ここ数年、冬の風物詩のように言われるようになったのがインフルエンザ。従来のタイプに加えて、高病原性とよばれる怖いタイプのものまで、いろいろなインフルエンザが取り上げられています。
番組は街角インタビューで平熱を聞いていくところから始まりました。インタビューに答えた人の平均体温は35.9度。たまたまかもしれませんが意外に低いですね。しかし、体温は病気の発生と関係があるといわれているのでできれば改善していきたいもの。特に低体温は免疫力を下げて病気になりやすくなると言われています。番組ではイシハラクリニックの石原結實院長が体温を上げ免疫力をアップさせる方法についていろいろと解説されていました。
この石原結實院長、いろいろな書籍を出されていてその筋では有名な方です。
石原院長によると、『体温が1度下がると免疫力は30%も落ちる』のだそうです。平熱が低い人ほど病気にかかりやすいわけです。
免疫力=白血球の数
番組では、免疫力を測定するとして、モニターの血液中の白血球の数を調べていました。白血球の数は免疫力の力と言っても良いそうです。
白血球には顆粒球、リンパ球、単球という3つの物質があり、細菌やウイルスの殺菌、免疫物質の生成といった役割を担っています。特にリンパ球の割合が重要で、白血球全体の3割~5割がベストなのだそうです。このリンパ球が多いとインフルエンザなどのウイルスに負けにくくなります。
古谷さん(59歳女性)
・風邪をひくことは少ない
・体温は36.3度
・リンパ球の割合⇒50.4%
小菅さん(57歳女性)
・風邪をひきやすい
・昔から寒暖差の鼻炎になっている
・体温35.4度
・リンパ球の割合⇒32.9%
この結果から見ても、リンパ球が多い方が風邪にかかりにくいという見方が成り立ちます。
36.5~37度
免疫力が最も旺盛になる
36度
震えることで体の熱を増加させようとする
35.5度
排泄機能が低下
自律神経失調症が出現
アレルギー症状が出現
35度
がん細胞が最も増殖する
石原院長によると、50年前の日本人の脇の下の平均体温は36.9度だったと言われているそうです。番組内で紹介されている人たちの平均体温は35.9度でしたから、これを基準に考えれば随分と下がっていることがわかります。中には34度台が平熱という人も結構いるそうで、アレルギーに悩む人が多いのも、この辺のことが原因ではないかということです。
確かに、体温を下げると言われている白砂糖などの摂取量は50年前とは雲泥の差ではないでしょうか?
また、体温が1度上がると免疫力はなんと一時的に5倍~6倍にあがるそうです。熱が出たときに発熱するのがまさにこの状態といえるのではないでしょうか?ウイルスを撃退するために、体温は1度どころか2度、3度上がったりもするわけです。がん細胞も体温が39.6度以上になると死滅すると言われているそうです。39.6度以上ということになると、体力が低下しているときにはちょっと負担が大きすぎるかもしれませんが、そのくらい、体温と健康は密接につながっているということです。
この体温、運動することで一時的に上げてやることも健康には有益とのことです。やはり適切に運動して汗をかくということは健康を維持するうえで非常に大切なことということです。
低体温を克服して免疫力を上げる方法
体力をつけるためにはたくさん食べれば良いと思いがちですが、それは大きな間違いなのだそうです。それどころか、食べ過ぎは逆に免疫力を下げてしまうのだとか。食事後に疲労感や眠気に襲われるのは、食べ物の消化のために血液が胃や腸に集中し、脳や心臓、筋肉への血流が減り、体温が低下することが原因です。
たくさん食べると消化に時間がかかりますし、間食が多くても消化ばかりしていることになり、体温は下がりっぱなしになってしまいます。さらに、免疫力の要である白血球は、満腹時には活動が低下し、空腹時には活動が倍増すると言われています。つまり、空腹状態を作り出す断食が免疫力アップには効果的ということになります。
プチ断食で免疫力を上げる
断食と効くと悲壮感にも似たイメージが湧いてきますが、プチ断食の趣旨は胃腸の働きを軽くしてあげることにあります。
朝食編
朝食は1杯のホットの紅茶だけにします。紅茶に含まれるポリフェノールが、ウイルスを撃退する働きをしてくれます。また、紅茶にショウガを入れることでその効果は倍増するのだとか。ショウガは血行や代謝を促進し、体温を揚げてくれる作用があります。さらに黒砂糖を加えると糖分が脳をはじめとした細胞を活発にしてくれます。
昼食編
昼食は、消化が良い温そばが良いそうです。そばは身体を温めてくれるだけでなく、7種類の必須アミノ酸を含むタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、身体に良い効果をもたらしてくれます。
夕食編
夕食は特に制限はないそうで、好きなものを食べればいいそうですが、できれば免疫力を上げる食材を積極的に摂ることがおすすめだそうです。ではどんな免疫力を上げるためにはどんな食材が良いのかというと、石原院長がおすすめしていたのはイモ類です。イモ類にはビタミンCやビタミンAが豊富に含まれており、これらの栄養素は免疫力を上げるのに大変効果的なのだそうです。ビタミンCは熱に弱いのですが、イモ類の場合はデンプンが熱からビタミンCを守ってくれ、効果的に摂取することが可能です。ビタミンAは皮膚や粘膜部分の防御力を強める作用があり、ウイルスの侵入を防いでくれます。ということで、夕食にはイモ類を1品加えると免疫力の向上に効果的だということです。
それにしても、プチ断食という割には食べる量も結構ありますね。この程度であれば、普段から同じ程度だという人も多いかもしれません。そういう場合は量を減らしてみるのも一つの方法ですね。
プチ断食については諸説ありますが、米マサチューセッツ工科大学レオナルド・ガレンテ教授人間によれば、人間も動物も、空腹になると長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が活発化し、健康長寿につながるそうです。つまり、空腹状態を作り出すプチ断食のようなことを時々やるのは健康にとても良いといえるのです。期間については体調が良いことが前提ですが、1週間を目安に取り組むと良いそうです。
また、紅茶の赤い成分はテアフラビンといって、これがインフルエンザウイルスを撃退することがわかっています。単に飲むだけでなく、紅茶うがいもするとよりインフルエンザ予防に良いとのことでした。
寝る前の足湯
夏の熱い時期はとかく湯船に浸かるのが億劫になり、ついついシャワーだけで済ませていませんか?石原院長によると、そういう人も低体温になりやすいのだそうです。この場合、身体にたまった水分の排出が不十分になってしまうのが問題なんです。
夏場というのは誰しも水分の摂取量が増えます。余分に吸収された水分は一定量まで身体に蓄えられていきますが、湯船に浸かれば発汗作用が促されますし、内臓の働きが活発になるので利尿作用も高まります。つまり余分に溜った水分の排出に効果的なわけです。
しかし、だからといってシャワーを短時間で済ませていると、発汗作用も利尿作用も不十分なままになってしまい、それが低体温の原因になりえるということです。
この低体温の解消に石原院長がすすめるのが寝る前の足湯です。
お湯の作り方
1.洗面器に42度~43度のお湯を張る
2.すりおろしたショウガ10g程度を入れる
たったこれだけです。あとは作ったお湯に15分~20分程度浸かるだけで、低体温が改善するそうです。
番組では、冷え性の女性二人で実験をしていました。
一人は石原院長おすすめのお湯、もう一人は通常のお湯のみで15分間浸かってその後の体温状況を比較するというものです。
結果は以下の通り
お腹周りの暖まり具合や10分経過後の体温維持の具合にはっきりと違いが表れています。
これは、ショウガの辛味成分であるジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンが血管を広げて血流を良くするためです。この足湯はくるぶしの下あたりだけを漬けるものですが、下半身の血流が改善されますので腰痛や足のむくみ、だるさの解消に良いですし、腎臓の働きを活性化させることで利尿作用も活発になるそうです。
また、似たような効果を入浴時に得ることもできるそうです。やり方は簡単で、42度の熱めのお湯に3分程度浸かり、その後、足(くるぶし下)のみ10秒間冷水をかけて冷やします。これを3回繰り返すことで、血管を拡張~収縮させ、血流を良くすることができるそうです。冷水をかけるのは血管を収縮させて熱の放散を防ぐためです。
佐藤弘道さんは、マメができたときにお湯と水を繰り返しかけると早く治ると番組内で言われていました。これも血流の改善による効果だということです。
これに似た療法に和温療法というものがあります。これは、身体に温熱のストレスを与えることでヒートショックプロテインというたんぱく質を増加させ、傷んだ細胞を修復させたり免疫力を上げたりするものです。がんの治療に応用されているそうです。
他には手足の爪を10秒くらいずつ揉んでやる爪もみも血流の改善には効果があるという話でした。
ここに挙げた低体温の改善策は、ちょっとやったくらいで恒常的に体温を上げるものではありません。しかし、先生いわく、『足湯などの取り組みをマメに継続することで代謝をアップさせてやれば恒常的な体温向上も期待できる。』とのことでした。低体温は体質ですからそれを変えるにはそれ相応の継続した努力が必要ということでしょう。
最後の方はインフルエンザという言葉が全く出てこない展開でしたが、要するに免疫力を上げるには体温を上げる必要があり、体温を上げるためには血流を良くしてやるのが良い、ということです。石原院長は30年以上も風邪知らずということですから、しっかりと対策してやれば予防に効果的だといえるのではないでしょうか?