【ゲスト医師】
医療ジャーナリスト・医学博士
森田豊氏
近畿大学医学部講師
榎木英介氏
産婦人科医
富坂美織氏
産婦人科医
丸田佳奈氏
コレステロールは身体にいいのか?
コレステロール値は血圧や血糖と並び健康を測るバロメーターとされてきました。日本動脈硬化学会は、悪玉コレステロール(LDL)が高いと心臓病になるリスクが高いとして、食事療法を推奨したり薬物投与して値を下げるようにしてきました。
しかし最近になって、
『コレステロールは身体に良いのではないか?』
という議論がされるようになってきているそうです。
番組では一つの事例が紹介されていました。
薬を飲んでまでコレステロール値を下げるべき?
事例のモデルは40歳を過ぎた男性サラリーマン。年齢を重ねるごとにお腹も出てきてメタボ体型になっています。この男性は3年前の健康診断でLDLが高いと診断されて以降、コレステロール値を下げる薬を服用してきました。
しかし、2014年4月、人間ドッグ学会は、従来のものよりも値を緩和した新たな基準値を発表しました。
この新基準値によれば、LDLコレステロール値は下限値、上限値ともにかなり緩和されています。
60~119
新基準
72~178
最近では『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』といった本まで出版され、本の中では
“LDLの値が高い人ほど肺炎やインフルエンザにかかりにくい”
といった従来にはあまりなかった内容が書かれています。著者である浜崎智仁氏は、『現在の医療でコレステロールが健康を害する悪のようにされている背景には、そうした方がお金になるからだ』という内容の指摘もされているそうです。
この本です。
番組に出演した医師の意見
番組ではこの事例に対してゲスト医師がコメントをされていました。どの回答も微妙な感じですが、森田医師の製薬業界と医師との癒着の話は説得力があって面白いですね。
富坂美織氏の意見
『薬を飲むよりも善玉と悪玉のバランスが重要』
コレステロールには血管壁を掃除する善玉と汚す悪玉があるので、この二つのバランスが大事なのだそうです。
富坂美織氏
『アメリカの研究で“コレステロール値が低いと早死にする”というものがある。しかし、それには、
・コレステロールは肝臓で作られる⇒肝臓が悪いと値は低くなる
・栄養失調だと値が低くなる
というトリックがある』
森田豊氏
『炭水化物を摂らずにタンパク質ばかり食べているとコレステロール値は上がりやすいので、痩せているのにコレステロールが高い人もいる。』
丸田佳奈氏の意見
『LDLの値が120mg/dlを超えると要注意』
『LDLコレステロールが悪さをするのは確かで動脈硬化を引き起こすのは間違いない。しかし、動脈硬化から病気になるかどうかはまた別の話。』
『学会によって基準値が違っているが、どの学会も120を超えると要注意と言っている。』
⇒動物性の脂、魚卵、卵の黄身など
榎木英介氏の意見
『数値はただの目安に過ぎない』
『メタボになったからコレステロール値が上がったのであって、そこでコレステロールだけ下げても今度は血圧が上がったりする。全体をみた対策が必要。』
森田豊氏の意見
『くすりは飲まなくて良い。』
『事例の人は薬を飲まなくても良い。』
『従来では異常だが新基準では普通というのは、結局のところ“大したコレステロール値ではない”ということ。』
『日本では今まで低い値でも薬を出してきている。』
『新基準は導入されたが、医師が薬を出す基準が変わったわけではない。』
『その通り!』
『コレステロールを下げる薬なんていうものは、製薬業界と医療業界が癒着していて出す薬。』
『風邪で2週間分は出し過ぎ。そんな病院はやめた方がいい。』
『慢性の病気なら良いが急性の病気では疑問。』
『特にコレステロールを下げる薬は医者によって(対応が)全然違う。』
まとめ
結局のところ、コレステロールについて言えば微妙な取扱いをされてきたようですね。薬を売りたい医療サイドがことさら大げさに煽って薬を出し、知識のない患者はそれを鵜呑みにしてきたわけです。
しかし、LDLコレステロール値が高いとそれがきっかけとなって深刻な病気へと進んでいく可能性はありますから、やはり無視はできない項目です。
丸田医師が言っていたように、どの学会でも120が一つの要注意ゾーンであるそうですから、120という数値だけは覚えておいた方が良さそうです。