めまいの原因を突き止める名医・ベストドクター北原糺~たけしのみんなの家庭の医学より

先日の『たけしのみんなの家庭の医学』では、「医師たちが選んだ名医はこの人だ!あなたの不調を治せるベストドクターSP」と題し、さまざまな分野の名医を取り上げていました。その中で、「めまいのベストドクター」として紹介されたのは北原糺医師です。めまいの原因を、1週間で100%究明する医師だというのです!その興味深い内容を、詳しくみていきます。

北原糺医師の代表的な著書


原因究明100%の「1週間検査入院法」

日本有数の「めまい外来」として知られる奈良県橿原市にある奈良県立医科大学の耳鼻咽喉・頭頸部外科。率いているのは、北原糺(ただし)教授です。20年に亘りめまいを一筋に研究し、2007年には耳科学の国際的な学会で権威ある「ポリッツァー賞」を受賞している、世界的にも認められるドクターなのだそうです。

父親もめまいの専門医だったという北原教授。父が成し遂げられなかった「めまいの原因100%究明」を成し遂げたいという思いが研究の動機だったそうです。めまいに悩む人は多いものの、5人に1人は原因不明という現状があるというのです。
「めまいの原因100%究明」を成し遂げるため、昨年、北原教授は大学病院に日本初の「1週間検査入院制度」を導入しました。通常は数ヶ月に及ぶ検査を、1週間で集中検査してめまいのあらゆる原因をつきとめるのだそうです。この制度により、それまで原因が特定できなかった患者60名全員の原因究明100%を成し遂げたそうです!

『原因を1つ究明してそれだけを治療することが多いが、めまいの原因はひとつではないので、すべての原因をつきとめることが重要だ』

と、北原教授は語ります。

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一週間検査を受ける患者さんに密着

Tさん(73歳女性)は、1年ほど嘔吐を伴う激しいめまいに悩まされ、趣味の庭いじりや外出すらできない生活になったそう。Tさんの場合、最初は視界がグルグルと回る回転性のめまいでした。発症はある日突然で、近所の内科では問診だけで、よくある「めまい症」で心配するほどではないとされ、薬をもらいました。

薬を飲めば症状は治まるため、詳しく検査することなく過ごしていたそうですが、症状はだんだんときつくなります。そしてそのうち上下左右が引っくり返るような強烈なめまい激しい嘔吐が症状として現れるようになりました。以前、脳のMRI検査で小さな脳梗塞が見つかっていたTさんは脳が原因の思い病気ではないかと疑いはじめます。しかし、近所の内科ではやはり明確な異常を見つけることができず、原因不明のめまい症として強い薬を処方されるだけでした。

大切なものをすべて奪い去っためまいの原因を究明し、生活を取り戻したいと考えていたTさんは、医師から北原教授を紹介されます。期待と不安を抱えながら一週間検査を受けることにしました。

<一週間検査のポイント>
1 内耳の異常
三半規管や蝸牛など4器官と2つの神経の異常を徹底的に検査

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たけしのみんなの家庭の医学より

2 外耳・中耳の異常

3 脳の異常
腫瘍や梗塞の検査。MRIを含む

4 ストレスの影響 
精神的なものの影響がないか問診

Tさんへの検査で蝸牛や脳への異常はなかったものの、平衡感覚=三半規管を調べる「足踏み検査」のとき、担当医師が異変に気づき、過去の捻挫とめまいの関係を疑いました。

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たけしのみんなの家庭の医学より

1週間の検査が終わり、北原教授が深夜まで解析を続けたところ、唯一の異常は「左の卵形嚢(らんけいのう)」の傷でした。卵形嚢に障害があると、その内部にある「耳石」がはがれ、三半規管に入り込むことでめまいが起こるのだそうです。

卵形嚢とは、三半規管の隣にある器官だそうです。

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たけしのみんなの家庭の医学より

その卵形嚢のなかには耳石というものがあり、それが何等かの原因ではがれ、三半規管に入り込んでめまいが起こるということです。

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たけしのみんなの家庭の医学より

そして下された北原教授の診断は「良性発作性頭位めまい症」。日本人に一番多いめまい症で、患者の4割を占めるのだそうです。

しかし、Tさんほど重症化することは珍しく、北原教授はめまいの治りを悪くした原因を左足の捻挫だと指摘しました。足で踏ん張れていたら、耳の傷をカバーできる可能性があるが、踏ん張りがきかないことでめまいを長引かせているとのこと。

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たけしのみんなの家庭の医学より

治療は、「良性発作性頭位めまい症」の薬に加え、整形外科での足の治療を行うことになりました。

めまいの治療のために足から治す・・・。

普通の医師では導けないと思われる、他の医師が選ぶベストドクターである北原教授の診断のすごさを見せ付けられました!

さて、1週間検査入院について詳しく知ろうと思い、調べてみました。北原教授が率いる奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科のウェブサイトはこちらです。

http://www.naramed-u.ac.jp/~oto/

9つの専門外来があり、北原教授は耳科・神経耳科外来の担当のようです。ただし、初診の患者は「初診の担当医が診察することになります。診察の結果、専門外来に行っていただくか、一般外来(再診)へ行っていただくか、病状と疾患により初診医が判断」するとのこと。北原教授から診察を受けられるかどうかはわからない、ということですね。
また、医局から「北原教授の診察を御希望の場合、近隣の医療機関を受診いただき、必ず紹介状、地域連携予約を御準備の上、月曜・金曜の午前中に御来院ください。」とのお知らせが。
さらに、めまい検査について「入院の患者様のみを対象とし、一週間にお一人の予約とさせていただいています。」とあり、今現在で半年待ちのようです。大変な人気であることがうかがえます。
費用についてはお問い合わせください。

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めまいの2大タイプ

その北原教授がスタジオに登場。まず、めまいは突然襲われることがあるので、これまで体験していなくても安心できないと指摘しました。また、最初に起きためまいの情報が、原因の特定に重要なので、それをきちんと医師に伝えるようにとのアドバイスです。

めまいのタイプは、原因特定に役立ちます。大きく分けて2つあるタイプについて、北原教授が解説しました。

ひとつは、ぐるぐるする回転性めまい=「良性発作性頭位めまい症」
この場合は三半規管に異常があることが疑われるそうです。三半規管には3つの管があり、それぞれの管に上下、左右、傾きを感じる役割があるのですが、良性発作性頭位めまい症の場合は、傾きの感覚をつかさどる管の異常が多いとか。

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たけしのみんなの家庭の医学より

もうひとつのタイプは、左右に流れる回転性めまい=「メニエール病」
メニエール病は、内耳に水ぶくれができる病気なのだそうです。その水ぶくれが、三半規管のうち左右の感覚を感じる管に影響を与え、水平方向のめまいが起きるというのです。また、メニエール病では回転性のめまいに加え、耳鳴りや難聴も起きやすいとのことで、これらの症状が出たら耳鼻咽喉科を受診するよう呼びかけていました。

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まとめ

なんとしてもめまいの原因を突き止めようとする北原教授の情熱と卓越した診断、さらに患者の気持ちに寄り添う姿勢。そして、原因がわかったときのTさんの満面の笑みが大変印象に残る、感動的ですらある特集でした。
患者として辛いのは、我慢できない症状があって受診しているのに、検査で異常がないという理由で治してもらえないことではないでしょうか。北原教授のような医師が増え、原因不明で辛い思いをする患者さんがいなくなる医療のあり方に向かってほしいと感じさせられる番組の内容でした。


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