寝たきり予防、骨折・骨粗しょう症対策~チョイスより

骨折をしたことがありますか?
「まだ骨折をした経験がないから自分は大丈夫」と思っていても、転んでいつ折れるかわかりません。
特に、身体のある機能が下がるとより転びやすくなってしまうそうで、さらに骨がスカスカの状態だと、些細な転倒で骨折することもあります。
それがきっかけで寝たきりになってしまうことを避けるためにも、今回は骨を守るための情報を紹介していた『チョイス』をまとめておきたいと思います。

 

スポンサーリンク

 

ここの骨を折ったら大変

骨折すると寝たきりになりやすい部位はどこかご存知でしょうか?
番組によると、大腿骨(太ももの骨)の付け根あたりだそうです。
この骨は人体で最も大きい骨であり、高齢者の場合は治療に時間がかかってしまうため、そのまま寝たきりになりやすいそうです。
「1箇所の骨を折っただけで寝たきりになることもある」ということを念頭におきながら、骨折についてさらに詳しく見ていきましょう。

 

スポンサーリンク

 

ちょっとした衝撃で骨が折れる理由

番組に登場したIさん(女性)は、73歳の現在も広告デザイン会社の社長を務めています。
健康で、大きな病気をすることもなかったそうですが、布団の下に敷く高さ20センチほどのマットの上を歩いてその角を踏んだときに滑ってしまい、床に足をぶつけてしまったそうです。
その衝撃で「腰に折れた感覚があった」というIさんは携帯電話で娘さんに連絡し、娘さんが到着するまで2時間ほど寝たまま待っていたといいます。娘さんが到着し、慎重に支えながら起こしてもらうと、意外にも腰に痛みを感じなかったそうです。
Iさんは「自分でも不思議だった」そうですが、レントゲンを撮るとやはり背骨が折れていることがわかりました。
骨粗しょう症性の脊椎(せきつい)圧迫骨折だったそうです。

骨粗しょう症性の脊椎圧迫骨折とは

骨では、骨を壊す「破骨細胞」と、骨をつくる「骨芽細胞」の2種類の細胞が働いています。両者がバランスよく働くことでつねに新しい丈夫な骨に更新しているのですが、加齢などが原因で破骨細胞が多く働いてしまうと、壊す量がつくる量を上回ってしまい、骨粗しょう症になってしまいます。
すると骨が体重を支えきれなくなり、尻もちなどの些細な衝撃でも骨が潰れることがあります。これは圧迫骨折と呼ばれるそうです。
手足の骨折よりも自覚症状を感じにくいのが特徴で、知らずに放置しておくと圧壊が進み、骨が変形してしまうそうです。

骨粗しょう症について

骨粗鬆症財団理事の細井孝之氏によると、骨粗しょう症に罹っている人は1300万人もいると言われているそうです。男女比では女性が圧倒的に多く、60代では2人に1人が、70代では7割の人が骨粗しょう症になってしまうそうです。

骨粗しょう症には、更年期が大きく関わっています。

女性ホルモンが骨芽細胞と破骨細胞のバランスを調節しているので、更年期でホルモンの量が減ってしまうと、骨粗しょう症になりやすくなるのです。

検査法

検査はDXA(デキサ)法という方法で行います。
24個の骨が連なって構成されている背骨の下から4つの骨と、骨盤についている大腿骨の付け根のあたりの骨密度を計測します。(前者は折れやすい場所で、後者は折れたら大変な場所なので調べることになっているそうです。)

20160925074817

チョイスより

ヨコ軸は年齢で、タテ軸は自分の骨密度が若い人の骨密度と比べてどのくらいの割合かを示したグラフです。
赤いゾーンだと骨粗しょう症ということになります。

検査をせずに知る方法としては、身長の低下を気にすると良いそうです。
身長が一番高かったときに比べて2〜3センチ低くなっていると、骨粗しょう症になっている可能性があります。知らないうちに圧迫骨折している可能性があるためです。

また、壁を使う方法も紹介されていました。

20160925075126

チョイスより

壁に、かかと・背中・後頭部を着けて真っ直ぐ立ちます。
このときに後頭部が壁につかないと、骨粗しょう症になっている可能性があるそうです。

骨粗しょう症になっていても、3人に1人は自覚症状がないそうです。
しかも骨粗しょう症による骨折には、“骨折の悪循環”というものもあるそうです。骨に変形が生じると、その周りの骨に余計な力がかかって変形してしまいます。そのまま放置して背骨全体が曲がってしまうと、重心が前の方に行ってしまい、歩幅が狭く小刻みになってしまいます。すると、脚が出にくく、膝や腰の関節が動きにくくなって、転倒のリスクが高まってしまうのです。
ですから、50歳代以降に骨折経験があったり、家族に骨粗しょう症の人がいたりする場合は、何も症状がなくても整形外科や内科、産婦人科などを受診するようにしましょう。

 

スポンサーリンク

 

骨折を手術で治す

骨粗しょう症性の圧迫骨折になったIさんは、全治3ヶ月と診断されました。コルセットを巻いて安静にし、骨が固まるのを待つと、3ヶ月も仕事を休まなければなりません。
そこで、社長であるIさんはすぐに仕事に復帰するために「手術」という選択肢をとりました。Iさんは手術の利点について「3日で退院できることと、痛くないこと」と話していました。
Iさんが受けたのはBKP(バルーン・カイフォ・プラスティ)という手術でした。通称バルーン手術と呼ばれるもので、2011年から保険適用された手術です。
手術には、先端が風船のように膨らむ器具を用いるのですが、まず、つぶれた骨に5ミリ程度の穴をあけるところから始まります。

20160925075411

チョイスより

この穴からつぶれた骨にカテーテルを差し込み、つぶれた骨が元の形になるように、バルーンの圧力で内側から広げていきます。

20160925075503

チョイスより

バルーンを抜くと、広げた場所に空洞ができますから、そこに「骨セメント」という人工の骨を流し込み、固まったら手術終了です。
所要時間は30分ほどで、体の負担も少ないそうです。

20160925075602

チョイスより

手術の前後を見比べると、セメントが入って、骨が元の形になっていることがわかります。
Iさんはデスクワークなので、退院当日に仕事を再開できたそうです。

劇的な効果をもたらす手術ですが、以下のように受けることができない人もいます。

20160925075719

チョイスより

また、この手術は認定された医療機関でしか受けられないので、受けたい場合は医師と相談して、紹介してもらうなどしてもらいましょう。

 

スポンサーリンク

 

骨を強くする

Sさん(79歳美容師)は、3年前に骨粗しょう症と診断されましたが、診断後も骨折することなく、仕事を続けています。
Sさんは骨粗しょう症であることがわかってから、半年に1回の皮下注射を行って“骨を強くしている”のです。
「デノスマブ」という薬剤を用いるこの治療法は2013年から使用可能になりました。
デノスマブは破骨細胞の活動を抑え、骨密度を上げる薬です。
1本9000円かかりますが、およそ半年間効果が持続します。

注意点としては、破骨細胞には骨を壊して得たカルシウムを血液に送り込む役割もあるのですが、この薬を注射するとその活動を抑えてしまうため、血中のカルシウムが減ってしまう点が挙げられていました。
血中のカルシウムが不足すると、しびれなどを発症する「低カルシウム血症」という病気になることがあるそうです。
なので、この治療を受ける際は食事と運動に気をつける必要があります。
小松菜を週に3回、4分の1束食べたり、乳製品を摂っていつもよりカルシウムを摂るようにしたりする必要があるそうです。
Sさんも食生活を見直し、小松菜や小魚に加えて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富なシイタケなどを食べるようにしているそうで、さらに踏み台昇降を1日100回行っているそうです。(運動は骨そのものを強くする目的で行うのですが、人によっては他の健康状態に影響を及ぼす場合があるので、主治医と相談しながら進めるようにしてください。)
Sさんは、以上のような努力と注射を継続した結果、3年間で腰椎の骨密度が6%、大腿骨の骨密度が3%アップしたそうです。

その他の治療薬

20160925075934

チョイスより

上の3つは破骨細胞のはたらきを抑えるタイプの薬です。
「ビスホスホネート」は中〜重度の患者に用いられます。飲み薬や注射、点滴などがあるので、その人の生活にあったものを選べます。副作用は少ないですが、まれに顎の骨が溶ける「顎骨壊死」になることもあるそうです。

「SERM(サーム)」は女性ホルモンに似た働きをするので、閉経後の患者に効果的な薬です。ただし、静脈に血栓ができる場合があるので、寝たきりの場合には使用できないそうです。

「副甲状腺ホルモン薬」は骨芽細胞を活性化させる薬です。甲状腺の裏側にある副甲状腺から出てくるホルモンは、カルシウムの調節だけでなく骨を作る力を刺激するそうです。短期間で骨密度を向上するので重傷者向きの薬だそうです。ただし自己注射は2年間、病院では18ヶ月までと決まっていて、費用も1月あたり15000円ほどかかってしまいます。

どの薬を選ぶかは、「骨代謝マーカー」という血液・尿検査の結果を見て決めるそうです。この検査で破骨細胞と骨芽細胞の状態を調べて両者のバランスを把握し、最適の治療法を選ぶことになるそうです。

骨を強くするために必要な栄養素

20160925080206

チョイスより

日光は、手のひらに15〜30分程度当てるだけで十分な効果があるそうです。日焼けするほど浴びる必要はありません。
ビタミンKは骨のしなやかさを保つ効果をもっています。骨の中のタンパク質を変化させていい形に変えてくれたりするそうです。

 

スポンサーリンク

 

骨を守る

以上のようにさまざまな治療法が確立されていますが、ケガをしないことが一番です。
今回のまとめの最後に、骨を守る方法を見ていきましょう。

転びにくくなる方法

北海道科学大学教授の田中敏明氏によると、転倒のリスクを上げる要因には「筋力の低下」だけでなく「足裏の感覚の低下」もあるそうです。足の指の筋力をしっかりと使うためにも、足裏の感覚は重要なのです。
足裏の感覚が鋭敏であるかどうかは、「2点式別検査」で確かめることができます。

20160925080444

チョイスより

目を塞いで、足の裏に当てられたピンの数を答える検査です。
「そんなの簡単にわかるのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、高齢の方だとだいたい6割ほどの方しか正解できなかったそうです。

さらに、田中氏の研究から、高齢になると体のバランスをうまく保てなくなることもわかりました。
身体を傾けたときのバランス能力を機械で測定すると…

20160925080625

チョイスより

前後左右に移動したときの重心が乱れていることがわかります。
田中氏によると、この状態のままでは「不安定な状況を把握できず、転んでしまう危険がある」そうです。

これらの能力を高め転倒のリスクを下げる方法として田中氏が紹介していたのが「転倒トレーニング」です。
足裏の感覚を研ぎ澄ますためには、まず目をつむってから、家族などに足の下に何かモノを置いてもらって、それがどんなものかを頭の中でイメージするというトレーニングが有効だそうです。

20160925080810

チョイスより

置くモノは、目をつむる本人に知らせないことが重要です。

また、バランス能力を高めるには「クロストレーニング」が有効だそうです。
これは、転倒しても大丈夫なように壁の近くで行いましょう。
座布団などの、立つと少しだけ不安定になるものの上に立って、壁の方に身体を傾けます。
身体を傾けて3〜5秒ほど姿勢を維持することを繰り返すと、バランス機能が上がっていくそうです。
前後左右それぞれ行うと良く、行っている最中は足の裏を意識するといいそうです。
週に2,3回、前後左右に5〜10回行うと、1〜3ヶ月で効果が出てくるそうです。

最後に、「足の指の筋トレ」も大事だそうです。
椅子に座った状態で裸足になり、片足の指でタオルをつまんで持ち上げます。
バランスを崩したときのとっさの一歩に効果があるといいます。
これらを行った結果…

20160925080934

チョイスより

この図は重心を保てているかどうかを表しています。
赤がトレーニング後なので、バランス感覚が上がっていることがわかります。

 

スポンサーリンク

 

まとめ

自覚症状がないと、「自分は大丈夫だろう」と考えてしまいがちです。
しかし、いつの間にか骨粗しょう症になっていてケガをしてしまったら、そのケガが寝たきりに直結してしまう怖さがあると、今回の特集からよくわかりました。
「60代では2人に1人、70代では7割の人」が骨粗しょう症であるという現実を受け止め、今回ご紹介した予防法を実践し、病院で検査を受けるようにしましょう。


スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。