家で死にたい!最期の終末期医療と費用~チョイスより

先日の『チョイス@病気になったとき』は、「家で最期を迎えたいとき」についての特集でした。病院ではなく家で最期を迎えるという選択をしたとき、どのような医療が受けられるのか、また気になる費用について、実際の例を交えながら伝えており、誰もが逃れることのできない「最期」をどう迎えるか、具体的にイメージすることのできる必見の内容でした。

 

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自宅での看取り 実際のケース

番組によると、自宅で最期を希望する人は6割弱あるのに対し、実際には病院で亡くなる方が8割にのぼっているそうです。

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内閣府が平成24年に行った調査でも、各年代とも共通して55%の人が家で最期を迎えたいと回答しています。
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図:内閣府HPより引用

しかし実際には、病院で最期を迎える人が圧倒的多数です。 
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図:厚労省HPより引用

母親Sさんを自宅で看取ったJさん(女性)と、長男の妻のケースが紹介されました。母親はぼうこうがんの診断を受け、3回の入退院を繰り返しましたが、抗がん剤治療の副作用で苦しみ続けました。
指も顔も倍になるほどむくんでおり、母親にもうこれ以上つらい思いをさせたくなかったと、娘であるJさんは語ります。Sさん自身の「延命治療はしない」という強い意思も尊重し、病院での治療はやめ、在宅で最期を迎える決心をしたそうです。

退院してからは、週に1度、在宅医である桜新町アーバンクリニックの遠矢(とおや)純一郎院長の訪問を受けました。痛みや呼吸苦などのさまざまな症状に対する治療=緩和治療を自宅でやっていくのが在宅医です。

緩和医療とは、重い症状の患者やその家族の、身体や心の痛みやつらさをやわらげ、より豊かな人生を送れるように支えていく医療(ケア)です。

Sさんは、自宅で3ヶ月間緩和医療を受けながら、83歳の誕生日を家族に囲まれて祝ったり、夫とくつろいだりと幸せに過ごしたと言います。しかしある日、激しい腹痛に襲われ、トイレに行く回数が増えるとともに強い痛みを伴う血尿が出る異変が起きます。遠矢院長が駆けつけ、ぼうこう炎と診断しました。

それを機にSさんは衰弱します。家族は気になる症状が出るたびに遠矢院長に電話をし、往診してもらいました。最初の異変から8日目に尿道カテーテルの挿入、さらに2日後には意識レベルが低下し、翌日にはこん睡状態になりました。その1週間後、Sさんは穏やかに亡くなったそうです。

家族は「末期状態でも家で普通に過ごせた」と、最期を在宅で迎えるというチョイスはよかったと振り返りました。

 

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緩和医療を選択する時期と条件

専門家である遠矢院長がスタジオで在宅医療について解説しました。病院では疲れた表情の患者が、家に戻ると元気になることに驚かされると言います。つまり、人格や尊厳が保たれることが在宅医療のメリットだと語ります。

在宅での緩和医療をいつ開始するか、そのタイミングが大事だとのこと。がんは、死を迎える1ヶ月前まで体の機能が高く維持されるので、早期に緩和医療を選択すれば、望む暮らしを自宅で長くすることもできることになります。

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チョイスより

Sさんのケースでも、寝たきりになったのは最後の2週間だけで、それまでは元気だったと遠矢院長は指摘します。機能が下ってきてから家に戻るのは家族にも負担なので、ある程度保たれているうちに決断し、医師と関係性を築きながら、徐々に最期に向かうのがいいのではないかとの意見です。
<自宅で最期を迎えることができる条件>

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チョイスより

自宅で最期を迎えるためには、本人と家族の希望や同居家族の協力体制に加え、誰かが常に介護できること、在宅医と訪問看護師が十分な緩和医療技術(モルヒネを使うなど特別な技術と経験)を持って24時間365日相談が可能なことなど、条件が整うことが必要であることがわかります。

在宅の緩和医療に使われる機材

「夜中でも来てもらえるのか?」という質問に、遠矢院長は「電話もすぐつながるし、必要があれば医師や看護士がかけつける」と回答していました。ちなみに桜新町アーバンクリニックには複数の医師がいて、24時間の当番制勤務になっているとのこと。
また、在宅の緩和医療で使う道具が披露されました。

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酸素吸入器
息苦しいときに使用。ベッドの横に設置。

チョイスより

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たん吸引機
指導を受けて、家族も使える

チョイスより

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尿道カテーテルセット
入れっぱなしにして、トイレに行かなくて済む

チョイスより

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モルヒネの機械
痛いときに注射するのではなく、挿したままにして痛いときにスイッチを押すとモルヒネが投与されので、薬が飲めなくなったときに使う

チョイスより

 

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在宅でのチーム医療を受ける女性の例

一人暮らしのUさん(女性)は、ある日、24時間の腕の震えとひどい肩の痛みを経験します。どうしていいかわからないほどのつらさだったと言います。病院では「パーキンソン病」と診断され、末期の大腸がんであることも判明しました。余命は半年との宣告で、落ち込んだUさん。

「延命治療は拒否する」、「痛みは避けたい」、「家で暮らしたい」というという希望だけはかなえようと、在宅緩和治療を選択することにしたそうです。それ以降、自宅を在宅医と薬剤師が週1回訪ね、痛みなく過ごせるようチェックするようになりました。この日は、口の中の荒れが見つかりました。食べ物の味覚がおかしいと訴えるUさんに、在宅医は、体のだるさを取るためのステロイドの副作用だと説明します。在宅医は薬剤師と相談し、口の中の荒れを抑える薬を処方しました。

がんの緩和医療では、痛みのやわらげのために「医療用麻薬」が使用されることも多く、その副作用も出るため、医師と薬剤師が頻繁に訪れ、変化をチェックしながら薬を調整します。

Uさんがしっかり食べられるよう口の健康を守るため歯科医や歯科衛生士が、そしてリハビリのために看護士も訪れます。家族はUさんの精神面や好物を食べられるように調理でバックアップ。多くの人に支えられて、Uさんは最期の時間を手紙のやりとりという趣味に費やしながら、幸せをかみしめています。

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チョイスより

在宅医療は、実にたくさんの人々に支えられて実現するものだということがわかります。中でも中心的な役割を果たすのは生活面のケアを支え、医療と介護の両方がわかる「訪問看護師」であると、遠矢院長は解説していました。
チーム結成の役割は、医療面では在宅医、介護面は介護支援専門員(ケアマネージャー)の仕事だそう。

かかる費用と問題点

在宅医療でも専門家チームから手厚いケアが受けられることがわかりましたが、そこで気になるのが費用のことです。
はじめに紹介されたSさんの最期の1ヶ月にかかった費用はこちらです。

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チョイスより

35万円+薬代が実際の費用ですが、保険や高額療養費制度が適用されて、実際の支払額は1ヶ月でわずか1万2,000円。これの他に介護費用2万円がかかったそうです。(Sさんは要介護度2)
最期の1ヶ月を病院の緩和ケア病棟で過ごしたと仮定した場合の費用と比較すると次のようになっていました。

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チョイスより

実際の費用は147万円と高額ですが、保険と高額療養費制度で4万4,000円ほどになります。これとは別に、個室に入る場合などは差額ベッド代がかかるそうです。
Uさんのように薬剤師や歯科医に来てもらった場合でも、高額療養費制度により、70歳以上で所得が一般のケースでは、最終的な支払額は薬代を含めて1ヶ月1万2,000円で済むのだそうです。

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チョイスより

手厚いケアを受けていても、自宅での看取りのほうが病院より費用が少ないことがわかります。
ただし、どこの地域でも番組で紹介されたような十分な緩和医療を受けられるわけではないという現状が、遠矢院長から指摘されました。
また「自宅緩和医療のデメリットは何か?」という質問に、「家族など介護する人に負担がかかるという問題があるが、地域の訪問看護サービスをうまく利用して、家で最期を迎えたい人の願いをかなえてほしい」と回答。家族が疲れたときは、短期間入院してもらうといった方法(レスパイトケア=家族の休息)も提案していました。

 

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家族の支えの例

夫の母Tさんを14年間介護するKさんの例が紹介されました。脳梗塞をきっかけに認知症を発症したTさんは、1年半前から動けなくなりました。Kさんは、Tさんの車いすからベッドへの移動、通院のため車いすから車に載せる作業が大変になってきたため、在宅医療に切り替えたそうです。

今では、月2回在宅医に来てもらうことで、通院の苦労から開放されたとともに、在宅医に気軽に相談できるようになり、先行きの不安からも開放されています。Kさんは、実父が病院で半年間チューブにつながれて苦しみながら亡くなった経験から、Tさんにはその苦しみを感じさせたくないと、Tさんが残りの時間を自宅でおだやかに過ごせるよう願っているそうです。

家族の不安は大きいため、桜新町アーバンクリニックでは「緩和パス 症状別パンフレット」という、将来起こりそうな症状の対策マニュアルをを作成しています。困ったときどうすればよいかを示したマニュアルの例は、次のようなものです。

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チョイスより

一番多い相談は、「食べられなくなってきたらどうすればよいか?」というものだそうで、本人が食べたい時に食べたい量を食べればよいそうです。

まとめ

病状とともに介護の負担も重くなっていくので、緩和医療や介護サービスを利用して、家族の負担を減らすこと、そして最期をどう生きたいか、普段から本人と家族で話し合うことが大事だと、遠矢院長は締めくくっていました。
誰もが避けることができることのできない死ですから、本人として、そして家族として、真剣に考えるきっかけにしたいと思わせる番組でした。

さて、番組内で紹介された、ケアをする家族の不安を解消する「緩和パス 症状別パンフレット」。どんなものなのか気になった方も多かったのではないかと思います。調べたところ、桜新町アーバンクリニックのウェブサイト(http://www.sakura-urban.jp/torikumi/kanwa.html)で、誰もが利用できるよう、PDF形式でダウンロード可能でした。

緩和ケア症状別パンフレット
http://www.sakura-urban.jp/torikumi/pdf/panf.pdf

「病診連携や在宅医療を行うすべての医療機関、介護事業者の方々に広く利用していただくために公開することにしました。」とあります。素敵です!ただし、これはあくまでもどうやら、医療機関、介護事業者が患者や家族に対して説明するための資料のようで、患者や家族が参考にするには、やはり専門家に相談しながらというのがよさそうです。


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