男性の尿漏れの原因と対策～きょうの健康より

先日の『きょうの健康』は、男性の尿漏れの原因、対策、治療がテーマでした。男性の排尿障害の診断や治療を専門としている小島祥敬先生（福島県立医科大学教授、泌尿器科）が男性の尿漏れの主な原因である「過活動膀胱（かかつどうぼうこう）」と「前立腺肥大症」について説明していました。

男性の尿漏れの原因

男性の尿漏れの主な原因は、「過活動膀胱」と「前立腺肥大症」だそうです。過活動膀胱だけが原因の場合もありますが、多くの場合は、前立腺肥大症が原因で過活動膀胱になるとのことです。前立腺肥大症は、加齢が原因で50代以上の男性に多くみられます。近年特に、男性の尿漏れが注目されるようになったのは、高齢化が原因だと考えられています。

きょうの健康より

過活動ぼうこう

膀胱が正常に働いていると、一定量以上の尿が溜まれば尿意を感じます。けれども、膀胱の機能が弱くなると、脳の指令に関係なく収縮して排尿してしまいます。これが、過活動膀胱とのことです。男性の過活動膀胱の50％から75％は、前立腺肥大症が原因だそうです。

前立腺肥大症

男性の尿道は、前立腺に挟まれています。ですから、前立腺が肥大すると、尿道が前立腺に圧迫されて狭くなり、尿が出にくくなります。また、前立腺の上にある膀胱も、肥大した前立腺に圧迫されてしまいます。

きょうの健康より

前立腺に圧迫された膀胱は、無理に尿を押し出そうとして神経や筋肉がダメージを受けてしまうそうです。すると、膀胱が正常に働かなくなり、「切迫性尿失禁」が起こるというわけです。
また、肥大した前立腺に押しつぶされて尿道が詰まってしまうと、膀胱に尿が溜まり続けます。そして、尿で膀胱がいっぱいになり、それ以上の尿を溜めれなくなると尿が少しずつ漏れる「いつ流性尿失禁」が起こります。

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自分でできる男性の尿漏れ危険度チェック

番組では、自分で尿漏れの状態を診断できる「尿漏れ危険度チェック」が紹介されました。尿漏れが気になる方は、ぜひ、チェックしてくださいね。

排尿前

・過活動ぼうこうの症状である尿意切迫感がある。
・トイレに行く回数が多く、1回の尿の量が少ない頻尿である（正常な場合は、1日4回から7回、1回に200mlから400mlの尿が出る）。

排尿中

・通常、排尿は20秒から30秒で終わるが、勢いがないため1分から2分かかってしまう。

排尿後

・残尿感がある。

きょうの健康より

男性の尿漏れは、良性の疾患だそうです。ですから、本人が気にならなければ、治療をしなくても良いとのことです。けれども、脳血管障害やパーキンソン病が原因の尿漏れもあります。中等度以上の尿漏れに悩んでいる場合は、医療機関を受診することを小島先生は勧めていました。

男性の尿漏れの治療法

男性の尿漏れの治療には、「薬物療法」と「行動療法」があるそうです。前立腺肥大症が原因の場合と過活動膀胱が原因の場合では治療方法が違います。また、前立腺肥大症と過活動膀胱が併発している場合は、まず、前立腺肥大症の治療をするとのことです。

薬物療法

前立腺肥大症の治療には、前立腺の筋肉を緩めて尿道を広げる働きのある「α１遮断薬」と「ＰＤＥ５阻害薬」、前立腺を縮小させる「５α還元酵素阻害薬」があります。

きょうの健康より

過活動膀胱の治療には、膀胱が縮んでしまうのを抑える「抗コリン薬」、収縮した膀胱の筋肉を緩める「β３作動薬」があります。

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行動療法

男性の尿漏れを改善するには、日常生活を見直す「行動療法」も取り入れられるそうです。
前立腺肥大症は、血行が悪くなると悪化します。ですから、長時間座り続けないこと、下半身を冷やさないようにすることが大切だそうです。
また、辛い食べ物などは、前立腺をむくませるので控えてください。さらに、アルコールや風邪薬の成分は、膀胱の機能を低下させるので注意が必要だと小島先生は説明していました。
過活動膀胱の改善には、排尿を我慢して膀胱が収縮する回数を減らす「膀胱訓練」があります。また、水分を過剰に取らないことや利尿作用のあるカフェイン・アルコールを控えることが、頻尿や尿意切迫感の改善につながるとのことです。