更年期障害は女性の病気、というイメージをもっていませんか?
実際には男性の更年期障害も存在し、近年その患者数を増やしています。
それを知らずに「歳のせいかな…」などと考えて病気を放置してしまうと、例えばうつ症状が深刻化する可能性などもあるため、男性の更年期障害に関する知識を深めておくことは大切です。
そこで今回は、男性更年期障害に関する知識(主な症状や予防法など)を詳しく紹介していた『林修の今でしょ!講座』をまとめておきたいと思います。
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男性更年期障害チェックテスト
以下の6つの症状のうち、ご自分がいくつ当てはまるかをチェックしてみてください。
・ 集中力がなく、落ち着きがなくなった
・ 休みの日も外に出なくなった
・ 汗をよくかくようになった
・ 体重が増えてきた
・ つまらないことでイライラするようになった
・ 寝付きが悪く、夜中によく目が覚めるようになった
上記のうち2つ以上当てはまるようなら、男性更年期障害を疑ったほうがいいそうです。
番組に登場した、男性更年期障害を経験したことがある人の話には…
「50歳の頃、ひどく肌寒さを感じて眠れないほどだったが、それが普通だと思っていた。」
「体温調整ができなくなって、夏でも寝るときに靴下を履くようになった。」
などがありました。
また、「ひげ剃りの回数が減った」という兆候が出ることもあるそうです。
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男性更年期障害とは
男性更年期障害に詳しい順天堂大学医学部付属浦安病院准教授の辻村晃氏が、Q&A形式で男性更年期障害について解説していました。
Q1、男性更年期障害は医学的に見て病気であるか?
A、「病気」として診断され、治療がおこなわれるそうです。
Q2、男性更年期障害は体の中の何が減る病気?
A、男性ホルモンが減ることで起きると考えられているそうです。逆に言えば、男性ホルモンを減らさなければ予防ができるということになります。(予防については後ほどご紹介いたします。)
男性ホルモン
主要な男性ホルモンにテストステロンがある。男性の場合、約95%は精巣(睾丸)で作られるが、男女ともに副腎でも作られている。
(中略)
胎児の時期、大量のテストステロンが分泌されると、薬指が長くなるという。この分泌量は大人になってからも基本的には変わらず、薬指が長い人は実際テストステロンの値が高い傾向が確認されている。
Q3、男性ホルモンが減少する主な理由は?
A、加齢とストレスが主な理由であると考えられているそうです。
Q4、男性更年期障害は何歳から始まることが多い?
A、だいたい45歳辺りで発症することが多いそうです。
しかし、近年では40歳くらいで発症する方や、ひどいと30代で発症してしまう患者までいるといいます。辻村氏によると「おそらくストレスによって若年化している」とのことでした。
Q5、女性の更年期障害で特に多いのは「ホットフラッシュ(突然体温が上がって発汗する症状)」だが、男性更年期障害で多いと言われている症状は何?
A、うつなど精神面に関する疾患が多いと言われています。
また、体つきもメタボになって動脈硬化が起こりやすくなり、心筋梗塞につながる危険性も高まります。
さらには、ガンになりやすくなるという研究成果も出ているそうです。
Q6、男性更年期障害の治療薬はある?
A、男性ホルモンを増やす薬があるので、発見するのが早期であればあるほど簡単に病気を治すことができるそうです。
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男性更年期障害の3大症状
1、怒り
たとえば、「レストランで自分よりも後に頼んだ他のお客の料理が先に出てきたとき」や、「歯磨き粉などの日用品が切れていたとき」などに、これまでなら温厚で怒らなかった人でも急に激怒するようになることがあるそうです。
また、「部下を叱った翌日まで怒りを引きずって怒鳴りつける」などの行動もみられるそうです。
これらの変化は、辻村氏によれば「男性ホルモンの減少によって自律神経のバランスが崩れてしまい、交感神経が優位になるために起こる」といいます。
交感神経は緊張しているときにはたらく神経です。
男性ホルモンはこの交感神経を鎮める作用があるのですが、男性ホルモン量が減少してしまうと必要以上に交感神経が昂ぶってしまい、アドレナリンがどっと増えて、怒りの感情が起こりやすくなってしまうそうです。
・ふつうの怒りと男性更年期障害による怒りを見分けるポイントは?
以前は平気だったことに対して怒るようになったら要注意です。本人よりも家族など身近な人が気づきやすい変化と言えるでしょう。
・怒りすぎによる身体への悪影響は?
怒ると血圧が上がってしまうので、身体によくありません。
イライラを感じたときには忘れたほうが合理的であることが、最近の研究から明らかになっているそうです。
・怒りを鎮める方法は?
6秒間怒りをやり過ごすと良いそうです。怒りの感情は最初の6秒間が一番強いので、この間は別の場所を見たり、別のことを考えたりしてやり過ごすようにしましょう。
※怒りを鎮める具体的な方法は「アンガーマネジメント」として確立されていますので、それについてご紹介した記事を参考にしてみてください⇒イライラしない方法~アンガーマネジメント
2、火照り
「最低温度に設定した冷房のきいた部屋にいるのに汗を大量にかいてしまう」などの症状があれば、それは男性更年期障害による“火照り”の症状かもしれません。
番組に登場した男性更年期障害の体験者の話によると、「とつぜん微熱が出てそれが一週間も続き、大量の脂汗が出た」ことがあったそうです。
そもそも、どうして身体は火照るのでしょうか?
たとえばお酒を飲んで身体が温かくなるのは、アルコールで血管が拡張して血流が良くなり、体温が上昇するためと言われていますが、男性更年期障害では、脳の奥にある「視床下部」という体温調節を司る場所が男性ホルモンの減少によって誤作動を起こし、火照りを感じるようになるのだそうです。
うつや不安などの精神的な症状と一緒に火照りを感じるようなら、更年期障害を疑ったほうが良いそうです。
3,不安感
たとえば、「まだ使うかもしれないから…」などと考えて新聞を捨てられなくなったりしてしまうそうです。
人間が不安を感じるのは、頭のなかの「扁桃体」という場所に何らかの危険信号が入ると不安物質が出るようになっているからなのですが、男性ホルモンには不安物質を抑制する働きがあって、不安感も適度に保たれているのだそうです。
しかし、男性ホルモンの減少によって抑制が効かなくなると、不安が身体中を駆け巡ってしまうのです。
やっかいなことに、この状態を続けているとうつ病を発症しやすくなります。
辻村氏によれば「ストレスホルモンがたくさん分泌されるのでうつ症状になる。放置しておくと脳の神経細胞が傷つき、うつ症状が悪化していく」そうです。
様子が変わっていることに周りの人が気づいたら、早めに病院へ行くよう促しましょう。
うつ症状があるときは、まず男性更年期障害を疑うべき
更年期障害の検査は、血液中の男性ホルモンの量を調べる。その数値が低ければ更年期障害と判断できるのでその治療を行い、正常ならば、心療内科など他の科で診察を受ける。白黒が明白に出るので、順番としては更年期障害を先に診る方が理に適っている。
JBpressより
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男性更年期障害の治療法
検査をして男性更年期障害であることが確認されたら、泌尿器科などで男性ホルモンを注射するのが一般的な治療法です。
辻村氏によると、症状が強い人には漢方薬で治療することもあるそうですが、漢方薬はホルモンを上げるのではなく症状を抑えるために使われるそうです。
男性ホルモンを用いた治療について
テストステロン補充療法は、性活動の増加とうつ症状の若干の軽減に有用だという結果でした。歩行距離と、疲労の指標に効果はみられませんでした。
(中略)
テストステロン補充療法は注射、内服薬、外用薬という方法があり、米国ではよく行われていますし、日本でも治療が受けられます。
色々な研究がされていますが、使ってみようとするときには、未だ有用かどうかは言いにくいという点を考えに入れたほうがよさそうです。MEDLEYより
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男性更年期障害の予防につながる食べ物
主に、男性ホルモンの生成や分泌を促す物質が含まれている食品が紹介されていました。
・ビーフジャーキー
豊富に含まれる亜鉛が、男性ホルモンの生成に役立つと言われているそうです。
・牡蠣
牡蠣にも多くの亜鉛が含まれているそうです。
・スイカ
皮の近くの白い部分に多く含まれている「シトルリン」という物質に、男性ホルモンの分泌を促す効果が期待できるそうです。
・とろろ
とろろに含まれる「ムチン」という物質が、男性ホルモンの分泌を促すそうです。
・ジンギスカン
羊の肉には「カルニチン」が多く含まれているので、男性ホルモンの生成に役立つそうです。
・ナッツ
「アルギニン」という物質が、男性ホルモンの分泌を高めるそうです。
・スパイシードライカレー
にんにくと玉ねぎがいいそうです。たまねぎに含まれる「含硫アミノ酸」には男性ホルモンの生成を活発化させる働きがあり、肉のタンパク質も男性ホルモンの生成に必要な物質だそうです。
辻村氏によると「豚のしょうが焼きなどもいい」とのことでした。
肉、にんにく、玉ねぎについて
テストステロン値を高めるには、たんぱく質をしっかり摂ること。テストステロンを作る精巣(睾丸)は活性酸素による酸化に弱いので、タマネギやニンニクなど抗酸化作用の強い食品もお薦めだ。特にタマネギにはケルセチンという成分が含まれており、テストステロンの排出も抑えてくれる。「毎日2分の1個」を目標に、積極的に食べてほしい。
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まとめ
以上、男性更年期障害に関する情報をまとめてまいりました。
文中にもあったとおり、男性更年期障害は早期発見が大切です。
特に「3大症状」の項目は頭の片隅に置いておいて、身近な人のちょっとした変化にもすぐに気づけるようにしておきましょう。