熱中症対策~インターバル速歩汗をかける体作り~チョイス@病気になったときより

先日の『チョイス@病気になったとき』のテーマは、「熱中症対策」でした。熱中症で亡くなった人は、ここ20年で26倍にもなっているそうで、大きな問題です。そこで番組では暑さに強い体作りなど、水分補給やエアコンなどに代わる家でできる対策など、熱中症対策の新常識について伝えていました。年々暑さが厳しくなり、夏は熱中症のリスクが高まるので、参考にしたいアイデアが満載でした。

 

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熱中症にかかるとどうなる?

熱中症の経験者であるKさん(73歳男性)が、8月に畑仕事をしていたら起こったという熱中症による異変について語ります。その日は気温32.1℃、湿度49%でした。

<時間経過>
十分な熱中症対策をして出発 麦わら帽子、首の周りに保冷剤、冷水と氷で水分補給

蒸し暑く無風状態の中、しゃがんだ姿勢で草取り 作業は午前中2時間、お昼休憩後、午後も

暑さがピークの午後1時30すぎ、突然気分が悪くなる+脱力感

「このまま動けなくなったら」という不安を抱え、朦朧とした意識の中、残った力を振り絞って家に戻る

「具合が悪い」と家人に告げるも、靴も脱げない状態

病院に行き「熱中症」と診断を受け点滴後、帰宅

このときのことを振り返りKさんは、「まさか自分がなるとは」と思っていたと告白します。
熱中症と運動の関係に詳しいという、信州大学スポーツ医科学の能㔟博教授は、
「Kさんがあのまま畑に居続けていたら、命は危なかったのではないか」
と推測します。

 

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熱中症のレベルと症状

熱中症は「体温が急に上昇して起きる、急性的な症状」のことで、軽症、中等症、重症に分かれるそうです。

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チョイス@病気になったときより

<症状>
軽症
熱失神
最も頻繁に起こる。体温の上昇により皮膚の血管が拡張し、そこに血液がたまる。脳に十分な血液が行かず、酸素不足になり倒れる

熱けいれん
サッカー選手がグラウンドで足をつって倒れているのは熱けいれんの症状。血液のナトリウム(塩分)濃度が下がって筋肉がけいれんをおこす

中等症
熱疲労=汗をたくさんかいて脱水が起こり、血中の塩分濃度が上がったり、血液の濃度が下がると、体温調節機能が落ちる。体温調節機能が落ちると体のだるさが出たり、意識が朦朧としてくる。
対処法は、風を当てたりして体を冷やし体温を下げることで、氷を当てるときはわきの下や脚の付け根など大きな動脈を冷やすと効果的だそうです。

重症
意識障害=脳の温度が40℃を超えると脳が正常に機能しない。汗をかいたりといった「体温調節反応」も消滅するので非常に危険。この状態では即救急車を呼ばないといけない。

熱中症は動いていないときにもなるとのことで、Kさんのように長時間しゃがんだ姿勢だと脚に血液がたまり、熱失神を起こしやすいそうです。

 

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熱中症と気温の変化

熱中症は気温と関係が深く、気温が急に上がったときに患者が増えるというデータが示されました。

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チョイス@病気になったときより

その理由について能㔟教授は、
「同じ温度で推移していれば大丈夫だが、急激に温度が上がったときには温度の上昇に体がついていけない状況がつくられており、熱中症になってしまう」
と解説します。

 

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攻める熱中症対策~運動で汗をかく

<「歩く筋トレ」インターバル速歩+牛乳>
Kさん(70歳男性)は、「ちょっと疲れる」運動をすることによって暑さに強くなり、熱中症にもなったことがないと言います。「ちょっと疲れる」という部分がミソだといいますが、運動をしたらますます熱中症になってしまうのではないかと心配になります。
Kさんが行っているのは「インターバル速歩」です。最初はただのウォーキングのようですが、開始3分後には手を大きく振り、大またで歩く「はや歩き」に切り替えます。かなりのはや歩きなので、表情は険しくなっています。

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チョイス@病気になったときより

3分はや歩きをしたあと、また通常のウォーキングに戻し、という繰り返しで、体に無理なく負荷をかけ、30分後には大量の汗をかいたKさん。この「汗をかく」というのが熱中症対策のポイントなのだそうです!
能㔟教授は、
「ちょっと体温があがるだけで汗がかける体になることが大事」
だと語ります。体温が上昇すると、血中の水分が汗として皮膚の表面に出てきます。この汗が乾くときに気化熱が体から熱を奪い、体を冷やすといいます。

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チョイス@病気になったときより

この「汗をかくしくみ」がきちんと機能する体づくりが、最高の熱中症対策なのだそうです。
加齢とともに汗をかきにくくなるそうですが、Kさんのように1時間のインターバル速歩を週4~5日続けていれば、70歳でもしっかり汗がかけるとのことです。
運動を長く続けるコツとしてKさんは「能力にあった運動量と、すきなときにできる運動をすること」を挙げています。Kさんはインターバル速歩を始めて5年ですが、75.7lgだった体重は70.4kgに、そして体脂肪率は30%から22%にまで下がったそうです。
能㔟教授もインターバル速歩について、
「『疲れたら休みなさい』という歩き方がインターバル速歩。Kさんの場合は3分のインターバルだが、インターバルは自分の(疲れの)感覚でよい。」
と述べています。インターバル速歩は「歩く筋トレ」とも呼ばれるほどで、歩くことで筋肉が増えると血液も増え、熱中症対策になるとのことです。

牛乳の効能

さらに運動の30分以内に牛乳を飲めば、たんぱく質があるので脚の筋肉が太くなり、一層熱中症に強くなるのだそうです。
このことについて能㔟教授は、
「筋肉の太い人は、そこにたくさん水を蓄えており、体がみずみずしい。なのでいくらでも汗をかけ、暑さに強い」
そして、なぜ牛乳なのかという疑問に対しては
「ややきつい運動をすると乳酸がたまるが、それは筋肉の中でブドウ糖(グリコーゲン)を使っている。それが刺激となってたくさんのたんぱく質を取り込み、筋肉の繊維を合成しようとする反応が亢進するが、それは運動後30分以内に限って起こる。その間に牛乳をコップ1杯から2杯飲めば、乳タンパクが筋肉の中に取り込まれ、筋肉の合成が盛んになる」
と説明します。牛乳以外にもヨーグルトやチーズなど、10gの乳タンパクを含む乳製品ならなんでも筋肉が増えやすくなるようです。
ではどれぐらい筋肉が増えるのでしょうか。65歳以上を対象に5ヶ月間、太ももの筋肉の増加量を調べたグラフがあります。

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チョイス@病気になったときより

歩かない人と「1日1万歩歩く人」では差異はほとんどありませんが、インターバル速歩と牛乳の組み合わせでは筋肉が大幅に増えています。インターバル速歩、そして牛乳の効果のすごさがわかります!

汗のかき方のポイント

汗のかき方のポイントとして能㔟教授は、
「暑さに慣れていないと、すごく体温が上がってからでないと汗がかけない。一気に大量の汗をかくと、体の表面から蒸発することなく、ぽとぽとと流れ落ちてしまう。これは無駄な汗=『無効発汗』と呼ばれ、体温を下げる効果がない。タオルでふくことも無効発汗となり、役に立たない汗になる」
といい、ほんのり汗ばんで蒸発するぐらいの汗のかき方がちょうどよいと示唆しました。

インターバル速歩の効用

長野県松本市では、2003年から高齢者を対象としたインターバル速歩の教室を開いているそうです。参加者からは
「始めて3ヶ月で血圧が168から138に下がった」(73歳男性)
「コレステロール値が260から220に下がった」(72歳女性)
「中性脂肪がとても高く、1000近かったものが今では200に下がった」(72歳男性)

など、熱中症対策以外のメリットが口々に語られます。

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実は長野県松本市は、市としてウォーーキングを健康増進につなげる施策に力を入れています。市の公式サイトに「市政の最重要政策として、『健康寿命延伸都市・松本』の創造プロジェクトを進めています。」とあり、「市民歩こう運動」としてウォーキングコースを制定したり、記録カードをダウンロードできるようにしているなど、多彩な取り組みを展開しています。
またこちらの記事で能勢教授は「10歳若返る歩行術」として、1日1万歩ダラダラ歩くよりインターバル速歩が効果的であると提唱しています。
番組内で「ちょっと疲れる」のがポイントとありましたが、この運動の強度についてより具体的に「2〜3分間続けると『もうダメだ』と感じる運動の、6〜7割の強度が『ややきつい』(※ちょっと疲れる)運動」だとのことです。
参考にされてみてはいかがでしょうか。

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チョイス@病気になったときより

インターバル速歩のポイント

―気温25℃以下のときに実施する 
―ゆっくり歩き3分と速歩3分の組み合わせを5セット、合計30分間行う
―牛乳、またはそれに相当する乳製品を運動後30分以内に摂取する

これらを行うと2週間ほどで体温調節機能が上がってくるそうです!

 

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よりお手軽に、早く効果が出る熱中症対策

1回30分のインターバル速歩が厳しい場合は、お試し的に15分を週3~4日を2週間行うだけでも体の調子がよくなってくるそうです。15分から始めて、慣れたら30分を目指してがんばるという方向です。
「慣れる」というのが「暑熱順化」、すなわち徐々に暑さに慣れることにつながるそうです。10日から2週間で血液量が上がり、体温調節機能が上がるとの能勢教授の見解です。

椅子つかまりスクワット

「週に4日も外に出たくない」という人には「椅子つかまりスクワット」という方法もあるそうです。
①足を肩幅に開く

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チョイス@病気になったときより

②転ばないようにしっかりとした椅子につかまり、3秒かけてゆっくりと腰をおろす

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チョイス@病気になったときより

③ひざを90度に曲げた状態で5秒数える

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チョイス@病気になったときより

④元にもどる
これを朝10回、夕方10回を目安・目標に行います。能勢教授のアドバイスは、転ぶと危ないので壁を背にして行うとよいとのことです。5秒キープは結構な負担ですが、それこそが筋肉の刺激になって、この運動のポイントだそうです。また、ひざが悪い人は無理をしないように呼びかけていました。

攻めの熱中症対策まとめ

ちょっとした運動(インターバル速歩)を行うことで筋肉をつけて血液量を上げ、それにより体温調節機能を活性化させる。

 

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熱中症対策のちょっとした工夫

アルミすだれ

69歳の女性Oさんは、気管支が弱いためクーラーが苦手で、そのため熱を部屋に入れない工夫をしているそうです。それは、日当たりのよい部屋の窓に「アルミすだれ」をかけること。アルミが日光を反射してくれます。

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チョイス@病気になったときより

温度計・湿度計

Uさん(67歳男性)は3年前に熱中症になって救急車で運ばれた経験があり、夫婦で温度計・湿度計を使うことで熱中症対策を行っているそうです。使っている温度計・湿度計は、温度が上がって熱中症のリスクがあるときに音や光で知らせてくれるものです。

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チョイス@病気になったときより

長時間を過ごすリビングと寝室に温度計・湿度計を設置し、体感で暑さを感じなくても、エアコンをつけたり換気扇をまわしたり、また水分補給を行うなどして対策をしているとのことです。寝室に設置することで、危険度が高いとされる夜間の熱中症への対策も万全です。

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番組で取り上げられていた温度計・湿度計は、こちら↓の製品だと思われます。

ネット通販で2000円~3000円で購入できるようですし、この製品以外にも同様の機能のあるものはいくつも出ているようです。熱中症が気になる方は購入を検討されてはどうでしょうか。

高齢者の訪問介護のスペシャリストである、暮らしの保健室室長で訪問看護師の秋山正子氏は、
「高齢者は室内で熱中症になっているケースが4割にもなり、室内の温度・環境を整えることが重要なので、温度計・湿度計を用いるのはよいこと。エアコンが嫌いな人も多いが、体感が鈍くなっている高齢者に『暑いと感じないの?』などと言うと傷つくので、使うよう上手に促したり、時には窓を開けて喚起したり扇風機を使うことと組み合わせるなど、周囲が気をつけてあげてほしい」
とコメントします。また高齢者はもともと体の水分量が少なく、脱水症状になりやすいそうです。

脱水症状が簡単にわかる「富士山チェック」
手の甲の皮膚をつまんで「富士山」をつくり、指を放して3秒たっても戻らなければ脱水が起こっているとのことです。

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チョイス@病気になったときより

また、水分補給には普通の水ではなく、ミネラルが入った「経口補水液(けいこうほすいえき)」が効果的だそうです。

経口補水液を自分で簡単に作る方法
材料はペットボトルに入った水500ml(水道水でもミネラルウォーターでもよい)、塩、砂糖

①塩、砂糖を溶かしやすいよう、ペットボトルから少量の水を別のコップに注いで用意する
②砂糖20g(ペットボトルのキャップにすりきり3杯)、塩1.5gを①で用意した少量の水に入れてよくかき混ぜる
③②でできたものをペットボトルの水に戻し、キャップを閉めてよく振る→完成
この経口補水液を飲んで「ややしょっぱい」と感じるのが普通の感覚で、「おいしい」とゴクゴク飲めてしまう人は脱水気味なのだそうです!
食事からとる水分も重要だということで、秋山室長は、
「1回の食事で汁物に加えてお茶なども飲むので300~400mlの水分をとっている。水分をとるだけというより、食事もしっかりとることで水分補給をしたい。夏場には食が細くなりがちだが、それだと水分補給も十分にできないので、食が細くなっていないかもしっかりチェックしたい」
と注意喚起していました。

まとめ

最後に秋山室長は、
「水分補給と食事をしっかりとることが熱中症対策の基本として大事。経口補水液は簡単に作れるので、夏場はぜひ備えておいてほしい」
と呼びかけていました。
熱中症対策には運動による暑さに強い体づくり、そして水分補給が大切だということがわかりました。アルミすだれや温度計・湿度計など、熱中症対策をサポートしてくれる製品も上手に取り入れながら、暑い夏を元気に乗り切っていきたいものですね!


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