認知症が奇跡的に回復した方法~たけしのみんなの家庭の医学より

先日の『たけしのみんなの家庭の医学』では、ある女性が治療方法の確立されていない重度の認知症から奇跡的に回復した方法を紹介していました。また、レビー小体型認知症の仕組みや認知症の予防に社交ダンス、ボードゲーム、楽器の演奏が効果的な理由なども説明していました。

 

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認知症の患者数と種類

認知症患者と認知症予備軍は全国に800万人以上いるそうです。認知症には、いくつもの種類があります。1番患者数が多いのはアルツハイマー型で認知症患者の50%を占めます。2番目に患者数が多いのが、今回の番組で詳しく紹介されていたレビー小体型で認知症患者の20%を占めます。3番目に患者が多いのは脳血管型とのことです。

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たけしのみんなの家庭の医学より

レビー小体型認知症の仕組み

レビー小体型認知症は、タンパク質の一種であるレビー小体が大脳皮質や脳幹の神経細胞に現れて脳の機能に障害を起こすそうです。

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たけしのみんなの家庭の医学より

症状には、物忘れ、日時や場所など周りの状況が分からなくなる認知障害、幻覚、幻聴、筋肉がこわばるために起こる運動障害などがあります。残念ながら、レビー小体が脳の中に発生する理由もレビー小体を減らす方法もまだ発見されていないとのことです。ですから、現状では薬を使って筋肉のこわばりを和らげるなど、それぞれの症状に対処する以外に治療法はないそうです。
番組では、2002年に70歳でレビー小体型認知症と診断されたMさん(女性)の認知症が進行していく過程とMさんの息子のHさんが、Mさんに薬以外の治療法を見つけるために長年試行錯誤を続けた様子が紹介されました。

 

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レビー小体型認知症の進行の過程

レビー小体型認知症の初期段階では、大きな物忘れや認知障害は数日に1度しか起こらず、それ以外のときは認知症発症前と変わらない生活を送ることができます。けれども、病気が進行するにつれて、症状が頻繁に現れるようになります。Mさんの場合は発症から数か月後にはぼっーとする時間が増え、反応への呼びかけも徐々に弱くなっていきました。認知障害が進むと周囲の状況が分からなくなり、徘徊をしてしまうこともあるとのことです。さらに、筋肉のこわばりがひどくなると自分で歩くことができなったり、トイレや食事も介護なしではできなくなったりします。そして、何にも興味を示さなくなり、表情もなくなり、ほぼ寝たきりの状態になってしまうそうです。Mさんも発症から3年弱で介護度5のほぼ寝たきりの状態になってしまいました。

介護度の認定について

要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。
~中略~
推計は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に要支援1~要介護5に判定されます。

厚生労働省HPより

 

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認知症で無反応の寝たきり状態から海外旅行を楽しめるまでに回復

HさんはMさんがほぼ寝たきりになっても、あきらめずにMさんを認知症から回復させるためににたくさんのことを試していました。そして2010年、長い間すべてのことに無反応だったMさん(当時78歳)が偶然ラジオから流れるタンゴに指でリズムを取っていることに気づきます。

20160915093518それを見たHさんは、Mさんが元気だったころに学生時代にボーイフレンドと社交ダンスをしていたという話を楽しそうにしていたのを思い出し、Mさんを近所の社交ダンス教室へ連れて行きました。
驚くべきことに、社交ダンス教室に通い始めてから2週間後には、それまでほぼ1日中ベッドにいたMさんが鏡を見て
「髪を染めたい」
と言い、1か月後には先生とステップを踏んで踊り笑顔を見せるまでに回復したそうです。そして、社交ダンスを始めてから2年後にはHさんと海外旅行をすることができました。

番組では、Mさんの認知症が社交ダンスで劇的に回復したことについての医学的な見解を、日本認知症学会理事の遠藤英俊先生(国立長寿医療研究センター内科総合診療部長)が説明していました。

 

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社交ダンス、ボードゲーム、楽器の演奏で認知症予防

アメリカで実施されたある研究によると、認知症のリスクを下げる余暇活動の1位は社交ダンス(76%減)、2位はボードゲーム(チェス、将棋、囲碁など)、3位は楽器の演奏とのことです。

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たけしのみんなの家庭の医学より

遠藤先生によると、これら3つ活動には認知症の予防になる共通のポイントがあるそうです。
それは、一緒に活動する人とコミュニケーションを取ったり、相手に合わせるために気を使ったりしなくてはいけないからだとのことです。例えば、将棋の場合は、相手の手を読まなくてはいけないことが脳に刺激を与えます。

社交ダンスが認知機能の維持、向上に特に効果的な理由

近年、社交ダンスが認知機能の維持や向上に役立つという研究結果が世界各地で発表されているそうです。その理由は、社交ダンスが認知機能の改善に効果的な有酸素運動と知的活動の組み合わせだからだと遠藤先生は説明していました。

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たけしのみんなの家庭の医学より

複雑なステップを覚えて間違えないようによく考えながら踊るということが、脳に良い刺激を与えるそうです。また、社交ダンスで男性と女性がペアになって踊るというのも、認知症の予防になる大きなポイントだとのことです。異性に心をときめかすことが、脳にとても良い刺激を与えると遠藤先生は話していました。

 

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社交ダンスだけで認知症が改善するわけではない

遠藤先生によると、社交ダンスさえすれば認知症が改善するわけではないそうです。Mさんの場合は昔ダンスが好きだったということが、認知症の改善に多大な影響を与えたとのことです。学生時代の楽しかった思い出が脳を刺激して、楽しく社交ダンスを続けられたことで認知症が劇的に回復したと遠藤先生は考えていました。
また、適切な治療を受けること、Hさんのさまざまな努力(日々のマッサージやストレッチ、家に引きこもらせないなど)もMさんの認知症が改善にとって必要不可欠な要素だったとのことです。

mametisiki遠藤先生は、認知症についてわかりやく説明した本を執筆しています。いつ周りの人が認知症を発症するかはわかりません。もしものときのために、しっかりと知識を持っておきたいですね。

よくわかる認知症Q&A ―知っておきたい最新医療とやさしい介護のコツ―
遠藤英俊

認知症・アルツハイマー病がよくわかる本―認知症と上手に付き合う (セレクトBOOKS ほっとくるブックス)
遠藤 英俊

 

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まとめ

認知症は薬で症状の進行を遅らせることができても、最終的には寝たきりになってしまい決して治らない病気だと思っていました。人生の最後まで、家族や周りの人達に介護してもらわなくても良いというのは理想的ですよね。番組で紹介されていた認知症のリスクを下げる3つのアクティビティーの中で、自分が一番楽しめそうなものを始めてみてはいかがでしょうか?


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