認知症の前兆と予防法〜『団塊スタイル』より

超高齢社会が進行する現在、認知症の高齢者数は462万人を超えています。
認知症といえば「もの忘れ」をイメージされることが多いですが、「幻視」の症状が現れる認知症もあったりするなど、多様なパターンがあります。
認知症の初期に現れる“サイン”をただの老化現象と見間違わないためにも、知識を得ておくことは重要です。
私たちが知っておくべき知識と、社会の取り組みが『団塊スタイル』にて紹介されていましたので、まとめておきます。

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アルツハイマー型認知症

まずは、代表的な認知症である「アルツハイマー型」をご紹介します。
特徴的な症状として、物忘れや記憶の障害などが挙げられます。

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『団塊スタイル』より

「海馬」と呼ばれる記憶を司る部分が萎縮することによるもの忘れから始まり、進行すると脳全体が萎縮していき、徘徊や字が書けなくなるなどの深刻な症状があらわれます。

番組に登場した順天堂大学医学部教授の井関栄三医師は「認知症患者の家族に症状が出たのはいつから?と訊くと、3ヶ月前から、などと答えるが、脳を見てみると2,3年前から始まっていたはず、ということもある。」と話していました。
そこで井関医師が「では、こんな症状はありませんでしたか?」と具体例を挙げて訊いてみると「ありましたが、それは歳だから当然だと思って…」という答えが返ってくるといいます。

「歳だから……」と、いつの間にか見過ごしてしまっているかもしれない認知症のサイン。
加齢現象と認知症のサインを見分けるポイントを見ていきましょう。

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アルツハイマー型認知症のサイン

番組に登場したIさん(60代女性)には、アルツハイマー型認知症のお母さん(82歳)がいます。そのIさんが「いま思えばあれが前兆だった…」という出来事を話していました。

認知症と診断される10年以上前。Iさんの娘さんが、裁縫が得意だったおばあちゃんに「ブラウスを作って欲しい」と、洋服の生地を渡しました。喜んで承諾すると思いきや、「私は裁縫を一度もやったことがない。でも、作って欲しいというのならやってみる」と言って受け取ったといいます。
「裁縫が得意だった母が、どうしてやったことがないなんて言ったのだろう?」と不思議に思ったIさんは「何言っているの?」と問いかけてちょっとした言い合いになってしまったそうですが、その時はそれで終わったといいます。

それから1ヶ月後、渡されたブラウスを見て更に驚くことになりました。
ブラウスに、近所の洋裁店の領収書が挟まっていたのです。お母さんは自分ではブラウスを作れなかったため、お金を払って仕立ててもらったのだそうです。

それだけではありませんでした。

お母さんはグラタンなど凝った料理が得意だったのに焼き魚などの簡単な料理しか作らなくなっていったそうです。
また、きれい好きなお母さんは以前ならサッシの溝までかかさず掃除していたのに、そのような細かい場所には次第に手を付けなくなっていったのだそうです。

このような出来事に遭遇しても、当時のIさんはそれが認知症のサインだとは思わなかったそうです。
「お年寄りと一緒に暮らした経験がなかったので、お年寄りの“普通”がわかっていなかった。お年寄りらしい物忘れなのか、度を越したのか、判断できなかった。それで認知症と判断するのが遅れてしまった。」とIさんは語っていました。

アルツハイマー型の認知症の場合、日付がわからない、などの症状が早期に出てくるといいます。

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『団塊スタイル』より

井関医師は「こんなこともあるだろう、と見過ごさないで、これらの症状に気づいたら様子を見るようにすべき。」と指摘していました。
また、「気づいても本人には言わないで、注意深く見ていく」ことも心がけるべきだそうです。

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レビー小体型認知症

次にご紹介するのは「レビー小体型認知症」です。聞き慣れない名前ですが、認知症全体の14%を占める種類の認知症です。

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番組に登場したMさん(60代女性)は、当時89歳の母親が突拍子もない事を言って驚いたといいます。
家に2人でいると突然、「ほら見て、あそこにかすりを着た男の子が。かわいいね。こっち向いて笑ってる」と言い出したのです。またある時は「そこに知らない男の人がいるよ。誰?あなた浮気してるわけじゃないわよね?」などと言い出し、そのような時はいつも、見えない方がおかしい、みたいな言い方だったといいます。

これを聞いた井関医師は「意識がはっきりした状態で幻視が出てくる病気としてはレビー小体型認知症という病気を考える。」と述べていました。

レビー小体型は1995年に提唱された新しい型の認知症で、はっきりとした幻視が訪れるのが特徴です。
レビー小体という特殊なタンパク質が脳内の広範囲に出現し、神経細胞を死滅させることで様々な障害が出ると考えられているそうです。
下の図は、一つの脳を様々な角度から撮影したもので、色のついた部分は脳の機能が失われている部分です。

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後頭葉の視覚野という、ものを見る中枢がある場所に色が付いています。これがレビー小体型認知症の大きな特徴なのだそうです。

レビー小体型認知症の主な症状は…

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うつ病に似ている部分があるので、初期の頃にうつ状態と診断され、後にレビー小体型認知症と診断されることも多いそうです。
家族が気づくポイントとしては「睡眠時に異常な行動を取る」点がわかりやすいそうです。

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「レム睡眠行動障害」と呼ばれるこのような現象は、認知症と診断される10年以上前から出現することがあるそうです。気になる点があれば、もの忘れ外来や精神科、神経内科などを受診しましょう。

※全国もの忘れ外来一覧(http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=2825

認知症と診断されても初期であれば、薬を処方したり日常生活の改善をしたりすることで進行を遅らせることができるそうですから、早期発見が重要です。

というわけで、続いては早期発見に役立つ「もの忘れドック」のご紹介です。

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もの忘れドック

もの忘れドックとは、様々な検査によって認知症を早期発見することを目的にした新しい健康診断です。
まずは臨床心理士による、簡易認知機能検査を行います。
「今日は何月ですか?」という質問や、「100から順番に7を引く」というような計算能力テストや言語能力テスト、図形の書き写しテストなどによって認知機能を検査します。予習し過ぎず自然な状態で臨むべきだそうです。

続いて、X線CT検査で脳の断層を撮影し、脳の萎縮や出血を調べます。
そして最後に、医師による診察と結果説明が行われます。
まずは問診で日頃の生活を聞き取り、画像を見ながら結果を伝え、これからどう向き合えばいいのかなどが説明されるそうです。

このドックを受ける時は、家族も同行することが勧められていました。数年前と現在の本人の様子の比較などは家族でないとわからない部分が多いので、同伴するようにしましょう。検査時間はおよそ2時間だそうです。

ここまで述べてきたように認知症は予備群の段階で見つけることが重要ですので、認知症と思われる症状の有無にかかわらず、健康診断として気軽に受けてみてはいかがでしょうか。

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認知症患者やその家族へのサポート

認知症患者の増加に対応して、「認知症サポーター養成講座」という制度が誕生しました。
厚生労働省が平成17年度から始めた制度で、地域や職場で認知症患者とその家族を支援するために、認知症を正しく理解したボランティアを養成する仕組みです。
誰でも無料で受講できて、現在6,677,224人が活動しているそうです。
興味のある方はこちら(http://www.caravanmate.com/qanda_1.html)を参考にしながら受講できる場所を探してみるとよいでしょう。

まとめ

「認知症サポーター」の登場からもわかるように、認知症は隠したり家族だけで抱え込んだり問題ではなく、社会で支えあっていく問題に変わりつつあるようです。
認知症は早期発見・早期対策が重要であることを念頭に置きつつ、発症後も地域や職場で支えあっていくことが大切であるとわかりました。


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