うつ病と薬~抗うつ薬の要・不要~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』は、抗うつ薬を使ったうつ病の薬物治療がテーマでした。抗うつ薬の使用方法や副作用、副作用の対処方法について、うつ病の診断と治療が専門の菊地俊暁先生(杏林大学講師、精神神経科医)が説明していました。

 

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うつ病の段階と治療法

うつ病は日常生活への影響の大きさによって、3つの段階に分けられるそうです。

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きょうの健康より

軽症は、日常生活に支障が出始めた状態です。
軽症のうつ病への抗うつ薬の効果は明らかになっていないので、薬を使用しても副作用だけが出て効果がないこともあるとのことです。そのため、軽症の場合は抗うつ薬を使用せずに、心理教育や支持的精神療法といった精神療法が行われると菊地先生は説明していました。
うつ病の中等症は日常生活に支障がある状態、重症は日常生活を送るのが難しい状態で精神療法に加えて、抗うつ薬による薬物治療が行われます。

 

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抗うつ薬による薬物治療

うつ病は、脳内の神経細胞の異常による病気です。抗うつ薬は、神経伝達物質の働きを高める効果があるとのことです。

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きょうの健康より

抗うつ薬には、

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
三環系
四環系

の5種類があります。SSRI、SNRI、NaSSAが比較的新しく、現在はこの3種類のどれかが第1選択薬となっているとのことです。

抗うつ薬の使い初めは、抗不安薬や睡眠薬を併用することもあると菊地先生は説明していました。
抗うつ薬は、原則として他の抗うつ薬と併用はしないとのことです。また、薬は少量から使用を開始して、副作用の状態などを見ながら有効容量まで増やすそうです。そして、使用を始めてから6週間から8週間後に効果があるかを判定し、効果があれば同じ薬を継続、効果がなければ薬を切り替えることになると菊地先生は説明していました。

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きょうの健康より

原則では抗うつ薬は併用しないとのことでしたが、2剤を併用することも場合によってはあるとそうです。2種類の抗うつ薬を併用すると副作用(吐き気や不安)が強くなるとのことです。もし抗うつ薬を3種類以上同時に使っている場合は、主治医に確認したり、他の医師に意見(セカンドオピニオン)を求めたりすることを菊地先生は勧めていました。

 

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抗うつ薬の使用期間

個人差はありますが、うつ病の改善には数ヶ月から1年が必要だそうです。症状が改善しても、抗うつ薬の使用を突然やめると再発や中止後症状(めまい、吐き気、不眠、イライラ、手のしびれ)が出ることがあるので、医師と相談をしながら計画的に抗うつ薬の量を減らしていくことが大切とのことです。

 

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抗うつ薬の副作用

番組では、5種類の抗うつ薬の副作用を紹介していたのでまとめておきます。

SSRI:吐き気、食欲不振、下痢
SNRI:吐き気、尿が出にくい、頭痛
NaSSA:眠気・体重増加
三環系:口が渇く、便秘、たちくらみ
四環系:眠気・ふらつき

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きょうの健康より

抗うつ薬の使用を始めてから最初の1週間から2週間は副作用が出やすいそうです。薬の効果は緩やかにしか出ないので、副作用でひどく具合が悪いけど、薬の効果は実感できないという状況になることもあるとのことです。
また、副作用で薬の服用前よりも具合が悪くなったと感じる患者もいるそうです。このような状況でも、自己判断で薬をやめずに主治医に相談することが大切だと菊地先生は説明していました。医師は、患者の話を聞いて、副作用を軽減する薬を処方したり、薬の量や種類を変えたりすることもできるそうです。

抗うつ薬の副作用「アクチベーションシンドローム」とは?

5種類の抗うつ薬に共通する抗うつ薬の独特な副作用が、アクチベーションシンドロームです。アクチベーションシンドロームの症状には不安、イライラ、パニック発作、落ち着かない、不眠などがあるとのことです。アクチベーションシンドロームが悪化すると暴力を振るったり、自傷行為を行ったりすることがあるとのことです。

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きょうの健康より

 

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副作用への対処方法

菊地先生からうつ病の患者が、副作用にどのように対処しているかが紹介されていました。
頭痛は、お風呂に入る、鍼治療を受ける、首や首筋の筋肉をほぐすことで和らぐそうです。また、だるさは、ストレッチや散歩、そして、規則正しい生活を送ることで改善されるそうです。そして、吐き気があったり、食欲がなかったりする場合は、無理に食べようとせず、ゼリーなどの食べやすいものや酸味の強いものを食べると良いとのとこです。
事前に抗うつ薬の副作用を理解しておくことも、副作用を乗り切るためには大切とのことだと菊地先生は説明していました。

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抗うつ薬の副作用を乗り切るには、うつ病についてよく知ることも大切なことなのですね。うつ病の症状や治療について、図を使って分かりやすく説明した本が出版されているので紹介します。

図解やさしくわかる うつ病の症状と治療
野村 総一郎

 

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まとめ

うつ病の治療に使われる抗うつ薬の副作用は、中等症や重症のうつ病を治すためには避けては通れない道なのですね。薬の副作用、種類や量について不安なことがある場合には、話を聞いてもらえるように医師との信頼関係を築いておくのも大切だという事がわかりました。うつ病は誰もがなる可能性のある病気なので、正しい知識を持っておきたいですね。


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