脂肪肝~γ-GTP正常でも要注意!フィブロスキャン・ナッシュ~主治医が見つかる診療所より

先日の『主治医が見つかる診療所』は、「沈黙の臓器『肝臓』最新情報&肝臓ドック」と題した特集でした。γ-GTPの数値ではわからない肝臓の異常を検査するための最新の機器や、お酒を飲まない人にも起こる深刻な肝臓病について、そして肝臓を健康に保つ食品など、肝臓病とは無縁と思われ勝ちな人でも知っておくべき、ためになる情報が満載でした。

 

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肝臓病の特性

肝臓病について、国立国際医療研究センター国府台病院 第一肝疾患室医長で消化器・肝臓内科の是永匡紹医師は、
「糖尿病や高コレステロール、高血圧などの生活習慣病と密接な関連がある。しかもほとんど症状がないので、誰でももしかしたら肝臓が傷んでいる可能性がある」
と語ります。また札幌禎心会病院 脳疾患研究所 所長で脳神経外科の上山博康医師は、
「肝臓は我慢強い臓器。異常が出たら、すでに肝臓の8割以上がやられていると言われている。なので、異常が出たときはかなりやばい」
と言います。異常がないと思っていても普段から気をつけないといけないことがわかります。

 

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肝臓の異常を知る血液検査~γ-GTPとは

血液検査で、アルコールが肝臓に与えている影響がわかる項目が「γ(ガンマ)-GTP」です。
γ-GTPについて、秋津医院院長で内科の秋津壽男医師は、
「γ-GTPは肝臓で主に作られていて、肝臓や胆のうで働く『酵素』。酒量が増えるとこの数値も上がっていくが、お酒を飲むことでこの酵素が増えるわけではない。お酒で肝臓がダメージを受けて壊れると、肝臓からγ-GTPが漏れてきて血液中で増える。つまりγ-GTPの値が高いと肝臓に負担がかかっていることがわかる」
と解説します。肝臓が壊れて漏れてきているとは、想像するだけで恐ろしいですね!γ-GTPの数値が高いと、どれだけ状態が深刻であるかということがわかります。

今回血液検査を受けた、普段からお酒をよく飲む3人のタレントさんのγ-GTPの数値は、次のようなものでした。なお基準値は50(IU/L)以下です。

東MAX氏 20(IU/L)
椿鬼奴氏 22(IU/L)
ドン小西氏 47(IU/L)

全員、基準値内でしたが、γ-GTPの数値が基準値内に収まっているというだけでは問題がないとは言い切れないというのです。秋津院長によると、
「γ-GTPが正常なのに肝臓病の人は結構いる。しかもお酒を飲まず、γ-GTPも正常なのに肝臓病であるケースが最近話題になっており、女性のほうがリスクは高い」
とのことです。

 

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γ-GTPは基準値なのに命に関わる肝臓病、脂肪肝とNASH(ナッシュ)とは

千葉県の69歳の女性、Oさんは63歳のときに肝臓病が発覚したといいます。最初は市の健康診断で「肝臓がちょっと悪い」と異変を告げられたとのこと。お酒を飲まないので「なぜ自分が?」と思ったそうです。このときのγ-GTPの数値は46(IU/L)。しかしすぐに精密検査を受けたところ、「NASH(ナッシュ)」と診断されたそうです。

NASHとは非アルコール性脂肪性肝炎のことで、女性に多いのだそうです。Oさんの肝臓は炎症を起こしていたのです。
肝炎とは肝臓の炎症で細胞が破壊され、肝機能が低下するものですが、NASHの場合はだるさや食欲不振が起こることもあれば、Oさんのように自覚症状がほぼない場合も多いと言います。このため初期には見過ごされやすく、検診で見つかった段階ではかなり進行しているケースもあるとのことです。
Oさんは医師から「放っておくと肝硬変から肝がんになる」と言われ、衝撃を受けたそうです。NASHは5~10年で5~20%が肝硬変に、さらに肝硬変になると5年で最大15%が肝臓がんになるとされているのです。

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主治医が見つかる診療所より

NASHの原因

肥満による脂肪肝がNASHの原因とされています。
脂肪肝は肝臓に脂肪が多く貯まった状態です。
脂肪肝になる原因は2つあり、ひとつは肥満、もうひとつは過度の飲酒です。お酒を飲むと、アルコールは毒性が高いためその代謝を優先し、脂肪の代謝は後回しになり、結果、脂肪が蓄積していくそうです。

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主治医が見つかる診療所より

Oさんは出産後に体重が増え始め、NASH発症前には20kgも増えていたと言います。このことに加え、脂っこいものを好む食生活や運動不足が脂肪肝につながったようです。
Oさんは現在も食事制限と運動と並行して通院を続けています。

脂肪肝について、そしがや大蔵クリニック 院長で内科・リウマチ科の中山久德医師は、
「年齢とともに体重が増えていく人が多い。見てわかる皮下脂肪程度で収まっていれば問題ないが、20代に比べて20kg以上太った人は脂肪肝を疑っていい」
とコメントしました。

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番組ではNASHの原因は脂肪肝であると説明されていました。ここで留意したいのは、脂肪肝が必ずNASHに進行するのではないということです。こちらの記事(http://kenkouiji.info/?p=4519)の説明を要約すると、NASHの前提は脂肪肝であるが、脂肪肝を放置してもNASHになるケースとならないケースがあり、なぜNASHが起こるのかはまだ解明されていないとのことです。
また、同記事では脂肪肝の原因のひとつとして、閉経後の女性のホルモンの影響が挙げられていました。今回の番組内では言及されていませんでしたが、Oさんは出産・閉経を経てホルモンバランスの大きな変化があったと考えられ、発症のタイミングが63歳であったことからも、Oさんの脂肪肝の原因のひとつに、女性ホルモンの影響があった可能性も考えられます。

 

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最新の肝臓検査、フィブロスキャン

フィブロスキャンとは、肝臓に特殊な超音波を当てることにより、肝臓に溜まった脂肪量や肝臓の硬さまでを計測する最新機器で、脂肪肝の進行度合いがわかるとのことです。全国にまだ100台ほどしかないそうです。
病院や検査機関によって危険とされる値に違いがあるものの、是永医師の監修では肝臓に溜まった脂肪の量(dB/m)が

230以上で脂肪肝の疑い
250以上で脂肪肝

と判定していました。

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フィブロスキャンとは具体的にどのようなものなのか、調べてみました。フィブロスキャンを扱う会社のウェブサイト(http://www.intermedical.jp/fibroscan/)で形状などを確認することができます。

プローブとよばれる機器の部分を肝臓に押し当てるだけで、肝臓の硬さなどを測定できるます。針で刺したり体の組織を切り取ったりといったことが不要な非侵襲方式なので、入院なども必要なく、一人を計測するのにかかる時間はわずか3~5分です。
気になる費用ですが、医療機関によりまちまちでした。保険適用かどうかによっても差が出てくるようです。

山梨県南都留郡道志村の健康診断 2,160円
北里大学メディカルセンターの人間ドックのオプション検査として  3,240円
福井県済生会病院 内科外来 
 約600円(保険適用で3割負担の場合)

椿鬼奴氏(44歳)のフィブロスキャン検査結果

以前に比べ酒量を控え、ビールはやめ焼酎にするなど健康的な食生活にシフトしているという椿鬼奴氏の結果は、

188(dB/m)=どこの検査機関でも脂肪肝ではないと判定されるレベル

この結果について秋津院長は、
「努力してよくなったというよりは、大量の飲酒など非常に悪い生活習慣がやっと普通並みになっただけ。ただ、それでも差が出てくるということ。この生活を続けるとともに、あと2~3kgほど体重を絞るとよい」
とコメントしていました。

東MAX氏(46歳)のフィブロスキャン検査結果

以前は食べていなかった朝食に野菜ジュースをとるようにし、普段から運動にも取り組むものの、夜の外食で暴飲暴食、特に大量飲酒しているという東MAX氏の検査結果は、

217(dB/m)=疑いのある230(dB/m)に近いものの、その他の検査を含めても脂肪肝とは言えない

獨協医科大学医学部 特任教授であり高石内科胃腸科 内視鏡センター長、消化器内科の森一博医師は、
「外食でのお酒がずいぶん多い。今はよいが、5年10年とこのペースが続けば異変をきたしてもおかしくない。今から酒量を控えたほうがいい」
とアドバイスしていました、

ドン小西氏(65歳)のフィブロスキャン検査結果

数年前に心臓の大手術を受けて以降、糖質はとらない、お酒に気遣うなど生活を変えたと語り自己評価は高いものの、1日15杯の焼酎を飲んでしまう日もあるドン小西氏の結果は、

288(dB/m)=250~300で肝臓に3割ぐらい脂肪がついている。誰が見ても脂肪肝の状態

是永医師は、
「今回たまたまγ-GTPが正常だったとは言え、摂取している酒量を見ると生活習慣を見直さなけれ肝硬変、肝臓がんに注意が必要になってくる」
と所見を述べ、対処法として直ちに酒量を減らし、適度な運動を行うよう勧めていました。
また補足として秋津院長は、
「焼酎は体によいとか、焼酎だったらいくら飲んでもよいからビールから焼酎に変えるという考えは完全な間違いであることをはっきり言いたい。焼酎には糖質が含まれていないだけで、アルコールであることに変わりはない」
と強調していました。

 

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肝硬変や肝がんにならないために気をつけるべきこと

中山医師は、筋肉の重要性を指摘していました。

「筋肉は第2の肝臓とも言われ、糖質の分解物であるグリコーゲンを蓄積したり、体温を作ったりと、肝臓の働きを肩代わりしてくれる。すなわち筋肉の働きが落ちると、筋肉が肩代わりしていた部分が肝臓に余計な負担としてのしかかってくる」

とのことで、運動により筋肉が衰えないようにすること推奨していました。

肝臓を元気にする食材とは

上山医師は、自身がA型肝炎を患った体験から、高たんぱくで低脂肪の「納豆」を推奨。
中山医師は、肝臓細胞の再生を促進する働きが非常に高い成分であるタウリンが含まれるので「イカ」、「タコ」を勧めていました。
秋津医師は、肝臓の脂肪合成を抑えるため脂肪肝の進行を予防する成分であるイノシトールが含まれるため、「枝豆」がよいと主張。枝豆にはビタミンやミネラルも豊富です。

mametisiki

ほかにも肝臓によい食べ物がないか調べてみました。こちらのサイト(http://www.skincare-univ.com/article/005352/)によると、肝臓に必要な「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンA、C、Eが豊富な食べ物をとるといいようです。ビタミンAが豊富な食品としてレバー、ビタミンCが豊富な食品としてブロッコリーやかぼちゃ、ビタミンEが豊富な食品としてごまが紹介されています。またうなぎはビタミンAもEも豊富だそうです。
亜鉛やセレンといったミネラルも肝臓に必要な栄養素だとのことで、牡蠣や野菜・果物、ナッツもいいようです。
そして上山医師も言及していましたが、肝臓は良質なたんぱく質を必要としているので、大豆製品などの植物性たんぱく質と、卵や乳製品、肉、魚介類といった植物性たんぱく質をバランスよくとることが勧められています。
また番組ホームページ(http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/backnumber/160530/index.html)では、医師が勧める肝臓を元気にする料理レシピも掲載されているので、参考にされてはいかがでしょうか。

 

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まとめ

自覚症状がないので「大丈夫」と思っていても、症状が出たり、検査で数値に異常が出たときにはすでに状態がかなり悪化しているのが肝臓病とのことでした。γ-GTPの数値が正常でも脂肪肝になっている可能性があることもあり、安心できません。気になる方は、この際フィブロスキャンで脂肪肝かどうかを検査されてみてはいかがでしょうか?

お酒を飲まない人でもNASHという恐ろしい肝臓病に罹患することも紹介されていました。脂肪肝にしてもNASHにしても、肝臓に脂肪が貯まることが原因(もしくは遠因)ですので、食生活に気をつけ、加えて適度に運動をするといった、健康的な生活習慣を身に着けて、脂肪肝にならないよう気をつけたいものですね!


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