認知症は予防可能!~主治医が見つかる診療所【認知症完全予防スペシャル】まとめ

厚生労働省のホームページに掲載されている資料によると、65歳以上の高齢者2874万人のうち、認知症および認知症予備軍の人口は820万人。率としては28%を超えており、実に4人に1人以上が認知症と何等かの関連があるとされる健康状態にあります。

テレビ東京の『主治医が見つかる診療所』で【認知症完全予防スペシャル】として特集されていましたのでまとめました。

【出演者】
石田純一(61歳)、東尾理子(39歳)、五月みどり(75歳)、森口博子(46歳)、ダイアモンド☆ユカイ(52歳)

【司会】
草野仁、東野幸治、森本智子

 

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認知症の原因

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認知症のおよそ60%を占めるのがアルツハイマー病。次に多いのが脳血管性(15%)とレビー小体型(15%)。
患者数が一番多いアルツハイマー病は、アミロイドβタンパクという物質が脳に溜ることで発症。
脳血管性認知症は脳の血管が詰まったり破れて出血するなどして発症。
レビー小体型は脳にレビー小体という物質が多数できることで発症。

認知症=アルツハイマーという認識をしている人も多いですが、アルツハイマー病は認知症の中の一つのタイプといった位置づけですね。もともとは日本人の痴呆といえば脳血管性のものだったそうですが、近年ではすっかりアルツハイマー病がメインになっているそうです。
レビー小体型は最近はCMでも見聞きする機会が増えています。レビー小体型の場合は、レビー小体が多数できることで脳の神経細胞が死滅して症状が出るとのことでした。

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相談e-65netより

日本認知症予防学会理事長 浦上克也医師による解説
認知症とは、物忘れから始まってゆっくりと進行していき、場所や時間がわからなくなったり、身の回りのことができにくくなって日常生活や社会生活ができなくなる病気

禎心会病院 上山博康医師の見解
従来は、日本では脳血管型が一番多いと考えられていたが、認知症の認知度が上がって実はアルツハイマーが多いということが明らかになった。しかし、個人的な印象では混合型が多い。脳血管障害で脳梗塞などを診てた人が急速に進んでアルツハイマーと二つ合わさったというケースなど。こういったケースをどちらに分類するかでかなり違う。

 

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認知症の発症年齢について

順天堂大学医学部附属浦安病院 志村秀樹医師による解説
認知症は発症した年齢によって二つに分けられる。

65歳以上・・・老年性認知症
65歳未満・・・若年性認知症

若年性認知症と診断した患者数は10年前と比べると2倍になっている。ただし、これは病気が増えたというよりは、認知症という病気が啓蒙されて受診される患者さんが増えたことが原因と思われる。

日本認知症学会によると、認知症の受診者数は、20年前の30倍になっているのだそうです。人口が減少している状況下での話ですから、やはり知名度が飛躍的に上がったことによる効果ということができそうです。
ただ、病気は気からという言葉がある通り、知らなければどうという事のない段階でも、知ってしまったがゆえにちょっとのことでも身構えてしまうということもあります。早期発見による予後が良くなるということであれば良いのですが。

認知症の実際

番組では、認知症の患者さんを取材していました。

番組で紹介された女性のケース

9年前、58歳の時に軽度認知障害(MCI)と診断。
【症状】
・同じことを何度も言うが言ったこと自体覚えてない
・まだあるのに同じものを買ってくる

7年前、60歳のときに若年性アルツハイマー病と診断される。

スタッフとの挨拶などはごく普通にこなせる感じで認知症とは思えません。

半年前の症状
・いつも通っている道を覚えることができない
・自分の目の前の料理が認識できない
  この女性の場合は左側が認識できない
・ゴミ箱が認識できない
  生ごみなど捨てられない

毎日通っているのに覚えられない、自分の家についても、外出してマンションに帰ってきても、自分の部屋が何階なのかも忘れているといった具合です。

また、この女性の娘さんは病気の進行を少しでも遅らせようと料理を手伝わせているのですが、その際に出た生ごみを捨てることができません。『捨てといて』といわれると、生ごみを手に取り、別の棚に置いたりしています。目の前にゴミ箱があるのですが、そこに捨てるという認識ができないのだそうです。

料理を食べる際には、自分の左側にこの女性の料理が置かれているにもかかわらず、それが自分のものとは認識できずに家族の前にある皿にまで手を伸ばしてそれを食べてしまいます。自分の左側にあるものが認識できてないのだそうです。

そして、最初の取材から半年後に再び番組で取材をしていましたが、さらに症状が進んでいたそうです。具体的には以下のような症状があると娘さんが語っていました。

半年後の症状
・バカ野郎、この野郎など四六時中暴言
・靴を履いて家の中に上がってくる
・入浴中に栓を抜く
・トイレの場所がわからない
・服を脱ぐのを嫌がる
・深夜に起きてしゃべり続ける
・認知症だという自覚すらなくなっている印象

娘さんいわく、この半年が一番進行が速かったそうで、以前であれば認知症という言葉に敏感に反応していたのが、今ではその反応もなくなってきているそうです。

しかし、娘さんは笑顔で気丈に振る舞われていました。母親が認知症になった当初は誰にも言えなかったそうですが、同居してみると笑顔を見せてくれることも多く、認知症であっても普通に生きているんだという思いを持つに至って、もっとみんなに知ってもらいたいと思うようになったそうです。『この笑顔をみんなに見てもらいたい。』と。

世間で思われているほど暗いものじゃないということを伝えたいのかもしれません。

 

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認知症の代表的な症状

お金や財布を取られたと騒ぐ
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ドラマなどでたまに見かけますが、実は、これが一番多い症状なのだそうで、“もの盗られ妄想”というそうです。しかも、介護をしている身内を疑うケースがほとんどなのだそうです。解説していた医師は『これだけ世話しているのに・・・』と心が折れるケースがよくあるとおっしゃってましたが、確かに苦労して介護してるのに疑われたのではやってられなくなるものかもしれません。

近所の人に家族の悪口をいいふらす
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多いのは作話という症状で、記憶が抜けたところをごまかすために作り話をはじめたりするのだそうです。ネットで調べてみると、作話には自発的作話症と誘導された作話症があり、どちらも認知症にはしばしばみられる症例とのこと。

ちなみに、自発的作話症とは、

何らかのきっかけに反応して作話が行われるのではなく、自発的に無意識的に作話が行われる。

のだそうで、誘導された作話症とは

誤った記憶に対する正常な反応であり、健忘症や認知症の場合にしばしば起きる。誘導された作話症は、記憶テストを行うと明瞭になる。

のだそうです(どちらもウィキペディアからの引用です)。

番組ではこの作り話が嘘が嘘を呼ぶようになってとんでもない話になることがあると言われていました。家族の悪口を言いふらすというのも、作り話の家庭で家族が悪者役として登場してきているということなのかもしれません。しかし、本人は大真面目に話をしており、嘘をついているという自覚がありません。

深夜に家族を起こしてしゃべり続ける
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昼夜逆転という症状だそうで、認知症に限らずうつ病の患者さんにもみられる症状です。夜に目覚めた際に周りに人がいないと不安で仕方なくなり、家族を起こしてしまったり、話しかけたりするそうです。さらに、夜起きているわけですから昼に眠くなり、昼寝て夜起きるという生活サイクルに変わってしまうパターンです。このような症状が出ると家族の負担も相当に大きくなりますから専門家に相談するなどして対応を考える必要があります。ただし、昼夜逆転が治らないかといえばそういうわけではなく、昼の活動量を上げるとか、日光浴のタイミングとかを考慮すれば元に戻るケースも多いようです。また、水分量の不足が原因になっていることもあるため、思い当たる節がある場合は水分摂取に気を付けてあげると症状が軽快するケースもあるようです。

家にいるのに家に帰りたいと言う
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これは夕暮れ症候群というそうです。本人はずっと家にいるにもかかわらず、夕方になると家に帰りたいと言い出す。家族は何のことかと戸惑いますが、この場合、本人にとっての家とは幼少期に過ごした家を指しているんだそうです。記憶というのは最近のものから失われていくことが多いそうで、この症状がある患者さんに家の住所を聞くと、かつて子供の頃に住んでいた住所を答えるというケースがあるそうです。
対応策を調べてみると、本人の意識が何かに集中している状態を作ってあげると良いようです。例えば、夕方に合わせて会話の量を増やすとか、何か本人が夢中になることをさせるとか、食べ物、飲み物を出してそちらに意識をさせるとかです。また夕暮れの感じが誘発することもあるので、まだ明るいうちからカーテンをしめて明るめの照明をつけておくとかするのも有効な手立てになるかもしれません。いずれにしても、本人が『さて、もうそろそろ帰ろうか。』と思わないような工夫をすることが重要みたいです。

禎心会病院 上山博康医師の話
記憶というのは玉ねぎと思えばわかりやすい。玉ねぎが痛み始めるのは一番外側からで、中心部の芯の部分は意外と傷まない。記憶も同じで、一番外側にある最近の記憶からなくなり始めるが、中心にある記憶というのは無傷で残っているということが多い。

脳血管性認知症の特徴的な症状

禎心会病院 上山博康医師の話
脳血管障害の場合脱落症状を伴っていることが多い。例えば、右の頭頂部で脳梗塞が起きると、空間失認が起きる。左の頭頂部で血管障害が起きると、文字が書けない、計算ができないといった失算失書という症状がでる。大脳の働きによって症状の出方がいろいろあるが、進行は早い。

空間失認とは、視空間失認という呼び方が良くされている症状で、空間の感覚がなくなり、物の配置を認識できないことをいいます。そのため、部屋の中にいても『部屋から出られない』といったことを言うようになります。アルツハイマーは知らず知らずのうちにゆっくりと進行していきますが、脳血管性の場合ははっきりとした症状が出て早く進行するそうです。

レビー小体型認知症の特徴的な症状

そしがや大蔵クリニック中山久德院長の話
幻視が見える。例えば壁のシミを見て人がいると言ったり、カーテンのゆらぎがきっかけでそこに何かあると言ったりする。

日本薬科大学学長 丁宗鐵医師の話
早い段階から幻覚や幻視が症状として現れる。錯乱状態になって介護者をてこずらせる。

認知症のチェックリスト

日本認知症予防学会理事長浦上克也医師考案
☑大事な約束をよく忘れるようになった。
☑時間や曜日がわからなくなることがある。
☑大事なものをよくなくすようになった。
☑簡単なことをすぐに決められなくなった。
☑外出することが億劫になった。
☑料理のレパートリーが少なくなった。

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上記のチェックリストのうち、3つ以上チェックがあると危険な状態であるとのことです。また、3つじゃないから大丈夫というわけでもなく、たとえ一つしか該当しなくても、程度によっては認知症の危険性はあるそうですから、気になる人は物忘れ外来に行って専門家に診てもらうとよいとのことでした。
しかし、中には病院に認知症の検査に行くとなるとちょっと抵抗感が強いという人もいるかもしれません。そういう人のために、地域包括支援センターというところで、認知症の窓口になってくれるそうなので、こちらも合わせて検討する良いそうです。この、地域包括支援センターとは、介護保険法によって設置が定めれている機関で、保健師やケアマネージャーが常駐しています。市区町村ごとに設置されているとのことですから市区町村に問い合わせるか、『〇〇市 地域包括支援センター』などとネット検索してみると良いでしょう。

 

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認知症の予防

日本認知症予防学会理事長の浦上克也医師によれば、認知症は予防できるものなのだそうです。人間誰しも老化の流れに逆らうことはできません。脳も例外ではなく、認知症にはなってなくとも、その機能は年とともに衰えていってしまいます。しかし、ちょっとした心がけで、認知症にならないばかりか、なっていたとしても進行を食い止めたり、場合によってはV字回復で正常な状態に戻ったりもするそうです

日本薬科大学学長 丁宗鐵医師の話
認知症は若年性も含めて非常に長い発症前の未病の時期がある。この時期に健康体に戻すいろいろな対応法を試みる必要がある。

運動で予防

鳥取県琴浦町の事例
琴浦町では、町を挙げて認知症予防プログラムに取り組んでいるそうです。番組で紹介されたご夫婦もかつてはTDASという検査で認知症予備軍と診断されたものの、ここのプログラムに取り組んで今ではすっかり数値も改善したとのこと。番組で紹介されていたプログラムを一部ご紹介します。

この街の認知症予防は、運動・知的活動・コミュニケーションという3つのプログラムから成り立っています。

運動編

【ウォーミングアップ~11種類の運動】
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両手をこする、両手をグーパー、手拍子、両腕上げ&伸ばし、もも&ふくらはぎ叩き、片足ずつ上げる、首を上下左右、左右の肩たたき、左右に上体をひねる、両肘で脇を叩く、両手を上げて深呼吸

このウォーミングアップでは、体の筋肉をほぐし、温める効果があるそうです。

足の指で新聞紙を破る
・できるだけ細く破る
・一部分はつなげたままでのれんの形にする
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普段使わない筋肉を使うことで脳が活性化

この新聞紙破りは週に1回、新聞紙1枚を10分くらいかけて破ると良いそうです。

知的活動編

2ケタ~3ケタの計算(足し算、引き算、掛け算)をする

このくらいの計算問題だと、脳の前頭葉を刺激するそうです。前頭葉は認知症と関連があるとされているところですから認知症の予防には効果的といえます。

昔話を音読する

これのメリットは視覚と聴覚を刺激できるところにあるそうです。また、声に出して読むことで周りの人とタイミングを合せようとしますので、その点でも脳へ良い刺激を与えることができるそうです。

コミュニケーション編

約1時間、人と話す

人と話すという行為も前頭葉の刺激に役立つそうです。

以上のような取組をしたことで、3年たったらTDAS検査の平均値が大きく改善したそうです。

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認知症というと進行するのみというイメージですが、実際にはこのような取り組みで進行を遅らせたり正常な状態に戻ったりするわけです。

体操で予防

番組ではこのほかにはフリフリグッパー体操という、専門医考案の体操も紹介されていました。この体操は脳を活性化させ、低下した認知機能を脳が自ら補う効果がある体操です。検証の結果、この体操をした人は、認知機能の向上や脳の委縮が止まるなどの効果が認められたそうです。

フリフリグッパー体操
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足はハノ字で。

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1日1曲、歌いながらすると効果的だそうです。

秋津医院 秋津壽男院長の話
運動はあまり激しいのは良くない。息が上がるくらいだとやりすぎ。身体が熱くなる程度、お腹が空く程度が適量。一人でやるなら散歩が良い。それもただ歩くのではなく、桜が咲いてきたなとか周囲に気を配りながらすると効果的。

食事で予防

栃木の江田クリニックでは、ココナッツオイルに注目して認知症予防に取り組んでいるそうです。ココナッツオイルが認知症の予防・改善に効果があるということは、最近よくテレビでも取り上げられ始めています。

江田医師の話
ココナッツオイルの中に豊富に含まれている中鎖脂肪酸が認知症予防の助けになる可能性がある。
アメリカではスコアが改善したという報告がある。
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アルツハイマー型認知症は脳がブドウ糖をうまく利用できないことでエネルギー不足になり、それが原因で症状が進むと言われているが糖の代わりにケトン体を増やしてやれば、脳のエネルギー不足が解消され、症状が緩和する可能性がある。

このあたりのことは、当サイトの別記事でも書いてます。

アルツハイマーとココナッツオイル

要するに、ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸がケトン体を作りだし、ケトン体が脳のエネルギー源になって活性化する、ということです。

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エキストラバージンココナッツオイルがおすすめ

ココナッツオイルを選ぶ際には、上記のエキストラバージンという選び方の他に、中鎖脂肪酸の含有量をチェックする方法もあります。50~60%以上含まれていればOKですが、意外にありません。よく見てから購入するようにしましょう。

ココナッツオイルは、人によっては激しい下痢を起こす人もいるそうで、最初は小さじ1杯くらいから様子を見ながら増やしていき、小さじ3杯半(14g)くらいが一つの目安となります。また、肝臓や腎臓が悪い人は負担がかかるかもしれませんからお医者さんに相談してから始めると良いとのことでした。

ひめのともみクリニック姫野友美院長の話
アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病とも言われている。糖尿病の患者さんの発症率がそうでない人と比べて2.1倍多い。ココナッツオイルは早くケトン体になってくれるので即効性がある。うちのクリニックでも勧めている。

ココナッツオイルはこのように今注目の食材ですが、過剰摂取による問題もありますので、身体に良いからと大量に摂取するのは逆効果です。特に持病がある人は医師と相談の上摂取するようにしましょう。

認知症の素朴な疑問

ボケと認知症の違いは?
日本認知症予防学会理事長の浦上克也医師によると、ボケというのは“正常な老化現象とともに増えていく物忘れのことで日常生活に困ることはない状態”なのだそうです。物忘れなので、ヒントやその他のきっかけがあれば思い出せます。若くても物忘れはしますから、見方を変えれば単純に頻度が多いか少ないかだけということもいえるのかもしれません。
一方、認知症の場合は、“病気である自覚(病識)がなくなる”のだそうです。物忘れをしているという自覚がそもそもないと。なので、日常生活にもいろいろと支障が出てくるわけです。
認知症は遺伝する?
日本認知症予防学会理事長の浦上克也医師によると、遺伝性アルツハイマー病というものもあるので、遺伝することはあるそうですが、日本人では非常に少なく、データ上では1%以下なのだそうです。

ナグモクリニック 南雲吉則院長の話
遺伝もあるが、より大切なのは生活習慣や環境。寝たきりだったり、一人暮らしだったりするとそういうことが起きやすいのでもし家族の中に認知症患者がいるのであれば、自分の生活環境を変えるように努力することで予防につながることはある。

MRIを受けることは予防につながる?
禎心会病院 上山博康医師によると、血管障害型であればMRIはかなり有効なのだそうです。これは血管の異常からくる脳梗塞などのリスクがMRIでわかるからですね。認知症の原因となるほかの脳の異常も早期に見つけて手術で回復するケースもあるそうですから、検査を受けることである程度は認知症の予防にもつながると言えます。

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