肺活~歯磨き、早口言葉で肺炎やCOPDを予防する~健康カプセルゲンキの時間より

日本人の死因の上位を占める肺の病気。けれども、肺の病気の予防法は、一般的にはあまり知られていないかもしれません。
先日の『ゲンキの時間』は、肺の病気を特集していました。番組では、日本人の死因の上位である肺炎とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因や予防のための肺活などを紹介していました。

 

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肺炎の原因

肺炎は、悪性新生物(がん)、心疾患に次いで、日本人の死因の第3位。1年間に12万人もの人が肺炎で亡くなっています。

健康カプセルゲンキの時間より

多くの人は、風邪が悪化すると肺炎になると思っているかもしれません。けれども、実は風邪のウイルスが、肺炎を引き起こすことはないのです。
医学博士の二木芳人先生(昭和大学病院感染症内科、教授)によると、肺炎の原因は口の中の微生物(細菌)だそうです。どんな人の口の中にも、細菌は住んでいます。

健康カプセルゲンキの時間より

外から口の中に入ってくる細菌も、肺炎の原因となることがあります。健康な人の場合は、免疫細胞が肺に細菌が入らないように戦っくれています。

健康カプセルゲンキの時間より

けれども、加齢や病気などが原因で免疫が弱まっている場合は、細菌が肺に侵入して一気に繁殖し、肺炎を引き起こしてしまうそうです。
肺炎を引き起こす細菌は、30種類以上あります。とくに恐ろしいのが「肺炎球菌」。高齢者の場合、数日前までは元気でも、数日間で命が危険な状態になることもあると二木先生が説明していました。

 

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肺炎を予防するための4つの肺活

肺活は、肺機能を高める活動のことです。番組では、二木先生と菊谷武先生(日本歯科大学大学院生命歯科学研究科、教授)が肺炎を予防するための4つの肺活を紹介していました。

1.口の中をきれいにする
肺炎を予防するためには、口の中をきれいにすることが大切。菊谷先生によると、とくに夜の歯みがきが重要だそうです。
番組では、1組の夫婦が歯を磨いて寝たときと、磨かないで寝たときの翌朝の口の中の細菌の数を調べました。ご主人は、歯を磨かずに寝たときのほうが磨いたときに比べて細菌の数が15倍も増えていました。奥さんも歯を磨かなかったときのほうが、細菌の数が5倍多かったです。

健康カプセルゲンキの時間より

朝、目覚めたときの口の中は、日中に比べて細菌の数が多いそうです。日中はだ液が出たり、話をしたりしているうちに口の中がきれいになります。けれども、寝ている間はそれらのことができないので、細菌がどんどん増えると菊谷先生が説明していました。どんなに疲れていても、寝る前の歯みがきはしっかりしないとダメですね。

2.舌圧(ぜつあつ)を鍛える
舌圧(ぜつあつ)は、舌を上あごに押し上げる力のことをいいます。舌圧が弱くなることが、誤嚥(ごえん)性肺炎につながるそうです。
誤嚥性肺炎は、食べ物やだ液と一緒に細菌が気管に入って引き起こされる肺炎です。通常、細菌が気管に入ることはありません。けれども、舌圧が弱くなると、物を飲み込むときに閉まるはずの喉頭蓋(こうとうがい)の動きが鈍くなってしまい、食べ物やだ液が気管に入ってしまうとのことです。

健康カプセルゲンキの時間より

舌圧は、加齢や舌を使わないこと(やわらかいものばかり食べるなど)によって低下します。菊谷先生によると、早口言葉を毎日(1日3分)続けると舌圧を効果的に鍛えることができるそうです。
番組では、レベル別に3つの早口言葉が紹介されていました。

レベル1:にゃんこ 子にゃんこ 孫にゃんこ ひ孫にゃんこ
レベル2:詳細を調査中、注射を調査中
神レベル:魔術師 派出所にて手術中

神レベルの早口言葉がスラスラ言えるようになるころには、舌圧も強くなっていそうですね。

3.食事のときの姿勢に気をつける
二木先生によると、誤嚥性肺炎を防ぐためには食事のときの姿勢も大切だそうです。ポイントは、あごの位置。椅子に座ってあごを引き、やや前かがみで食事をするのが正しい姿勢とのことです。あごを上げて食べると、食べ物が気管に入りやすくなってしまいます。

健康カプセルゲンキの時間より

4.ワクチン接種を受ける
重度の肺炎を引き起こす肺炎球菌。一度、ワクチン接種を受けると5年から6年は効果が持続するそうです。

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2014年(平成26年)10月1日から高齢者(65歳以上)を対象に肺炎球菌のワクチンは定期接種になっています。詳しくは、厚生労働省のホームページで確認してください。
肺炎球菌感染症

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、慢性気管支炎と肺気腫の総称で、肺炎と同じように重症化すると死にいたることもあります。慢性気管支炎は気管支の炎症が原因で、咳や痰が長引く病気です。そして、肺気腫になると、気管支の先にある組織が壊れて、空気を押し出す力が弱くなってしまいます。

健康カプセルゲンキの時間より

例えば、駅の階段をかけ上がった後で、1分から2分過ぎても息が整わない場合は、COPDの可能性があるので、早めに呼吸器科を受診するべきとのことです。

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COPDは英語のChronic Obstructive Pulmonary Disease の頭文字です。

奥仲哲弥先生(山王病院呼吸器センター長)によると、COPDの原因は大気汚染とタバコだそうです。Oさん(62歳男性)は、20年ほど前にCOPDを発症しました。その当時はタバコを、1日30本吸っていました。

COPDは日本人の死因の第10位(男性では第8位)ですが、あまり広くは知られていないようです。COPDは重症化すると、ご飯を食べるのも会話もするのも困難になります。そして、重症化してから5年間ほどで衰弱死することが多いと奥仲先生が説明していました。。肺は修復不可能な臓器なので、悪化することはあっても壊れた部分が修復されることはありません。ですから、禁煙するなど、肺にダメージを与えないようにすることが大切です。

 

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COPDを予防する2つの肺活

番組では、奥仲先生おススメのCOPDを予防する肺活を2つ紹介していました。

●口すぼめ呼吸で気管支を広げる
COPDは肺が膨らんで気管支がつぶれた状態になるので、息が吐きにくくなるそうです。気管支を広げるために、口をすぼめて呼吸をして気管支に圧力をかけます。

【口すぼめ呼吸のやり方】
1.軽く閉じた口の間から、肺の中の空気を出し切るように息を吐きます。
2.鼻から息を吸い、3秒数えて息を吐きます。
※1日2分から3分間、気がついたときにするとよいそうです。

●肩甲骨上下運動で息を吐きやすくする
奥仲先生によると、肩甲骨周辺をほぐすと横隔膜周辺がリラックスして、息が吐きやすくなるそうです。

【肩甲骨上下運動のやり方】
1.肩甲骨を上げることを意識して、息を吸いながら両肩を上げます。
2.息を吸いきったら、両肩を一気に下げ、同時に息を吐きだします。
3回1セットで、朝昼夜に1回ずつするとよいそうです。
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奥仲先生は、「肺活」についてまとめた本を執筆しています。

長生きしたけりゃ「肺活」しなさい
奥仲 哲弥

まとめ

肺の病気は、放っておくと知らず知らずのうちに悪化して死にいたることも…。激しい運動のあとに呼吸が乱れた状態が続く場合は、早めに医療機関を受診するのが賢明です。
肺は修復することができない臓器です。COPDを発症した場合、進行を遅らせることはできても、治すことはできません。ですから、番組で紹介されていた肺活で肺機能を高めて、肺炎やCOPDから身を守るようにしましょう。


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