瞑想~呼吸法でストレス&認知症予防~ガッテン!より

いま、「瞑想」に注目が集まっています。
脳に秘められた力を引き出したり、ストレスや不安を取り除いたりすることができるといい、日本を代表するIT企業などでも取り入れられているそうです。

瞑想は4000年前のインダス文明で既に行われていた「人類最古の健康法」とも言われていて、現代の医療科学においても、認知症やうつ病などの病気を防ぐ効果が確認されているといいます。
その治療内容や1日3分ほどでも効果が出るという性質から、まさに現代社会を生きる私たちにはピッタリな健康法と言えるでしょう。
そこで今回は、「瞑想」について科学的な観点から解説し、実践法を紹介していた『ガッテン!』をまとめておきたいと思います。

 

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秘伝の瞑想法

仏教の開祖であるブッダは2500年前のインドで瞑想の方法を広めました。標高約3000メートルに位置するラダックという地域では、その方法が今でも大切に受け継がれており、一般の人向けの瞑想教室も開かれているといいます。現地の僧は「瞑想は本来、宗教や思想とは関係ない。ブッダの考えた心の科学だ」と話していました。

そんなラダックに伝わる瞑想を実践する際のポイントを、現地の高僧が解説してくれていました。

まずはあぐらをかいた状態で頭を前に傾け、目をしっかりと閉じます。
舌は上顎につけた状態にしておき、手は手のひらを重ねて親指同士をくっつけます。
瞑想を行う際の意識については、僧によると「いちばん大切なのは呼吸。呼吸のことだけを考えるようにする」という意識で行うそうです。ブッダも「意識して息を吸い、意識して吐く。こうすれば、大きな効果がもたらされる」という言葉を残しているそうです。

この瞑想をしっかりと実践すれば、誰でもある“変化”を感じられるといいます。

 

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瞑想すると起きる身体の変化

番組では、70代の男女6名に瞑想を実行してもらい、その効果を見る実験を行っていました。「もの忘れが気になる」という皆さんに以下のテストを受けていただき、瞑想の前後でその変化を見るというものです。

・記憶力テスト
ボタンが光った順番を覚えるテストです。

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ガッテン!より

・注意力テスト
順番通りに数字を繋いでいくテストです。

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ガッテン!より

・計画力テスト
一筆書きで迷路をクリアできるかどうかをみるテストです。

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ガッテン!より

以上3つを600点満点で評価します。

このテストを受けてから、1日10分の瞑想を10日間実践したあとに、もう一度テストを行います。
瞑想を実践した経験のない皆さんにラダック直伝の瞑想法を行ってもらうと、瞑想を行った時間は10分だったのですが、皆さんの実感としては3分や5分ほどしか経っていないように感じたそうです。
その瞑想を10日間毎日実践したあとに、6名に再び同じテストを受けてもらうと、6人中5人の成績が劇的に上昇していました。

瞑想がもたらすこの劇的な効果について、科学の世界で少しずつ解き明かされつつあるといいます。
ハーバード大学の実験によると、1日20分の瞑想を8週間継続して行うと、脳にある「海馬」という記憶の中枢器官に変化が生じることがわかったそうです。

科学者も認めた”2カ月で学習・記憶能力が上がる”瞑想法とは?

なにもしない場合と瞑想した場合とを比べると、海馬の体積が5%も大きくなったというのです。

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ガッテン!より

また、小脳や脳幹などの神経細胞も増えたそうです。

海馬について、少し詳しく見ていきましょう。
まず、脳の中でいちばん大事な働きをしているのは「前頭前野」という部分です。思考や判断を担っている、脳の中でもっとも発達した部位です。
その前頭前野がいちばん頼りにしているのが海馬なのだそうです。
海馬は記憶の“本棚”を持っています。前頭前野はそこから今日の予定など記憶しておいたものを呼び出して、思考に用いているのです。

前頭前野など脳の各部と連携して記憶をひきだしている海馬は、絶えずストレスに晒されることになりますから、時間をかけて少しずつ痩せていってしまうそうです。
健常な人と、ストレスでうつ病になった人の海馬を比べてみると…

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ガッテン!より

海馬(白い部分)が小さくなってしまっているのがわかります。

この海馬の縮小を、瞑想によって抑止し、さらには大きくすることができるというわけです。

 

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呼吸に意識を向けることで起こる変化

なぜ瞑想をすると海馬が大きくなるのでしょうか。
番組では、脳と情報処理に詳しい東海大学の高雄元晴教授とともに、瞑想をしているときに脳で起こっていることを調べる実験をしていました。高雄氏は「過去の研究ではヨガや禅の瞑想のときに特殊な脳の働きが生じていると報告されているが、今回の実験ではどんな結果を示すか楽しみ」と語っていました。

今回の被験者は、ヨガ教室を開く成瀬雅春氏(70歳)です。毎年ヒマラヤに赴いて修行を続けているという、ヨガの達人です。
瞑想について成瀬氏は、「瞑想をするとボーッとするものだと思われがちだが、深くなるととてもクリアに、頭がはっきりする」と話していました。
そんな成瀬氏が瞑想に入ったときの脳波を測ってみると、頭の前の方からθ波(シータ波)がたくさん出てくることが確認されました。

θ波は「脳波」の一つです。
「脳波」とは脳細胞が活動するときに出る電気信号をとらえたもので、リラックスしているときに出るのがα波、活動的なときに出るのがβ波、そして浅い睡眠を取っているときにでるのが、このθ波です。θ波には特に夢を見ているときに多く出るという特徴があるそうです。

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どうして瞑想の達人の脳内では、寝ていない状態にも関わらずθ波が出てきたのでしょうか?
私たちが寝ているときは、前頭前野も寝ています。すると、海馬は1日の情報を整理する作業に入ります。(海馬のこの作業が、私たちに「夢」を見させているという説もあるそうです。)
海馬がこの作業をしているときに海馬周辺から出ているのがθ波なのですが、自分の呼吸に意識を集中して瞑想をしていると、起きながらにして前頭前野が命令を出さない状態になります。
すると、寝ているときのように海馬にかかるストレスが低減し、その周辺からθ波が出るようになるのです。

瞑想を活かす現場

アメリカやオーストラリアでは、自閉症を治療するために、脳波を利用した特別なトレーニングを取り入れることが一般的に行われているそうです。
ひとつのことになかなか集中できず字を書くこともままならなかった自閉症の少年がそのトレーニングを実践したところ、字を書くことが出来るようになり、人と話すことも少しずつ出来るようになったといいます。
他にも不安神経症や様々なタイプの頭痛、脳のケガ、慢性的な痛みを抱えた患者など、脳に原因がある病気の患者がこのトレーニングを受けていて、効果が確認されているそうです。
日本でも研究は進められており、瞑想などで脳をトレーニングすることで高齢者の認知力を改善しようという試みでは、1週間で認知機能が大きく向上したという結果が出たそうです。

このように、瞑想は医学的に効果が確認されています。
次はその具体的な実践方法を見ていきましょう。

 

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瞑想の実践方法

瞑想の方法や効果に詳しい精神科医の貝谷久宣氏が登場し、瞑想を効果的に行う方法を解説していました。
貝谷氏はうつや不安など心の病の患者の治療に瞑想を取り入れて成果を上げているそうです。

貝谷氏が紹介していた瞑想はアメリカで「マインドフルネス」として体系化された瞑想です。「マインドフルネス」は日本語で「気づき」を意味する言葉で、欧米では認知療法として医療の現場で広く実践されているそうです。
貝谷氏によると、「人間は1日に18万7000項目のことを考えているといわれているが、そのほとんどは過去の後悔や将来の不安が大部分」なのだそうです。考えていない時間がほとんどないから、脳が疲れ果ててしまうわけですね。
その状態から一時的に脱する方法としてアメリカでマニュアル化された方法がマインドフルネスなのです。

マインドフルネスは椅子に座った状態で行います。
いちばん大事なのは姿勢で、背筋をまっすぐ伸ばすことが重要です。
そして、足の裏をしっかり床につけるようにします。
目はつむるか、あけるなら半眼・薄目にしておきましょう。
口は閉じて、舌は上顎につけておきます。手はダラッとしてもいいですし、軽く膝の上に置くだけでも大丈夫です。
感覚としては「背筋は伸ばしているが、それ以外の筋肉は脱力している」という感じにして、顎を引いたら姿勢は完成です。
それから鼻だけで静かに呼吸をするようにして、瞑想に入っていきます。

瞑想中は、雑念が浮かんで来ても気にしなくていいそうです。浮かんできたことをありのまま受け止めて、もう一度呼吸に意識を戻すようにします。
また、寝てしまっても失敗ではないそうです。

「食べる瞑想」

食べながら行う瞑想もあるそうです。おにぎりひとつに30分の時間をかけて食べながら、瞑想を行っていくそうです。
まず、おにぎりをじっと見つめます。その色をよく見て、匂いをかいで、それがどういうものであるか感じてから口に入れ、一口ずつ味わって食べるようにします。
そして、胃に落ち着く感じまでしっかりと感じるようにするそうです。

 

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高齢者福祉でも瞑想

神奈川県の老人ホームで暮らしているAさん(93歳)は、自分がいつ認知症になるかとても心配だそうです。そこで瞑想を実施したところ、たった4日で認知力テストの結果が1割もアップしたそうです。
毎日瞑想を実施するようにして1ヶ月も経つと、Aさんは「周りから明るくなったと言われた。スッキリした感じになるので、いつも瞑想している。」と話していました。

瞑想に似た効果を得られる行動

瞑想の効果を得る方法は他にもたくさんあるそうです。
それらに共通するもっとも大事なことは「ひとつのことに意識を向けること」です。
たとえばダーツをしているときの脳波を調べると、θ波が出ていることがわかっているそうです。
高雄氏がオススメしていたのは模型作りでした。「プラモデルなどを作っていると脳に影響を与えているのではないかという仮説を立てて研究を始めた」そうで、実際に調べてみるとθ波がたくさん出ていたそうです。

瞑想に似た方法も、海外で古くから行われていたそうです。
豊かな自然の中などの“気持ちの良い場所”に居ることをイメージしてから、家族や友人などの愛する人たち、あるいは他人、そしてできれば嫌いな人まで幸せになる姿をイメージすると、瞑想に似た効果を得られるそうです。

 

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まとめ

今回は瞑想の驚くべき効果について見てまいりました。
その原理が解明されるにつれて、生活の中に瞑想の効果を容易に取り入れることができるようになってきているようです。
1日10分と聞くと長く感じてしまいますが、体験した方は皆一様に「短く感じた」と話していましたから、生活の習慣として多くの人に取り入れていただきたいと思います。


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