先日の「きょうの健康」では、東北大学大学院の教授で過敏性腸症候群の治療や研究をしている福土審先生が、過敏性腸症候群の治療方法について解説していました。
【福土審先生の著書】
過敏性腸症候群は治るのか?
福土先生によると、ストレスや敏感になった腸が原因で慢性的に腹痛、下痢、または便秘を繰り返す病気を過敏性腸症候群と言うそうです。この病気は長引くことが多いですが、適切な治療によって症状を改善させたり、治したりすることができるとのことです。ですから、体質のせいだと諦めずに、医師の診察を受けることを福土先生は勧めていました。
過敏性腸症候群の治療方法
患者さんによって、生活習慣の改善、食事指導、薬物療法、心理療法を組み合わせて過敏性腸症候群の治療がおこなわれるとのことです。
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番組では、過敏性腸症候群の改善には、適度な運動をすることが効果的だとの説明がありました。患者さんが3ヶ月の運動プログラム(週に3日から5日の有酸素運動を1日20分から1時間行う)に参加した結果、下のグラフのように症状が改善されたとのことです。
きょうの健康より
また、ストレスの影響を受けにくくするために、毎日同じ時間に起床、3回の食事、就寝をすること、十分な睡眠を取ることで症状が改善することもあるそうです。
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福土先生によると、過敏性腸症候群を改善するには、摂取を控えるべき食品と摂取すべき食品があるそうです。番組では、過敏性腸症候群の改善に効果がある食事として、低FODMAP(フォドマップ)食についての説明がありました。
きょうの健康より
低フォドマップ食とは、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖の一部を控える食事のことです。これらの糖は、腸で発酵してガスを発生させるので、お腹の張り、腹痛、下痢の原因になります。過敏性腸症候群の患者さんの腸は敏感になっているので、少しの発酵でもお腹が張ったり、下痢になったりするそうです。ですから、これらの糖を含む食品の摂取を減らすことが症状の改善につながることもあるとのことです。
けれども、これらの食品を全く食べてはいけないということではありません。
福土先生によると、人によって症状が出る食品は違うので、それぞれの食品を一品ずつ試して、症状が出た場合は控えれば良いとのことでした。
低フォドマップ食については「日本における低フォドマップ(FODMAP)食の基本と実践」にレシピ等が詳しく書かれています。
※kindle版のみとなっていますのでご注意ください。
その他、脂質の多い食事、コーヒー、アルコール、香辛料も控えた方が良いそうです。
症状の改善に良い食品は、たんぱく質、水溶性植物繊維、乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品です。
きょうの健康より
水溶性植物繊維を含むきのこ類や海藻類や乳酸菌・ビフィズス菌を含むヨーグルトには、フォドマップも含まれています。ですから、これらの食品を摂取して体調が悪くなる場合は、摂取を抑えたほうが良いとのことです。
ただ、食事がストレスになっては意味がないので、無理のないように取り組むことが大切だと福土先生は解説していました。
薬物療法
生活習慣の改善や食事指導で症状が治まらない人、または、症状をすぐに抑えたい人には薬による治療がおこなわれるとのことです。
まず、整腸作用のある薬が処方されます。例えば、下痢の人には、セロトニン3受容体拮抗薬、便秘の人には粘膜上皮機能変容薬(ルビプロストン)が処方されます。
きょうの健康より
その他、症状によって、消化管運動調整薬、乳酸菌製剤、高分子重合体などが使われます。これらの薬で効果が現れなかった場合には、下痢には止痢薬、便秘には下剤や消化管運動促進薬、腹痛には抗コリン薬が処方されます。
きょうの健康より
整腸作用のある薬を4週間から8週間服用しても症状が改善しない場合は、ストレスを軽減させる薬(抗うつ薬、抗不安薬)が処方されるそうです。
心理療法
心理療法には、弛緩法、催眠療法、認知行動療法などがあるとのことです。番組では、電車に乗ると必ず腹痛と下痢の症状が出てしまうAさんを例に認知行動療法の説明がありました。
きょうの健康より
Aさんは、電車に乗ると必ず腹痛と下痢がおこるので、電車に乗ることができなくなってしまいました。
しかし、Aさんが電車に乗ることを避け続けていては、ストレスはなくなりません。ですから、認知行動療法では、Aさんの『電車に乗れない』という思い込みをなくすための働きかけをするそうです。
例えば、Aさんが電車に乗る前にどんなことを考えていたか等の特徴を調べ、週に1度程度でよいので、下痢止めを持って電車に乗るようにして少しずつ電車に乗っても大丈夫だという認識を持ってもらうようにするそうです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]まとめ
忙しい生活を送っていると、ついついストレスを溜め続けてしまいます。現在、過敏性腸症候群で苦しんでいる人もそうでない人も、福土先生が説明していたように、本来の自分に戻る時間(散歩、呼吸法、瞑想、座禅など)を意識的に作るようにしたいところです。