セルフメディケーションという言葉を聞く機会が多くなってきています。けれども、「セルフメディケーションって何?」という人は多いようです。
先日の『健康カプセル!ゲンキの時間』では、セルフメディケーションなど薬の正しい服用方法とセルフメディケーション税制について薬学博士の加藤哲太先生(日本くすり教育研究所)が解説していました。
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セルフメディケーションとは?
セルフメディケーションとは、医師の診察を受けずに体の不調を自分で手当てすることだそうです。例えば、風邪を引いた時に市販薬を飲んで治すことなどがセルフメディケーションに含まれます。ある調査では、風邪を引いた時に市販薬を服用すると答えた人が70%ほどいました。
セルフメディケーションをしている人の中には、自分が飲んでいる薬の副作用について分かっていない人も多いようです。
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処方薬と市販薬の違いは?
処方薬は、医師の診断によって処方され、治療のために使われる薬で「医療用医薬品」と呼ばれているそうです。これに対して市販薬は、医師からの処方箋なしで街の薬局で購入が可能。カウンター越しに買えるということで、OTC(Over The Counter)医薬品とも呼ばれているとのことです。
また、処方薬は市販薬よりも有効成分が多いので副作用への注意が必要。そのため、薬剤師から薬の使用方法の説明を受けなくてはいけないそうです。
薬にいろいろな形状がある理由
粉薬、錠剤など、薬にはいろいろな形状があります。そして、形状の違いには意味があると加藤先生は言います。粉薬は溶けやすく効果が早いとのこと。そして、錠剤は、適所で効くように溶け方の違う薬が何層かになっているものもあるそうです。
例えば、、、
外側の薬が胃で、
内側の薬が腸で溶ける。
そうすることで、成分が長い時間、身体の中にとどまります。また、腸の薬は、胃酸で溶けずに腸に届くためにコーティングがされているのです。
ですから、錠剤を砕いて飲むと本来の薬の効果が得られなくなったり、薬が効き過ぎたりしまうことも…。薬は指示に従って飲むのが一番安全だと加藤先生が説明していました。
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食前・食間・食後っていつのこと?
薬の形状に意味があるように、薬を服用する時間にも意味があるそうです。「食間」、「食前」、「食後」がいつなのかをしっかり確認しておきましょう。
●食間
「食間」が、食事をしている間だと思っている人もいるようです。けれども、食間は「食事と食事の間」のことだそうです。前の食事が終わってから2時間ぐらいが目安。胃の中が空の状態で飲まなくてはいけない薬を食間に服用します。
●食前
「食前」に服用する薬は、食事の20分~30分前に服用するのが正しい服用法。食前に飲む薬には、食後高血糖を抑えるための薬があるそうです。
●食後
「食後」に服用する薬は、食事が終わってから20分~30分までに服用するものです。食後に胃に食べ物が入った状態で薬を飲むことで、胃への刺激を軽くしてくれるとのことです。
また、毎食後に飲む薬の服用の間隔は4時間が目安。服用の間隔が短いと薬が効きすぎることもあるそうです。
4時間後に何らかの事情で食事がと取れない場合は、少量でも良いので何か食べてから薬を服用することが大切。病気のときは食欲のないときもありますよね。クラッカー1枚でもいいので、とにかく胃に食べ物がある状態で薬を服用することで、胃を守ることができるとのことです。
薬を水以外で飲む危険性
飲み薬の注意書きには「水またはぬるま湯で服用するように」と書いてあることがほとんどです。他の飲み物で薬を飲むと、薬の成分と飲み物が反応して薬本来の効き目がなくなってしまうことも…。番組で紹介していた飲み物と薬の関係についてまとめておきます。
●緑茶
貧血の治療などに使用される鉄剤を緑茶で飲むと、お茶の成分と鉄が合体して鉄が吸収できなくなってしまうそうです。
番組で鉄剤を緑茶に溶かす実験をしたところ、鉄剤は黒く変色してしまいました。
●クレープフルーツジュース
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンが高血圧や片頭痛、心臓病などの薬の効き目を強くしてしまうそうです。危険な副作用がでてしまう場合があるので要注意。
●牛乳
油溶性の薬(睡眠薬など)を牛乳で飲むと薬の吸収が高まり、めまいなどの副作用を起こす可能性があるそうです。反対に、骨粗しょう症の薬は効き目が弱くなるとのことです。
●アルコール飲料
薬をビールなどのアルコール飲料で飲むのは絶対にやめましょう。意識レベルの低下や最悪の場合は死の危険性もあるそうです。
薬は水またはぬるま湯で飲めば安全なので、それを守ることが大切だと加藤先生が話していました。
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セルフメディケーション税制とは?
2017年1月に始まった「セルフメディケーション税制」。指定されたOTC医薬品(市販薬)の年間の購入費が、1世帯当たり1万2千円を超えた分の税金が控除される制度です。
現行の「医療費控除」は年間の医療費(診療・診察費、医薬品購入費(OTC医薬品を含む))が1世帯当たり10万円超えた分の税金が控除されます。
セルフメディケーション税制と医療費控除は選択制なので、制度をよく理解して控除額が多いほうを選択したいですよね。番組では、セルフメディケーション税制の注意点を紹介していました。
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対象になっているOTC医薬品に限定
セルフメディケーション税制の対象になっているOTC医薬品は1577品。同じシリーズの風邪薬でも、有効成分の違いで税制の対象と対象外のものがあるので注意が必要とのことです。対象医薬品には、下の画像のようなマークがついています。
また、対象医薬品のマークがついているレシートが確定申告に必要だそうです。きちんと保管しておきましょう。
健康管理をしていることが条件
セルフメディケーション税制を利用するには、健康診断を受けるなど健康管理をしていることが条件。確定申告で、健康診断の結果通知書や領収書を提出しなくてはいけないそうです。
セルフメディケーション税制と医療費控除の選択方法
納税者は、セルフメディケーション税制と医療費控除のどちらかを選択しなくてはいけません。年間の医療費が10万を超える場合は、その内訳をチェックして控除額が多いほうを選択しましょう。
番組では、1世帯当たりの年間医療費がセルフメディケーション税制対象2万円、その他の医療費8万5千円で合計10万5千円の場合の2つの制度の比較を紹介していました。
この場合、従来の医療費控除の控除額が5千円なのに対して、セルフメディケーション税制の控除額は8千円になります。
セルフメディケーション税制の詳しい情報は「日本一般用医薬品連合会」のホームページに掲載されています。このホームページでは、課税所得額とセルフメディケーション税制の対象医薬品の購入額を入れると所得税と個人住民税の減税額を計算することができます。
市販薬の4つの分類
市販薬は副作用の程度によって、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品の4種類に分類されるそうです。
要指導医薬品は取扱いに十分注意が必要で、4種類の中で唯一インターネットの販売が禁止されています。また、要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師による書面を用いた情報提供が義務づけられているとのことです。こういう情報は消費者側にも周知させておかないと購入する時に「面倒いな・・・」と思ってしまう人もいそうです。
処方薬と市販薬の飲み合わせ
加藤先生によると、医師から処方された薬と市販薬の飲み合わせによって、薬が本来の役割を果さなくなることがあるそうです。
番組では、市販の風邪薬と以下の病気の薬を飲み合わせた場合に何が起こるのかを説明していました。
高血圧の薬 …血圧が下がらなくなる
糖尿病の薬 …血糖値が下がりすぎてしまう
抗血栓薬 …出血が止まりにくくなる
このようなトラブルを避けるために、処方薬を服用している際は、市販薬を使う前に必ず医師に相談することが重要だと加藤先生が説明していました。
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新しい形の薬局「かかりつけ薬局」とは?
「かかりつけ薬局」とは、患者がかかる医療機関を全て把握して、使用している薬の管理や食事の相談を医療機関と協力して行う薬局だそうです。薬についての電話相談には24時間対応しているとのこと。利用者のインタビューでは、かかりつけ薬局がとても心強い存在になっているということがわかりました。
薬を購入するときなどには、かかりつけ薬局ではなくても薬剤師に積極的に相談するようにしてほしいと加藤先生は話していました。
加藤先生は、薬の飲み合わせについて詳しく解説した本を執筆しています。何も知らずに食べたものと薬が合わなかったために大変な事態になることも…。薬の飲み合わせについて、しっかり覚えておきましょう。
よくわかる 薬の危ない飲み方・飲み合わせ (気になるシリーズ)
加藤 哲太
まとめ
処方薬も市販薬も、正しい服用方法を守ることが本当に大切なんですね。健康をしっかり管理していても必要になることがある薬。セルフメディケーション税制についてもしっかり理解して、節税対策に役立てましょう。