秋から冬にかけて肌がカサカサになって粉をふいたようになったり、かゆみが出たりする人、多いのではないでしょうか?
番組で紹介された女性は、ぬか漬けで乾燥肌が改善したそうです。米ぬかには肌を保湿する効果がある成分が含まれており、ぬか漬けを作るだけでも手を中心に保湿が期待できます。また、できたぬか漬けを食べることで体全体の乾燥肌を内側から改善することも可能なのだそうです。
乾燥肌やかゆみは自分で作っている?
番組では乾燥肌に悩む人たちを集めて検証をしていました。
佐藤さん(50歳女性)・・・顔の乾燥と首のかゆみ
下地さん(49歳女性)・・・顔の乾燥と足のかゆみ
小板橋さん(62歳男性)・・・背中や太もものかゆみで眠れない
樋口さん(46歳男性)・・・5年前から足のくるぶし周辺のかゆみ
小宮さん(56歳男性)・・・おでこ、お腹、すねなど全身のかゆみ
みなさんそれぞれ乾燥肌対策をしているものの、改善しないのだとか。確かに、乾燥肌に悩む人って毎年同じ顔ぶれですよね。増えることはあっても減ることはあまりないという印象ではないでしょうか?
この参加者の方々の乾燥やかゆみの原因を、東京工科大学応用生物学部の前田憲寿先生が調べます。前田先生は美科学研究室というものを大学ではされており、ホームページによると
1. 美しく健やかな肌を創る研究
2. 香りによる心理・薬理効果の研究
3. 香粧品の有用性と評価技術に関する研究
4. 肌の測定法の研究
5. 新しい化粧品成分・美容機器の研究
研究室ホームページ
を研究テーマにしています。
まずはマイクロスコープで乾燥している肌を拡大観察してみます。
肌がカサカサになり、白っぽくなっています。
水分量を測ってみると、
この方(樋口さん)は7でした。正常であれば100以上あるのが普通とのことで、7というのは明らかに水分量が足りていません。
他の方も水分量を計測してみたところ、やはりみなさん100には遠く及ばなかったようです。
なぜ肌は乾燥するのか?
肌の新陳代謝のことをターンオーバーといいます。女性の方には一般的ともいえるくらいにメジャーな言葉ですね。
このターンオーバーが正常であれば、肌の内部で保湿バリアなるものが作られて乾燥を防いでくれます。
しかし、ターンオーバーが乱れてしまうと保湿バリアが正常に働かなくなり、内部の水分は外へ逃げてしまい、乾燥肌になるわけです。
ではかゆみはなぜ起こるのでしょうか?
かゆみは、肌の奥深くにあるかゆみを感じる神経が刺激されることで起こります。
通常はこの神経は肌の奥にありますから刺激されることはありません。しかし、乾燥肌になってしまうと肌の異常を知らせるために奥にあった神経が肌の表面付近にまで伸びてきてしまい、ちょっとした刺激でかゆみを感じるようになってしまうわけです。
このかゆみを改善するためには、とにもかくにも肌のターンオーバーを整えて、保湿バリアを機能させていくことが重要なのです。
ターンオーバーを整えるには?
次に参加者が訪れたのはマブチメディカルクリニックの馬淵院長のところです。馬淵院長は、
『乾燥肌は自分自身が造りだしている可能性がある』
と指摘します。例えば、入浴。お風呂の入り方一つで乾燥肌になってしまう方もいらっしゃるそうです。
そこで、男性参加者の入浴状況を確認してみます。
指摘事項
・下着の締め付けがきつすぎる
まず脱衣所で指摘されたのが、肌に着いた下着の跡です。下着は少し大きめで綿100%のものが好ましいとのことでした。
また、中高年の女性に多い首回りのぶつぶつは、乾燥肌やネックレス、マフラーの摩擦による刺激が原因になっていることが多いそうです。
首のかゆみに悩む女性参加者の首のぶつぶつ。
・ナイロンタオルでゴシゴシ洗うのは良くない
ナイロンタオルでゴシゴシやるのはお風呂の定番シーンですが、これも肌への負担は大きくなっているそうです。
手で優しく洗った場合とタオルでゴシゴシ洗った場合の比較です。
見た目ではさほど違いはわかりませんが、肌からの蒸発する水分量を比較してみると明らかな違いがみられました。
手洗いの場合が正常範囲内で収まっているのに対し、ゴシゴシ洗った方は正常範囲を超えて水分が流出しているのがわかります。
馬淵院長いわく、ナイロンタオルでゴシゴシやると、肌を傷つけてしまい、ターンオーバーのリズムが崩れてしまうそうです。ターンオーバーのリズムが狂うと乾燥肌を招く原因となってしまいます。
さらに、こうした刺激はメラニン色素を増やす要因となり、肌のシミや黒ずみの原因にもなります。
・最初に湯船に浸かるのは良くない
風呂に入ってすぐに湯船に浸かる人も多いですが、乾燥肌の人はこれも要注意とのことでした。なぜなら、湯船に浸かると肌の表面がふやけてしまい、ふやけた後に身体を洗うと肌の表面が傷つきやすくなるからです。
・お湯の温度が高すぎるのは良くない
お湯の温度が高いと、皮脂が溶け出してしまい、乾燥肌を招くそうです。お湯の温度は40度まで、時間は15分以内が目安です。
・液体石鹸の使い過ぎは良くない
多くの液体せっけんの中には界面活性剤が含まれており、皮膚のバリア機能を低下させる場合があるそうです。なので液体石鹸を何度も補充しながら洗うのは良くないそうです。肌の質によっては液体せっけんは1週間に1回で良い場合もあるくらいだそうです。
・洗いすぎると臭いがきつくなることも
通常、健康な皮膚には表皮ブドウ球菌という常在菌がいます。この菌は皮脂や汗を食べて保湿成分を作り出したり、悪臭を発する細菌が増えるのを防ぐ役目をしてくれています。
しかし、体を洗いすぎるとこの表皮ブドウ球菌までなくしてしまい、悪臭を発する菌の繁殖を助けることになってしまうわけです。ゆえに洗えばいいってものではないわけです。
・シャワーのみはすすぎ漏れに注意
シャワーのみで湯船に浸からずに出る場合は洗った後のすすぎが不十分なケースがあるそうです。実際、シャワー派の参加者をのすすぎ漏れ確認してみると、首やすねに洗剤成分がのこったままでした。つまりすすぎが不十分だったということです。
・洗う順番に気を付けると良い
洗うのは基本的には髪⇒身体⇒顔の順番が良いそうです。
・身体を拭く時にもゴシゴシ
体を洗う時と同じで、ゴシゴシタオルで拭くのは肌に良くありません。優しく押すようにして拭くのが理想的とのことです。
・保湿クリームは風呂上り後すぐに塗る
やはり水分が蒸発していく前に塗らないとってことですね。
脂ぎっている人でも乾燥している『インナードライ』
表面は皮脂でテカっていても、内部は水分が足りない状態をインナードライというそうです。これは、水分が足りないのを脂分で補おうとして脂分が出過ぎている状態なのだそうです。逆にいえば、保湿ケアをして水分不足を解消してやれば、肌表面のテカリやギトギトが改善されることもあるわけです。こういうケースだと、テカっているから保湿クリームを塗らないでおくというのは間違った対策ということになります。
食べ物で内部からターンオーバーを整える
保湿ケアというと保湿クリームなど外部からのケアを連想しがちですが、馬淵院長によると食べ物による内部からのターンオーバーケアも非常に重要とのことでした。
肌の材料となるたんぱく質
ターンオーバーを整える栄養素~ビタミンA
ターンオーバーを整える栄養素~ビタミンC
さらに、腸内環境を整える食べ物も有効とのことで、最初に出てきたぬか漬けやヨーグルトなどの発酵食品や乳酸菌も肌には大変良い食材とのことでした。
かゆみと病気
番組で紹介された男性は、昔、足にムズムズとしたかゆみが出始めたために皮膚科に行ったそうですが、皮膚科では原因不明ということでかゆみを抑えるクリームを処方されたそうです。しかしそのクリームではかゆみは収まらず、ある日内科を受診したところ、糖尿病と診断されたそうです。
馬淵院長によると、糖尿病というのは血流が悪くなる事に加え、高血糖からくる脱水症状で乾燥しやすいため、かゆみが出やすいのだそうです。血流が悪くなると神経に障害が出てかゆみが出やすいですし、また、高血糖になると増えた糖分を排泄しようと尿の量が増えていきます。夜に頻繁におしっこが出る、喉が渇くというのは糖尿病の症状として有名ですよね。尿が増えるということは体の水分がそれだけ減っているということですから乾燥しやすく、乾燥が原因でかゆみが起こっているわけです。
糖尿病のかゆみは手足に出ることが多いそうで、皮膚科の薬でも改善しなかったりします。心当たりのある方は検査を受けてみた方が良いとのことでした。
また、別の女性(58歳)の事例では、かゆみの原因が慢性腎不全だったというケースもあったそうです。血液をろ過する腎臓の働きが悪くなっていると老廃物が排出されることなく体の中に溜っていき、それが原因でかゆみが出ることがあるそうです。
そのほかにも、かゆみが症状として出る病気はあって、すい臓がん、胆管がん、肝硬変などが良く知られています。
単なるかゆみとバカにせず、ずっと長引いているような場合はやはり検査が必要だといえるでしょう。