ることがわかります。3人目の47歳男性に至っては57秒になっていました。

調査の結果、全体的に見ると若い人のほうが排尿時間が短く、歳を重ねるほど長くなる傾向が見られました。

これについて高橋氏は、男性で排尿の時間が長くなるのは前立腺が肥大している可能性があると指摘しました。

健康カプセルゲンキの時間より

前立腺は膀胱の下にあって、その中を尿道がトンネルのように走っています。前立腺が肥大すると圧迫されて尿道が狭くなり、排尿に時間がかかるようになってしまうのです。

年齢とともに、尿が出きらずに残尿感を覚えることも増えていきます。尿が残っていると排尿が終わってズボンを履いたときに少しだけ出てしまうこともあり、不快な思いをすることもあります。
これは、会陰部に尿が溜まっていたものが出てしまうことで起きます。

健康カプセルゲンキの時間より

この現象をなるべくなくするためには、ズボンのチャックを開けておしっこをするときにズボンをしっかりと下げて、尿道がまっすぐな状態(会陰部がしっかりと伸びるような状態)でおしっこをするとよいそうです。

頻尿とは

尿トラブルで最も多いのが頻尿です。昼夜を問わず尿意に襲われる悩みで、3千万人以上の人が悩んでいます。


(棒グラフの左端が昼間の頻尿、左から2番目が夜間の頻尿を示しています。)

健康カプセルゲンキの時間より

正常な人の排尿回数は3〜4時間に1回で、1日7回以下ですが、頻尿になるとこれを上回ります。膀胱に60%くらい尿が溜まると尿意を催すのですが、頻尿の人はここに異常が生じることで頻尿になっている人が多いのです。

番組ではトイレに行く回数と膀胱内の尿の割合の関係を、頻尿の自覚がある4人の協力者を集めて観察していました。
4人には、超音波によって膀胱に溜まった尿の量を測定できる機械をつけてもらい、1リットルの水を飲んでもらいます。それから2時間観察します。

この結果、4人全員が2時間に3回以上もトイレに立っていました。正常なら3〜4時間に1回なので、大きく回っています。

さらに、膀胱を見る機械の測定結果によると、尿意をもよおすはずの60%に満たない時点で排尿していることもわかりました。


(黄色いラインが60%です。)

健康カプセルゲンキの時間より

これは、膀胱に尿が溜まったと脳が勘違いして、排尿の指示を早く出してしまうために起こります。

この原因として最も多いのは「過活動膀胱」という症状です。

膀胱の尿意を感じるセンサーや膀胱と脳をつなぐ神経にトラブルが起き、膀胱に溜まった尿の量を誤認識してしまう症状で、老化や生活習慣によって膀胱の血流量が低下すると膀胱の弾力性がなくなって尿をじゅうぶんに蓄えられなくなるのです。

頻尿の方は、尿意をもよおした際に1〜 2分我慢するようにしてみましょう。そうすることで尿意が和らぐそうです。これを続けていけば、尿意をコントロールすることができるようになります。

 

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尿もれ

番組では、尿もれの経験がある3人に体験談を話してもらっていました。それぞれの話を聞いて、高橋氏がどのようなタイプの尿もれかを判断します。

Aさん
「歯磨きの時に舌を磨くと良いと聞いたので舌を磨いていたら、ちょっと奥のほうになって“うっ”となったときに下半身に力が入って尿が漏れてしまった。」
Bさん
「待ち時間があったときに、先のことを考えてトイレに行っておこうと思いトイレの真ん前に立った。すると途端に膀胱が満パンになった感じがした。」
Cさん
「家でリラックスしているときに突然、“あれ、おかしい”となることがある。」

高橋氏は「Aさんの場合は、腹圧がかかる動作をしたときに漏れるタイプ」と指摘しました。

健康カプセルゲンキの時間より

これには、尿道を閉める際に働く「骨盤底筋群」が関連しています。骨盤底筋群が加齢などによって衰えると、尿道が緩んで腹圧で尿漏れしてしまいます。くしゃみ等によって尿漏れしてしまう人もこのタイプです。

Bさんについては「切迫性尿失禁」、もしくは過活動膀胱など膀胱にトラブルがあることで生じる、と高橋氏は分析しました。
Cさんについては「リラックスしたときに尿道が緩み、漏れてしまうのだろう。これも骨盤底筋群の衰えが原因」と指摘しました。

骨盤底筋体操

骨盤底筋群は筋肉なので、鍛えることができます。
お尻の穴を3秒〜5秒しめてゆるめる、という動きを20回繰り返します。朝昼晩1セットずつ行えば、男性にも効果があるそうです。

夜中の頻尿について

主な原因は3つです。

過活動膀胱 尿が溜まっていないのにセンサーが早めに作動してしまってトイレに行きたくなります。
睡眠障害 加齢で睡眠が浅くなると、少しの尿意でも目が覚めてしまいます。
夜間多尿 昼間に下半身に溜まった水分が睡眠中に腎臓に運ばれ、尿になります。

頻尿への対策はやはり骨盤底筋体操が有効です。
しかし、過活動膀胱の場合はそれでも充分良くならない場合があります。そういう時は、膀胱の過剰な収縮を抑える薬があるのでそれを処方してもらいましょう。
下半身に水がたまらないようにするには、ウォーキングなどで筋肉を鍛えるのも効果的です。夜間に作られる尿の量が減れば、眠りが浅くても尿意で起きる回数が減ります。

 

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泌尿器科を受診すると

尿のトラブルがあるときに行くのは泌尿器科ですが、行くのをちょっとためらいますよね。番組では高橋氏のもとを訪れ、泌尿器科ではどのような検査を行うかなどを紹介していました。

まずは問診票に記入します。昼夜の状況や就寝中の排尿内容などを書き、その後、膀胱のチェック、残尿感、頻尿等をチェックします。

次にエコー検査を行います。膀胱内の腫瘍や結石の有無、前立腺肥大などが一目でわかります。
異物があると下の図のように写ります。

健康カプセルゲンキの時間より

次に、尿流量測定を行います。ここでは、排尿量、排尿時間などから、前立腺肥大や尿の勢いを示す尿勢低下などが判断できます。

健康カプセルゲンキの時間より

左が排尿障害のある人で、右は正常な人です。

次は、残尿測定を行います。尿が残っていると、前立腺肥大や過活動膀胱等が疑われます。

尿漏れの場合は、パッドテストというものを追加してやることもあるそうです。尿漏れパッドをつけた状態で飛んだり跳ねたりなど、腹圧がかかる動作を1時間ほど行って尿漏れを見るテストです。

ちなみに、せきやくしゃみなどで漏れる「複雑性尿失禁」で骨盤底筋体操をやっても改善が見られない場合は、手術になることが多いそうです。

ただし、この手術は20分ほどで終わり、一度行えば一生涯大丈夫なので価値の高い手術といえます。(この手術は保険が適用されて10万円程度で受けられるそうです。)

70歳の健康な女性の場合、平均余命は約20年です。それだけ長い期間不安や心配を抱えて暮らすことを考えれば、20分で治すことができる方がいいと考えることもできるでしょう。

尿について

・尿とは
尿は約98%が水であり、残り約2%がタンパク質の代謝で生じた尿素です。その他に、血液中の不要物や有害物、新陳代謝の老廃物として、微量の塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸などのイオン、クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンなどが含まれることもあります。
尿素は、体の様々な場所で様々な用途で用いられているアミノ酸などが分解されてアンモニアになり、これが肝臓で尿素に化学変化されて、腎臓で濾過されることで尿中に混ぜられます。

・尿のでき方
上記の尿に関する記述からもわかるように、飲んだ水などがすぐに尿になるわけではありません。腸で吸収された水分は血液の一部となって、体中で使われます。そうして体中を巡ったあとに、余計な水分や静脈にのって体中から運ばれてきた老廃物が変換・ろ過されてできた物質が、尿になるのです。

・カフェインやアルコールと利尿作用
カフェインやアルコールを摂取するとおしっこをしたくなります。これを利尿作用と言います。利尿作用は、カフェインが交感神経を刺激して腎臓の血管を拡張させ、血液ろ過量が増加して尿の生成量が増加することで起こります。
カフェインが血中に残っている間は利尿作用が継続するので、頻尿の方は体質によってはカフェインの摂取量を控えたほうがいいかもしれません。

参考:
ウィキペディア
水分補給すると尿はどれぐらいの時間で出るの?
カフェインがもたらす利尿作用のメカニズムを医師に聞いた!

 

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まとめ

今回は尿に関するトラブルについてまとめてまいりました。
加齢によってどうしても起きやすくなるものですが、対策をすれば症状を改善させることもできることがおわかりいただけたと思います。
泌尿器科の検査も恥ずかしさを感じないものが多いということですから、気になる症状のある方は泌尿器科で相談してみて下さい。


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